36. Link、テンポフォロワー、MIDIによる同期
36.1 Linkによる同期
Ableton Linkは、有線や無線のネットワークを介して複数の機器を同期するテクノロジーです。 Linkは、Live数多くのiOSアプリに組み込まれていて、どのLink対応ソフトウェアも、同じネットワークに参加するだけで他のLink対応ソフトウェアとタイミングを合わせて再生できます。
Linkを使用すると、それぞれの機器やアプリケーションは、他の機器やアプリケーションから独立して個別に再生の開始と停止ができます。 Link対応ソフトウェアは、すべての参加者に対してテンポを保ち、グローバルローンチクオンタイゼーションに関して正確な位置を維持します。
36.1.1 Linkを設定する
Linkを使えるようにLiveを設定するには、まず、お使いのコンピューターをLinkを使用する他の機器と同じネットワークに接続してください。 ネットワーク接続は、ローカルネットワークでもアドホック(2台のコンピューター間)接続のどちらでもかまいません。 次に、Liveの環境設定[Link, Tempo & MID]を開き、[Linkトグルを表示]の隣にあるボタンをオンにします。

[開始終了同期]を有効にして接続しているすべてのアプリ間で、開始と停止のコマンドを同期することもできます。 これを行うには、[開始終了同期]の隣にあるボタンをクリックします。

36.1.2 Linkを使用する
LiveのコントロールバーにLinkトグルが表示されます。 クリックするとLinkのオン/オフを切り替えます。

オンにすると、このトグルが更新され、同じネットワーク上のLink対応アプリまたはLiveインスタンスの数を表示します。

少なくとも1つのLink対応アプリやLiveインスタンスが接続している場合、Liveのトランスポートが走行していない間は、[アレンジメント位置]に動く「プログレスバー」が常時表示されます。 このバーは、Linkセッション内の他の参加者にも関連する、Liveセットのグローバルローンチクオンタイゼーションを表しています。 再生ボタンを押すと、Liveはこのメーターが右端に達するまで再生を待機します。

Linkセッションに参加した最初のアプリやLiveインスタンスが、他の参加者に対して初期テンポを設定します。 その後は、どのLink対応アプリやLiveからでもテンポを変更でき、他のアプリやLiveはそのテンポに追随します。 複数のアプリやLiveが同時にテンポを変更しようとした場合、最後に変更されたテンポが「勝者」となり、他の参加者はそのテンポに追従します。
Linkセッション内でどの参加者がテンポ変更を行っても、Liveセットのテンポオートメーションより優先されます。
なお、Linkを有効にすると、メトロノームの 録音カウントイン は使用できません。
ほとんどの場合、Linkは有効にした直後から問題なく動作し、あらゆる条件下で安定した同期ができるようになります。 不明点があったり問題が生じた場合は、Abletonのナレッジベースで 「Linkの特徴と機能に関するよくあるご質問」 をご覧ください。
36.2 テンポフォロワー経由で同期する
Linkの接続やMIDIクロックが利用できない状況に陥るかもしれません。 また、コンピューターが生成した、融通のきかないクロックを使用したくないこともあるでしょう。 たとえば、Liveのテンポをバンドのドラマーが生み出す自然なテンポに追従させたい場合や、DJパフォーマンス中に複数のターンテーブルを同期させたい場合などです。 ここで[テンポフォロワー]の出番です。 テンポフォロワーは、入力オーディオ信号をリアルタイムで分析し、そのテンポを読み取ってLiveに追従させます。
36.2.1 テンポフォロワーを設定する
外部オーディオ入力を[テンポフォロワー]のソースとして設定するには、まずLiveの環境設定[Link, Tempo & MIDI]を開きます。 [テンポフォロワー]セクションでは、追従させたいソースを お使いのオーディオインターフェースに接続して、入力チャンネル(Ext. In)を設定します。 ドラムキットでは、これが専用のオーバーヘッドマイクになるでしょう。 ターンテーブルでは、レコードの出力やDJミキサーのエフェクトループを使用するよう選択します。 なお、[テンポフォロワー]のアルゴリズムは、リズムが明確なオーディオ信号の使用に最適化されていますが、さまざまなソースを使用してクリエイティブで実験的に使用することもできます。

[テンポフォロワートグルを表示]スイッチを[表示]に設定すると、コントロールバー左側のテンポ関連のパラメーターに並んで、[Follow]ボタンが表示されます。

[Follow]ボタンをオンにするとテンポフォロワーが有効になり、Liveが設定したオーディオソースを分析してテンポを読み取ります。 なお、テンポフォロワーは[Follow]ボタンが非表示の時は動作しません。
テンポフォロワーが、環境設定で指定したオーディオ入力のチャンネルに接続できなくなると、この機能は無効になり、[Follow]ボタンが灰色表示になります。
注:Link、テンポフォロワー、外部同期はそれぞれ相互に排他的です。テンポフォロワーを有効にすると、[Link]と[外部同期]スイッチが無効になります。 テンポフォロワーが有効な場合でも、LiveはMIDIクロック情報を外部機器に送信できますが、受信はできません。
36.3 MIDIによる同期
Linkに未対応の機器を使用する場合、MIDI経由で同期できます。 MIDIプロトコルでは、シーケンサーを同期させるのに2つの方法がありますが、Liveはそのどちらにも対応しています。 どちらのプロトコルも、同期の ホスト が同期信号を流し、その信号を同期の デバイス が追いかけるという考え方に基づいています。
MIDIクロック:MIDIクロックとは、高速で刻むメトロノームのようなものです。 入力されるティックの速さはテンポに依存します。同期のホスト(ドラムマシンなど)でテンポを変更すると、デバイス側のテンポも追従して変更されます。 また、MIDIクロックのプロトコルは、ソングポジションを示すメッセージも送信します。 MIDIクロックに関して、LiveはMIDI同期のホストとデバイスの両方で動作できます。
MIDIタイムコード:MIDIタイムコードとはSMPTEプロトコルのMIDI版で、音響や映画の業界でテープマシンやコンピューターを同期する標準規格です。 MIDIタイムコードメッセージは、秒やフレーム(1秒の細分)単位で時間を指定します。 Liveは、タイムコードメッセージをアレンジメント内の位置として解釈します。 タイムコードメッセージは、拍子に関する情報を伝えません。 MIDIタイムコードを使って、Liveを他のシーケンサーの同期デバイスにする場合、手動でテンポを調整する必要があります。 テンポチェンジは追跡できません。 MIDIタイムコード設定の詳細は、この章の後半 で説明します。 MIDIタイムコードについては、Liveは同期デバイスとしてのみ動作します。 同期ホストになることはできません。
36.3.1 外部のMIDI機器をLiveに同期させる
Liveは、外部MIDIシーケンサー(またはドラムマシン)にMIDIクロックメッセージを送信できます。 シーケンサーをLiveに接続し、MIDI同期を受信するよう設定したら、Liveの環境設定[ Link, Tempo & MIDI]でMIDI同期の出力先の機器をオンにします。

Liveが外部シーケンサーに同期メッセージを送信すると、コントロールバーの[EXT]ボタンの横でLEDインジケーターが点滅します。
36.3.2 Liveを外部のMIDI機器に同期させる
Liveは、MIDI経由で外部シーケンサーと同期できます。 外部シーケンサーをLiveに接続して、シーケンサー側でMIDI同期を送信する設定をしたら、Liveの環境設定[Link, Tempo & MIDI]でLiveにその接続を指示します。

外部同期ソースが有効になると、コントロールバーに[EXT]ボタンが表示されます。 次に、[EXT]ボタンを押すか、[オプション]メニューの[外部同期]コマンドを使用すると、外部同期が有効になります。 Liveが使用できる同期メッセージを受信すると、[EXT]ボタンの横で[LED]インジケーターが点滅します。

Liveが外部のMIDI機器に同期しているとき、この機器からデバイスのソングポジションポインターを受け取れるので、テンポだけでなくソング内のポジションも同期できます。 同期ホストがソング内の新しいポジションにジャンプすると、Liveも同じようにジャンプします。 しかし、コントロールバーのループスイッチがオンの場合は、再生はループしますが、ソングポジションポインターはループ長で「折り返され」ます。
Linkを有効にすると、Liveは外部機器にMIDIクロック情報を送信できますが、受信はできません。 Linkをオンにすると、[外部同期]スイッチが無効になります。
36.3.2.1 MIDIタイムコードオプション
タイムコードオプションは、MIDI機器ごとに設定できます。 環境設定[Link, Tempo & MIDI Setting]のMIDIポートのリストから、MIDI機器を選択して設定を開きます。
[MTCフレームレート] 設定は、[MIDI同期タイプ]メニューで[MIDIタイムコード]を選択している場合のみ有効です。 [MIDIタイムコードレート]セレクターでは、Liveが同期するタイムコードのタイプを選択します。 一般的なSMPTEフレームレートはすべて使用可能です。 このレートに[All]を設定すると、Liveは入力された同期メッセージのタイムコード形式を自動検出して、その結果に従いメッセージを解釈します。 なお、アレンジメントビューでの表示に使用するタイムコードの形式は、[オプション]メニューの[タイムルーラーの表示形式]サブメニューを開くと調整できます。
[MTCスタートオフセット]設定も、[同期タイプ]メニューで[MIDI Timecode]を選択している場合にのみ関係します。 このコントロールを使うと、SMPTEタイムオフセットを指定できます。 Liveは、この値をアレンジメントのスタートタイムとして解釈します。
36.3.3 同期ディレイ
同期ディレイ コントロールは各MIDI機器ごとに使用可能で、同期信号に対してLive内部の時間ベースを遅延させます。 この設定は、信号伝送により発生した遅延を補正するのに役立ちます。 指定したMIDI機器の同期ディレイは、環境設定[Link, Tempo & MIDI]の[MIDIポート]リストからそのMIDI機器を選択すると表示されます。 同期ディレイを調整するには、Liveと他のシーケンサーの両方で、打楽器のサウンドをリズミカルなパターンで再生します。 両方の出力を聴きながら、そのサウンドが完全にシンクロするまで[同期ディレイ]コントロールを調整します。
