29. Live MIDIエフェクト・リファレンス

Liveは、独自に設計したMIDIエフェクトを多数内蔵しています。 これらのエフェクターは、入力したMIDIのピッチ、長さ、ベロシティのデータをさまざまな方法で変更できます。 MIDIエフェクトを単体で使用してパターンにバリエーションを加えたり、複数のMIDIエフェクトを組み合わせて、より複雑なノートのシーケンスを作ることができます。

ピッチコントロールを備えたMIDIエフェクトは、スケール認識に対応しています。 デバイスタイトル バーで[現在のスケールを使用]スイッチをオンにすると、ピッチに関連するコントロールをセミトーンではなくスケール度数で調整できます。 これにより、どのノートを移調させても、指定した和声の範囲内に収まるようになります。

Liveでのエフェクト使用方法の基本を知るには、 「インストゥルメントとエフェクトを使用する」 の章をご覧ください。

29.1 Arpeggiator

Arpeggiatorエフェクト

Arpeggiatorは、コードの構成音や単音からリズミカルなパターンを生み出します。 このデバイスは、アルペジエーターの機能を標準的なものからユニークなものまでひととおり備えています。

アルペジエーターは、80年代のシンセ音楽を代表する要素です。 その名前は「アルペジオ」に由来し、コードを一斉に発音するのではなく、分散して発音させることを意味します。 「アルペジオ」は、イタリア語でハープをつま弾くという意味の「arpeggiare」を語源としています。

[Style]セレクターでは、ノートのシーケンスを再生するリズムパターンを設定します。 スタイルを選択すると、ディスプレイに視覚化されたパターンが表示されます。 ディスプレイ内の[前のスタイルパターン][次のスタイルパターン]ボタンを使用すると、パターンが切り替わります。

ほとんどのスタイルパターンは[Up][Down][Converge][Diverge]のように、標準的なアルペジエーターと共通しています。 また、中にはユニークなパターンもあります。

  • [Play Order]では、キーを押した順にパターン内のノートを並び替えます。 そのため、このパターンでは複数のコードやノートを再生する時のみ効果があります。
  • [Chord Trigger]は、入力したノートをひとまとまりのコードとして繰り返します。

さらに、ランダムなアルペジオができる3つのパターンも備えています。

  • [Random]では、入力したMIDIノートから、ランダマイズし続けるシーケンスを生成します。
  • [Random Other]では、入力したMIDIノートからランダムなパターンを生成しますが、他のノートが入力されるまでは指定したノートをリピートしません。
  • [Random Once]は、入力したMIDIノートからランダムなパターンを1つ作成して、そのパターンを繰り返します。入力されたMIDIが変更されると新しいパターンを生成します。

アルペジオのパターンは[Rate]で設定した速度で再生し、その速さは[テンポ同期/フリー]スイッチで選択した項目によって、ミリ秒またはテンポ同期した拍分割のどちらかで再生します。

パターンを移調するには、[Distance]と[Steps]コントロールを使用します。 [Distance]では移調の量をセミトーン単位またはスケール度数で設定し、[Steps]ではパターンが移調する回数を設定します。 [Distance]が正の値の場合、パターンは最初オリジナルピッチで再生され、徐々に高い方へ移調を繰り返します。負の値では低い方へ移調します。 [Distance]を +12 st、[Steps]を 2 に設定した場合では、C3 から始まるパターンでは、最初に C3 を再生して、次に C4、最後に C5 を再生します。

指定したスケール内でパターンを移調するには、[Root]と[Scale]のセレクターで希望の設定を選択します。 また、デバイスタイトルバーで[現在のスケールを使用]をオンにすると、クリップのスケールに基づいてパターンを移調できます。 このオプションをオンにすると、スケールの設定はクリップに基づくため、[Root]と[Scale]のセレクターが無効になります。

[Gate]では、パターン内のノートの長さを[Rate]値のパーセンテージで設定します。 [Gate]の値が 100% を超えると、ノートが重なり合い、レガート効果が生まれます。

MIDI機器を使用してノートを再生する場合、[Hold]スイッチをオンにすると鍵盤から手を離した後もパターンの再生が続きます。 パターンの再生は、他の鍵盤が押されるまで繰り返されます。 最初の鍵盤を押したまま、あとから押さえる鍵盤を増やすと、ホールドしているパターンにノートが追加されます。 ノートを取り除くには2回押さえます。 こうすることで、時間の経過とともに徐々にパターンを構築したり、並び替えることができます。

[Offset](パターンオフセット)では、パターン内のノートのシーケンスを指定したステップ数だけシフトします。 このパターンを、ノートが円を描くように並び、設定位置から時計回りに再生するものとします。[Offset]では開始するノートをシフトして、この円のノートを1つずつ反時計回りに回転させます。 [Offset]が 1 に設定されている場合、パターン内で2番目のノートが最初に再生され、もともと1番目だったノートは最後に再生されます。

パターンをスイングさせるには、[Groove]セレクターでグルーヴを選択します。 Arpeggiatorのグルーヴは、クリップのグルーヴと同じように機能します。 グルーヴの強さは、[グルーヴプール] やコントロールバー内の[グローバルグルーヴ適用量]で設定します。

パターンは、[Retrigger]の選択内容によって、指定した間隔で再スタートできます。

  • [Off]:パターンはリトリガーしません。
  • [Note]:新しいノートを再生するとパターンをリトリガーします。
  • [Beat]:[Interval]で設定した小節や拍数でパターンをリトリガーします。

パターンをリトリガーするたびに、[Retrigger]の隣にあるLEDが点滅します。

[Repeats]では、パターンを繰り返す回数を指定します。 デフォルトでは[Repeats]が ∞ に設定されており、パターンの再生が無限に続きます。 [Repeats]を 1 か 2 に設定すると、ギターのストラム奏法を模すことができます。 [Repeats]と[Retrigger]をさまざまな値の設定にして組み合わせると、途中で一時停止するようなリズミカルなアルペジオを作成できます。

[Velocity]スイッチをオンにすると、パターンのベロシティに関連するコントロールにアクセスできます。 [Decay]は、[Target]で指定したベロシティ値に到達するまでにかかる時間を設定します。 たとえば、[Decay]の時間を長くして[Target]を 0 にすると、徐々にフェードアウトします。

[Retrigger]スイッチを有効にすると、パターンをリトリガーするたびに、ベロシティ値の傾斜もリトリガーされます。 [Velocity]と[Beat]のリトリガーを組み合わせると、パターンのベロシティ値の傾斜もリトリガーされます。

29.2 CC Control

CC Controlエフェクト

CC Controlを使用すると、外部機器にMIDI CC(コントロールチェンジ)メッセージを送信できます。 このデバイスは、3つのコントロール固定のノブ(Mod Wheel、Pitch Bend、Pressure)、オン/オフまたは最小値/最大値を送信する1つのカスタマイズ可能なボタン(Custom A)、12のカスタマイズ可能なダイアル(Custom B から M)を備えています。

このデバイスのコントロール固定のノブは次のように機能します:

[Mod Wheel] :受信側の機器に適用するモジュレーションの量を設定します。

[Pitch Bend] :受信側の機器にピッチベンドのデータを送信します。 負の値ではピッチが下がり、正の値ではピッチが上がります。

[Pressure] :受信側の機器にチャンネルプレッシャー/アフタータッチのメッセージを送信します。

[Custom A]ボタンは、オン/オフまたは最大値/最小値のデータを送信します。ボタンをオン/オフすることで送信するデータの値が切り替わります。 このボタンはサステイン/ホールドペダルのメッセージ送信(CC 64)を意図していますが、CCタイプセレクターのドロップダウンメニューから、他のMIDIパラメーターを割り当てることも可能です。

[Custom BからM]のコントロールは名前の変更が可能で、CCタイプセレクターのドロップダウンメニューから任意のMIDIパラメーターに割り当てることができます。 カスタマイズしたコントロールの名前と割り当ては、Pushにも表示され、プリセットとしても保存可能なので、操作と再利用が簡単になります。 パラメーターの値は、オートメーションレーンを使用して設定することも、デバイスのコントロールダイアルを使用してリアルタイムに調整することもできます。パフォーマンスの構成を組むことや即興演奏のどちらに役立ちます。

デバイスのタイトルバーには、[1-8]と[9-16]のコントロールを切り替える2つのスイッチがあり、クリックすると現在のMIDI CCの値を機器に送信する[Resend]ボタンも備えています。 [Learn]スイッチをオンにすると、MIDIソースから入力されたCCデータを、任意のカスタマイズ可能なコントロールへ送ることができます。 これにより、デバイスを簡単に自分用にカスタマイズできます。 また、[Learn]を使用すると、外部コントローラーが送信するCC メッセージを簡単に識別できます。

なお、CC Controlから受信側の機器に送信されるCCのメッセージに、すでにCCのオートメーションが描かれている場合、この2つの値をマージしたMIDIデータが送信されるのでご注意ください。

29.3 Chord

Chordエフェクト

その名前が示す通り、このエフェクトは入力された信号に対して、それぞれ最大6つのピッチを追加してコードを作ります。

[Shift 1]から[Shift 6]のコントロールを使用すると、オリジナルのノートに対してどのピッチでコードを構成させるか、 ±36 セミトーンの範囲で割り当てることができます。 たとえば、[Shift 1]を +4 セミトーンに設定して、[Shift 2]を +7 セミトーンに設定すると、入力したノートをルート音とするメジャーコードになります。 ピッチは任意の順番で設定できます。 どのピッチにどのShiftコントロールを使用しても違いはありません。 それぞれの[Shift]ノブの隣にあるLEDの点滅は、それに対応するノートが発音されたことを示します。

なお、複数の[Shift]コントロールに対して同じピッチを割り当てることはできません。 たとえば、[Shift 2]と[Shift 3]の両方とも +8 セミトーンに設定することはできません。 すでに[Shift]コントロールにピッチが割り当てられている場合、同じピッチを追加で割り当てても無効になります。

ピッチを手動で設定できるだけではなく、デバイスタイトルバーで[Learn]スイッチをオンにすると、外部MIDI機器で演奏したコードをピッチに割り当てることができます。 これを行うには、コードに含めたい鍵盤を押さえたままにします。 最初に押さえた鍵盤のピッチがルート音となり、[Shift]コントロールには割り当てられません。その後に続くピッチが、押さえた順番で[Shift]に割り当てられます。 最初の鍵盤を押さえたまま他の鍵盤を押さえると、さらにピッチを追加できます。 目的のピッチを割り当てたら、[Learn]スイッチをオフにします。

[Velocity]や[Chance]のスイッチをオンにすると、各[Shift]コントロールの下部にあるスライダーで、生成したノートのダイナミクスを調整できます。

  • [Velocity]は、生成するノートのベロシティを設定します。 これは相対値で、1% から 200% の範囲に設定できます。 100%の場合、生成されるノートのベロシティは、入力したノートのベロシティと同じ値になります。 ノート間のベロシティを変えると、微細な倍音を生み出したり、コードのバランスを劇的に変化させることができます。
  • [Chance]は、入力したノートがトリガーされた時に、生成したノートが発音する確率を設定します。 この確率は 0% から 100% の間で設定できます。 100%の場合では、ノートを入力するたびにノートが生成されます。

[Velocity]と[Chance]の両方を一緒に使用するのも、生成するコードに動的な変化を加える良い方法です。

[Strum]コントロールを使用すると、生成されるノートの間を 400 ミリ秒まで遅らせることができます。 正の値では、最初のノートからストラムが始まり、[Shift 1]から[Shift 6]まで順番にノートが続きます。 負の値では、この順番が逆になります。 デバイスタイトルバーのコンテキストメニューで [ストラムでノートを重複して再生] をオンにすると、重複したノートを追加できます。

ストラムの設定をさらに追い込むには、2つの追加コントロールを使用します。

  • [Tension]は、ストラムの速さを調整します。 正の値では、ストラム奏法はゆっくりと始まり、ノートが発音されるごとに速くなります。負の値では、速いストラムで始まり、徐々に遅くなります。
  • [Crescendo]は、ストラムするノートのベロシティ値を傾斜させます。 正の値では上向きの傾斜となり、負の値では下向きの傾斜になります。

デフォルトではピッチをセミトーン単位で設定しますが、デバイスタイトルバーの[現在のスケールを使用]をオンにすると、ピッチをスケール度数単位で設定できます。

デバイスタイトルバーのコンテキストメニューで [生成したノートごとのMIDIイベントを送信] をオンにすると、生成したコードのノートにMPEデータを送信します。 スケール認識も有効になっている場合、ノートごとのピッチベンド・メッセージがクリップのスケールに追従するようになり、ベンドしたコードがハーモニーの範囲内に収まります。

29.4 Note Length

Note Lengthエフェクト

Note Lengthは、入力したMIDIノートの長さを変えます。 また、ノートをトリガーするのに、通常のMIDIノートオンのメッセージではなく、MIDIノートオフのメッセージでもトリガーできます。

[Trigger]:このデバイスの動作を(トリガーソース)のスイッチでは、MIDIノートオンとノートオフのどちらでトリガーするか設定します。 [Note On]に設定すると、入力したノートの長さを[Gate]と[Length]コントロールで設定します。 [Gate]コントロールは、[Length]コントロールで設定した値をどの程度適用させるか指定します。 値が 100%では、[Length]コントロールで指定した長さだけノートを発音します。 [Gate]を 200% に設定すると長さは2倍になり、 50% に設定すると半分になります。 [タイムモード]スイッチで、この長さをミリ秒単位かテンポ同期した拍単位に設定できます。

このデバイスの動作をノートオフイベント(鍵盤から手を離した時点)でトリガーするよう設定している場合、入力したノートのタイミングがノートの長さの分だけ遅延します。これは、ノートオンのメッセージでトリガーすると、本来ストップする位置からノートが始まるためです。 この遅延が過ぎると、[Gate]と[Length]のコントロールで指定したタイミングが適用されます。

[Note Off]を使用する時は、次の3つの追加パラメーターが使用可能になります。

  • [Rel Vel](リリースベロシティ):出力するノートのベロシティを設定します。 このパーセンテージは、入力したノートのノートオンとノートオフのベロシティのバランスを設定します。 ご使用のMIDI鍵盤がMIDIノートオフ・ベロシティに対応していない場合、この値は 0% に設定します。
  • [Decay](ディケイタイム):入力したノートのベロシティをゼロに減衰させるまでかかる時間を設定します。 デバイスがMIDIノートオンのメッセージを受け取ると同時に、このディケイの動作を開始します。 MIDIノートオフ時点での値が、出力するノートのベロシティになります。
  • [Key Scale]:入力したノートのピッチに基づいて、出力するノートの長さを変化させます。 正の値では、C3 より低いノートは徐々に長くなり、C3 より高いノートは短くなります。 負の値ではこの反対の動作をします。

[Latch]をオンにすると、ノートのラッチが有効になります。 [Note On]を使用している場合、次のMIDIノートオンを受信するまでノートが発音を続けます。 [Note Off]を使用している場合、すべての鍵盤から手を離すと(接続している場合はサステインペダルも)、ノートオフのメッセージを受信してノートを発音します。 どちらの場合も、発音するノートの長さはMIDIノートオン/オフのメッセージによって決まるため、[Gate]と[Length]のコントロールは無効になります。 さらに[Note Off]を使用している時は、[Rel Vel][Decay][Key Scale]のコントロールも無効になります。

29.5 Pitch

Pitchエフェクト

Pitchは、入力したMIDIノートを ±128 セミトーンまたは ±30 スケール度数の範囲で移調します。

[Pitch]コントロールを使用すると、入力したピッチに対する移調の量を設定できます。 デフォルトでは、セミトーン単位でノートを移調します。 デバイスタイトルバーの[現在のスケールを使用]をオンにすると、ノートをスケール度数で移調します。

[ステップ増]と「ステップ減」ボタンを使用すると、[ステップ幅]スライダーで設定した距離の分だけ[Pitch]コントロールの値を増減します。 [現在のスケールを使用]をオンにすると、[ステップ幅]の範囲は 1 から 48 セミトーンまたは 1 から 30 のスケール度数になります。 これらすべてのコントロールは、 キーやMIDI マッピング を割り当てて、リアルタイムで調整できます。

[Lowest]と[Range]のコントロールでは、ノートへのエフェクトが有効になるピッチ範囲を設定できます。

[Mode]セレクターのオプションでは、設定した範囲外のノートをどのように処理するか選択します。

  • [Block]モードでは、この範囲外のノートはブロックされ、エフェクトを通過しません。 この動作が起きると、[Range]コントロールの隣にあるLEDが点滅します。
  • [Fold]モードでは、この範囲外のノートを範囲内に収まるように移調します。
  • [Limit]モードでは、ノートがこの範囲内に制限されます。 つまり、この範囲内の最低音より低いノートは、最低音のノートまで上に移調して、この範囲内の最高音より高いノートは、範囲内に収まるよう下に移調します。

29.6 Random

Randomエフェクト

Randomは、入力したノートのピッチをランダムに変化させることで、ノートのシーケンスに予測不可能な要素を加えます。

[Chance]コントロールでは、入力したノートのピッチをランダムに変更する確率を設定します。 ランダム性に対するドライ/ウェットのコントロールと考えることができます。

ピッチの変化を決めるランダム値は、[Choices]と[Interval]の2つの変数によって決まります。 [Choices]コントロールは、候補となるピッチの数を 1 から 24 の範囲で指定します。 [Interval]コントロールは、候補となるピッチの間隔を指定します。 この2つのコントロールの値を乗算することで、入力したノートに対して候補となるピッチの範囲が決まります。

たとえば、[Chance]を 50%、[Choices]を 1、[Interval]を 12 に設定した場合では、C3 を繰り返し再生すると、ノートの半分は C3 で再生して、残りの半分は C4 で再生します。この順番は決まっていません。 [Choices]と[Interval]の値を入れ替えて、[Choices]を 12、[Interval]を 1 にすると、ノートの半分は C3 で再生しますが、残りの半分は C#3 から C4 の間のいずれかのノートで再生します。 なお、この例は[Mode]を[Random]に設定して、[Sign]を[Add]に設定したデフォルト設定の場合です。

[Mode]はランダマイズの発生方法を設定します。[Random]ではピッチを順不同に割り当て、[Alt]では固定したラウンドロビンの順序でピッチを切り替えます。 このモードでは、[Chance]コントロールの動作が異なります。100% の場合、次に出力されるノートは必ず次の順番のノートになります。0% の場合、次に出力されるノートは入力したノートと常に同じになります。

たとえば[Chance]を 100%、[Choices]を 12、[Interval]を 1 に設定すると、C3 を再生すると一度 C3 を再生して、その後は C3 を再生するごとに C4 までセミトーンずつ高くなり、C4 に達するとこのサイクルが C3 から再開されます。 [Chance]を 100%、[Choices]と[Interval]を 2 に設定した場合では、C3 を入力すると C3 と D3 を交互に繰り返します。 この動作は、弦楽器の上げ弓/下げ弓の切り替え、または、ドラム・サンプルの右手と左手の切り替えを再現するのに適しています。

[Sign]では、入力したノートに対して、どのようにランダムなピッチを生成するか設定します。

  • [Add]は、オリジナルのノートより高いピッチにランダマイズします。
  • [Sub]は、オリジナルのノートより低いピッチにランダマイズします。
  • [Bi]は、オリジナルのノートより高いピッチと低いピッチの両方にランダマイズします。

[Chance]コントロールの右側にあるLEDでは、ランダマイズするピッチをどのように割り当てているか表示します。

  • 元のノートより高いピッチのノートを生成すると、[+]のLEDが点滅します。
  • ピッチが変化しない時は、[0]のLEDが点滅します。
  • 元のノートより低いピッチのノートを生成すると、[-]のLEDが点滅します。

デバイスタイトルバーの[現在のスケールを使用]スイッチをオンにすると、ランダムに生成するピッチを限定して、クリップのスケールに収まるようにします。 これにより、出力するノートが指定した和声の範囲内に収まるようになります。 スケールを指定してRandomの[Alt]モードを使用すると、シンプルでありながら予測不可能なステップシーケンサーの効果を生み出せます。

29.7 Scale

Scaleエフェクト

Scaleは、指定したスケールに基づいてノートを再マッピングします。 入力したそれぞれのノートは、マトリックス内で対応する出力ノートに割り当てられます。 たとえば、Cを入力すると、それらすべてをDに変換できます。

[ノートマトリックス]は 13x13 のグリッドを使用し、それぞれの横軸と縦軸は1オクターブの 12 音に相当します。 この縦列は入力したノートの値をあらわし、横列は出力するノートを表示します。

黒色の正方形は、鍵盤の黒鍵に相当します。 ハイライトされた正方形は、設定したスケールに基づいてそれぞれのノートをどのようにマッピングするか決めます。 スケールのマッピングは、ノートマトリックスの左下隅にあるルート音から開始されます。 ルート音の設定は[基音]セレクターで行い、スケールの選択は[スケール名]セレクターを使用します。 また、デバイスタイトルバーの[現在のスケールを使用]スイッチをオンにすると、クリップのルート音とスケールを適用できます。 これをオンにすると、[基音]と[スケール名]セレクターは無効になり、クリップがこれらの設定を行います。

[スケール名]セレクターで[User]を選択すると、スケールを自分で作ることもできます。 デフォルトでは、ハイライトされた正方形は、オクターブ内の対応するノートにマッピングされています。C では C を出力し、C# では C# を出力します。 ハイライトされた正方形をマウスで移動したりクリックして削除すると、スケールに含めるノートをカスタマイズできます。 ノートマトリックスからノートを取り除くと、そのノートを再生しても出力されません。

[Transpose]スライダーを使用すると、入力したMIDIノートのピッチを ±36 セミトーンまで上げ下げできます。 たとえば、Cメジャーで作られたメロディーをGメジャーに変更するには、[Transpose]を[+7 st]に設定します。

[スケール名]を[User]に設定した場合、[Fold]スイッチを有効にすると、元のノートからの距離が 6セミトーンを超えた時に自動的にノートを折りたたみます。 たとえば、入力した C3 をA3の出力にマッピングしている場合、[Fold]をオンにすると、C3 は A2にマッピングされます。

[Lowest]と[Range]のコントロールでは、スケールにマッピングするノートの範囲を指定します。 デフォルトではすべてのオクターブが含まれていますが、この範囲を限定することで、ノートの一部のみをマッピングして、残りのノートには影響させないクリエイティブな使い方ができます。 Cメジャースケールを使用する場合では、[Lowest]を C2、[Range]を +36 に設定すると、C2 から B4 までのノートのみが再マッピングされます。 これらのコントロールを[Transpose]と組み合わせて使用すると、指定した範囲内のノートのみを移調できます。 先ほどの例の場合、[Transpose]を +7 st に設定しても、C2 と B4 の間にあるノートのみ移調して、他のノートは影響を受けません。

29.8 Velocity

Velocityエフェクト

Velocityは、入力したMIDIノートのベロシティ値(1-127)を変更し、出力する値を指定した範囲内に収まるようにします。

[ベロシティカーブ]のグリッドは、入力したベロシティをどのように指定した範囲に収めるか表示しています。この範囲の設定は[Range]と[Lowest]のコントロール(横軸)で行い、[Out Hi]と[Out Low]のコントロール(横軸)に基づいて再マッピングします。 表示されたカーブは、ベロシティ値をどのように変更するか表しています。

たとえば[Out Low]を 80、[Out Hi]を 127 に設定すると、元のノートを弱く演奏していても、より高い範囲のベロシティで出力されるようになります。 なお、[Lowest]と[Out Low]を 0、[Range]と[Out Hi]を 127 に設定すると、このエフェクトが実質的にはバイパスされ、入力したベロシティ値は同じ範囲内で出力されます。

ベロシティ値は[Operation]セレクターの設定に基づいて、MIDIノートオン(ベロシティ)か、 ノートオフ(Rel.Vel.)または両方の メッセージに再マッピングできます。

入力したベロシティが[Range]と[Lowest]で設定した範囲外にある場合、[Mode]スイッチを使用して、このベロシティをどのように処理するか選択できます。

  • [Clip]では、入力したベロシティをクリップさせて、この範囲内に収まるようにします。
  • [Gate]では、入力ベロシティがこの範囲外にあると、ノートも含めてすべて取り除かれます。 ノートが[Gate]でブロックされると、[ベロシティカーブ]の下部にあるLEDが点滅します。
  • [Fixed]では、入力したベロシティに関係なく、出力するベロシティ値はすべて[Out Hi]の値に固定されます。

[Random]では、入力したベロシティにランダムなモジュレーションがかかります。 モジュレーションの範囲はこの設定値によって決まり、[出力レンジ]コントロールの影響を受けます。 [Out Hi]を 127、[Out Low]を 60 に設定した場合では、[Random]の値を 50 にすると、ベロシティは 60-127 の範囲内で最大 50 まで上下させます。

[Random]を正の値にすると、ベロシティカーブの周囲に灰色のエリアが表示され、この中のベロシティが設定したランダマイズの範囲に含まれることを示します。

[Drive]と[Compand]コントロールを組み合わせると、さらに複雑なベロシティカーブを作成できます。 [Drive]では、カーブ内のすべての値を上限まで持ち上げます。[Compand]では、カーブの境界線までの範囲内で値を伸張または圧縮します。

[Drive]を正の値にすると、ベロシティを上の部分へとシフトさせるので、多くのノートが強く演奏したようになります。負の値にすると、ベロシティは下の部分へシフトするため、多くのノートが弱く演奏したようになります。

[Compand]を正の値にすると、入力したベロシティをカーブの境界線へ伸張して、出力値を上限または下限までシフトさせます。 [Compand]を負の値にすると、出力ベロシティを中央付近に向けて圧縮します。

この2つのコントロールを個別または組み合わせて使用することで、ベロシティカーブをさらに調整して、より明確な出力結果を得られるようになります。