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ファビアン・ルス:サーキュラー・サウンドでクラシック音楽に新たな感動を

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ファビアン・ルス:サーキュラー・サウンドでクラシック音楽に新たな感動を

ある種の人たちにとって、バッハやハイドンの作品をコンピューター・ソフトウェアで再現することは異端かもしれません。ドイツの作曲家でありサウンド・デザイナーでもあるファビアン・ルスにとってそれは、現代のクラシック音楽界において最も尊敬されているソリストたちと仕事をする手段となりました。ルスは、Simplerを使用して教会古典音楽を分析・再現し、マルチチャンネル・サウンドシステム用の空間感に秀でた作品を定期的に発表しています。クラシック・サウンドとエレクトロニック・サウンドのデリケートなバランス、サーキュラー・サウンド・システム用の作曲について、ルスに話を聞きました。 ファビアン・ルス『Circle Spot』 あなたはしばしば、伝統的な西洋クラシック楽器のサウンドや作品を素材として使用し、マニピュレーションを加えていらっしゃいます。これらの音源の何が、あなたの創造力に火を付けるのかお聞かせいただけますか?特にこれらに集中する理由は、また教会音楽にどのような新たな観点をお望みなのでしょうか?正直、こういった音を重視しているわけではなく、ただ子供の頃から私の周りにある音だったというだけです。オーケストラを使ってみたいとずっと夢見ていたので、オーケストラのサンプルライブラリを手に入れました。新進の作曲家であれば誰でもサンプルライブラリを持っていますね。オーケストラ用の作品を作りたいけれど、ラップトップを買う以上の金銭的な余裕がないからです。ですので、新人の頃はエレクトロニックな要素とクラシックな要素を一体化させる機会は常にありましたが、自然な形でそれらを組み合わせる方法が分かりませんでした。あの頃は、私の作品を演奏してくれる人はひとりもいませんでした。いたとしても、どんな作品を作ったのだろうかが想像できません。幼少時代に経験した無人の音楽を作りたかったのです。知り合いの演奏家もいない、雇うお金もないという状況でなんとかやりくりするために、LiveのSimplerを使い始めました。昔作曲した音楽をリサンプリングし、新しい素材、テクスチャ、メロディを作りました。そして、さまざまなサイズの部屋とパンニング位置で実験をしたのです。Simplerでマニピュレートする素材を増やすため、友人たちと録音を始めました。サンプルを使用し、それらをバロック音楽バイオリニストのミドリ・ザイラ―、カウンターテナーのアンドレアス・ショル、オーボエ奏者のアルブレヒト・マイヤー、STÜBAフィルハーモニック・オーケストラなどのミュージシャンと組み合わせるという手法が私の持ち味となりました。 有名オーボエ奏者アルブレヒト・マイヤーと演奏するファビアン・ルス ほとんどのアーティストが単発プロジェクトとしてマルチチャンネル・システムを使用するのに対して、あなたはよりひんぱんにこのシステムを使用されているように思います。複数の出力による可能性とその難しさについて少しお話しいただけますか?また、こういった空間的サウンド・システムを使用する意図についてもお聞かせください。2012年にRadialsystemで同僚たちと一緒に働き始めたとき、エレクトロニック・ミュージックとダンスとミドリ・ザイラ―のバロック・バイオリンを組み合わるというアイデアはすでにありました。Radialsystem創立者のひとりであるフォルカート・ウーデはこのアイデアを私に伝え、私はクラシックの要素とエレクトロニックの要素を組み合わせる方法を見つけると彼に伝えました。自宅のスタジオに戻ってから、LiveのSimplerを開き、ミドリ・ザイラ―によるバッハのパルティータのソロ・バイオリン演奏をSimplerに取り込み、検証を始めました。ウーデの当初のアイデアは4チャンネルのサウンド・システムを使用するというもので、ステージの四方にスピーカーを配置するものでした。オーディエンスの居場所は、ダンサー、バイオリニスト、私と同じくステージ上になります。自宅のスタジオで4チャンネル・システムをシミュレートしてみたとき、自分の頭の周りをサウンドで円上に取り囲むというアイデアを思いつきました。それで、空間音響を専門とするドイツ中の大学に連絡を入れました。ライプチヒの若いプログラマー、エゴール・ポリアコフが、IRCAMで開発されているというマルチチャンネルの空間音響をコントロールするソフトウェアについて話してくれました。私たちはそのソフトウェアを購入し、彼に私たちの演劇作品『Inside Partita』用にソフトウェアを適応させてもらいました。オーディエンスは、複数のスピーカーにより描かれる円の内側に座ります。サウンドはオーディエンスの周りを旋回し、バイオリンの音と組み合わせられます。私が作成したバッハのマニピュレーションは、このサーキュラー・システム用に特別に組み立てられており、この種の環境でのみ機能するようになっています。すべてのファイルに対して特殊なモノ・マルチチャンネル・マスタリングを使用しており、円でのみ使用できるようになっています。 『Inside Partita』用にセットアップされたサーキュラー・サウンド・システムの様子 こんな事情で、これが私の「標準的な」仕事環境になりました。「円」が思考の基本になったという感じでしょうか。私たちは、技術的な部分をできるだけシンプルにしようと常に心がけています。ラップトップを使用しての作業で、クラシックで学んだ演奏者とのコラボレーションにおける障害にはどのようなものがありますか?伝統的なアコースティック楽器のようにコンピューターを直感的かつ「音楽的」に動作させるためにどのようなことを行っていますか?コンピューターを使用する上での根本的な問題のひとつは、生演奏とは異なり、自分が音を発しているのではないことです。音を生成するのはコンピューターであって、私はそれを制御しているに過ぎません。オーケストラとの演奏はかなり大変です。交響楽団は多数の人間から構成される非常に大きな集団で、オケが指揮者に反応するのにも時間がかかります。メトロノーム・クリックを指揮者のヘッドフォンに送信することもできますが、それではオーケストラがマシンの一部になってしまい、自然な動きが抑制されてしまいます。私たちの心の動きと同じで、オケは常に変化しています。ですので、共同作業のための興味と思慮に富む方法を見つけることには時間と労力を使います。ソリストでも同じような問題があります。演奏はパフォーマンスごとに異なります。ミドリ・ザイラ―やアンドレアス・ショル用に作った作品のように非常にデリケートなサウンド構造の場合、これが課題となることもあります。基本的に、私の作品に合わせてミュージシャンに演奏してもらうしか選択肢はありません。ライブ・パフォーマンス中に思い通りのサウンドを得るための別の解決策はまだ見つかっていないのです。 ファビアン・ルスについて詳しくは、彼のウェブサイトをご覧ください。

ジミー・エドガー:システムを機能させるには

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ジミー・エドガー:システムを機能させるには

ジミー・エドガーの音楽を聴くとき、モジュラー・シンセサイザーが頭に浮かぶという方は多くないでしょう。洗練されたスタイルはファンクとR&Bのるつぼから生まれたもので、彼の故郷であるデトロイトに由来するエレクトロ、ハウス、テクノの変異株にも注意を払ったものとなっています。「白衣をまとった科学者」的な匂いを醸し出すモジュラーの世界との関わりを感じさせないセクシーなサウンドです。また、彼のトラックがダンスフロアを揺さぶるものである一方、モジュラー・ミュージックには比較的知性に訴える作品が多いのもその理由でしょう。このような矛盾は、エドガーの制作活動のプロフェッショナリズムを物語るものである一方、モジュラー・シンセにまつわるステレオタイプが、スタジオにおけるモジュラー・シンセの多用途性を伝えるものではないことを示しています。Abletonは、自分のスタイルを変えるのではなく引き立てるためにモジュラーを活用する方法、またモジュラーを使用してドローンやザップ音ではなく音楽的な結果を得るための方法についてエドガーに話を聞きました。 ジミー・エドガー『Who’s Watchin?』 最新のDJセットで、非常にストレートなリズムが強調されており、スイングがほぼ完全に排除されていたのが印象的でした。かなりの割合で独自の素材を使用されているように思えましたが、この堅固なエレクトロファンクのグルーヴを実現するためにモジュラーが果たしている役割とはどのようなものなのでしょうか? DJセットについて話すと長くなるので止めておきますが、手持ちのトラックはすべてスイングのパーセンテージで整理しています。これは単に技術的な理由からなのですが、私にはストレートからスイングへの推移が少し耳障りに感じられ、またハウス・ミュージックの多くにはスイングが感じられます。そんな理由で、私はシャッフル済と未シャッフルのトラックを分けています。ハウス・ミュージックは大好きですが、スイングのないハウス・ミュージックが好きです。モジュラー・ミュージックに関しては、場合によります。スイングをいろいろ試すのが好きなのですが、スイングをモジュラーに持ち込もうとすると、いろいろと難しいことがあります。スイングは16分音符おきに前後に動くので、それを考慮してパッチを設定しておく必要があります。完全にスイングするクロックを使用するか、MIDIを使用して連携させる必要があります。モジュールによってはこれに対応できますが、すべてではありません。基本的には、マシンのような音楽が好きなんです。モジュラーの世界に飛び込むとき、クロスモジュレーションでのビープ音の実演ビデオを観たりすることがよくありますが、モジュラーを操作している人の顔が見えないことがほとんどです。複雑なパッチで友人を感心させる以外に、これにどんな意味があるのだろうと考える人も少なくありません。この点について、こう考えるのは私だけではないと思います。というのも、私自身、モジュラー・シンセシスを取り入れるようになったのはかなり最近のことで、それより前にはモジュラー・シンセシスでかなり苦い体験をしています。音楽制作歴は15年ほどになりますが、モジュラー・シンセシスを知ったのはずっと前です。友人のスタジオか何かだったと思います。 デトロイト・エレクトロの重鎮Ectomorphの『Breakthrough』 まだデトロイトにいらっしゃった頃ですか?はい、デトロイトのスタジオです。EctomorphやPerspexといったエレクトロ界のミュージシャンはモジュラーに夢中でした。私も興味はありましたが、自分で検討してみたとき、すぐに魅力を感じたわけではありませんでした。モジュラーでうっとうしいノイズを作っている人が多すぎると思いました。時間のあるときにやるにはいいけれど、シンセを実演するには直感的でないし、興味をそそるものでないと思います。YouTubeで「モジュラー」と検索する人は、いろんなノイズを生み出せることに少し面食らうかもしれません。何の方向性もないままいじり回すのはとても楽しいですが、私は、モジュラーから音楽的な何かを生み出すことに興味がありました。なので、シンセシスにおいて次のステップに進もうと決めてシステムの構築を始めた5年くらい前まで、モジュラーで満足のいく音楽を作ることができると思っていなかったんです。習得スピードについてはいかがですか?私にとっては、それはまったく問題ではありませんでした。いろいろな理由がありますが、ひとつは私にプログラミングの知識があったことです。たいした知識ではありませんが、数年間Max/MSPにはまっていた時期があったので、シンセシスの専門用語や基本的な概念は頭に入っていました。Reaktorでのプログラミングでも、ハードウェアの扱いについての基本を学べました。ですので、新しいことは何もありませんでした。とにかく実際に触ってリサーチするのが楽しかったので、面倒なことをしているという感覚はまったくありませんでした。習得スピードの問題は、時間に余裕がなく、習得を楽しめない人に該当する問題だと思います。課題や困難に取り組むことを楽しめるようなら問題はありません。新進プロデューサーや駆け出しシンセサイザー奏者にとってのエントリー・ポイントという考えがモジュラーの売り文句としてより一般化してきましたが、ビギナーがベーシックなラックを手に入れることは、無理をしていることにはなりませんか?この点において、私は何もマイナスな点はないと思います。上級者向けのシンセシスに飛び込むつもりなら、それがどれほど骨のあることなのかを知っておいた方がいいと思います。はじめから選択肢がたくさんあると、圧倒されて手に負えない場合も出てきます。シンセシスの知識がまったくない場合、かなりのリサーチと実験的作業が必要になることを覚悟しておいた方がよいでしょう。ただ、ここで言っておきたいのは、これこそモジュラーのすばらしい点であるということです。実際に手で触れて試行錯誤することができます。それは、楽器を手に取り、演奏を学ぶのに似ています。モジュラーはその構築によっては楽器そのものです。こういった可能性に触れることがこれまでにないほど簡単になりました。モジュラーがより親しみのあるものになったこの状況について、すばらしいとしか言えません。FabricのミックスCDではあなたの作品が大きくフィーチャーされていますが、その大部分にはモジュラーの影響がはっきりと見て取れます。Fabricのミックスに収録されている作品では、モジュラーは基本的にドラムマシンとモジュラー・シーケンサーの役割を果たしています。4/4のビートにイレギュラーなシーケンシングを多用して、連続する感じを出しています。モジュラー・エフェクト、特にバケツリレー・ディレイをたくさん使用しています。EQとフィルター・シーケンシングも多用しています。Cwejmanのレゾネーターもすごく気に入っています。いくつか所有していますが、すばらしいです。モジュールにベーシックなメトロノーム・クリックを送ると、特定の特性でリングアウトします。一種のサージ・フィルターのようなものです。レゾネーターにはそれぞれモジュールごとに4つのターンテーブル・ピッチがあり、バンドパス・フィルターになっていてマリンバ・サウンドや一風変わった金属音を得ることができます。本当にいいモジュールです。 モジュラーを使用してスタジオでジャム演奏するジミー・エドガー 最近、モジュラーには触っていますか?多忙なツアー・スケジュールの合間に時間は捻出できていますか?私の場合、モジュラーを触っている時間よりも触っていなかった時間の方が長いので、音楽制作に必ずしもモジュラーが必要ということはありません。私にとっては、単にインストゥルメントのひとつでしかありません。ほぼ毎週DJしていますが、本当のところはやはりプロデューサーなので、私にとって自分が一番輝けると感じるのはスタジオにいるときです。ですからいうまでもなく、モジュラーとスタジオで過ごすのが好きです。スタジオでは、モジュラーを単に音を出す機械ではなく楽器として扱っています。だから録音もしますし、ツアーに持ち出してライブの合間に触ったりもします。リミックスの作業はDJの仕事で出ている間にも行いますが、スタジオでやる方が好きですね。すべてのバランスを取りながらやっています。 ジミー・エドガーについて詳しくは、ウェブサイトおよびSoundcloudをご覧ください。モジュラー・シンセシスに興味を持たれたなら、OSCiLLOT by Max for Catsをぜひチェック!100を超えるパッチング可能なモジュールと、パッチング済みシンセやエフェクトを多数収録した、Ableton Live用のコンプリートなモジュラー・システムです。

Mayur Narvekar、タブラ、伝統、Liveについて語る

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Mayur Narvekar、タブラ、伝統、Liveについて語る

伝統的なインド音楽の起源は、数千年も歴史を遡ります。タブラやシタールといった楽器を習得することは、世代にわたって受け継がれてきた口頭伝承の知識を要するライフワークでした。一方、現代の音楽制作ソフトウェアの歴史はわずか数十年です。これら2つの世界を引き合わせることで、Mayur Narvekarの作品にみられるような興味深い様式の交配が導かれることもあります。 20年にもわたるタブラ研究を経て、Mayurは今、伝統的なインド音楽の可能性を21世紀のテクノロジーを用いて前進させています。Bandish Projektの一環としての彼の作品は過去と現在の対話をもたらし、タブラのドラミングの複雑なリズムが現代のエレクトロニカのパーフェクトに引き立てることを示しています。Abletonは、これらの異質な音世界同士の出会いについてMayurに話を聞きました。 タブラとLiveを操るMayur Narvekar 私の理解が正しければ、タブラのような伝統的なインドの楽器を習得することはかなり大変なことです。このような楽器をマスターするまでの過程についてお話しいただけますか?タブラを学ぶ学生は、あらゆるリズムを口で「演奏」できるようにならなければタブラを使った練習をスタートできないとどこかで読んだのですが。このプロセスは「パドハン」と呼ばれています。ドラムを使って演奏を始める前に、まずリズムを声に出すのです。これらのパターンを覚えておくと、実際にタブラを触る際に事がより容易に進みます。非常にゆっくりとした段階的なプロセスです。自分が思った以上に長い期間この形式を学ぶ忍耐と練習が必要です。タブラ・ボール(タブラ演奏での律動的音節および句)を100回演奏すれば、それをよく理解できるようになります。1000回演奏すれば、体がそれを覚えるようになり、学んだことを独自の作品に昇華することができるようになります。完璧さに上限はありません。伝統音楽の側面をどのようにして制作に取り込んでいますか?一例として、こちらのビデオをご覧ください。私のタブラのリズム・パターンをグライムのビートに組み込んだものです。 制作テクニックを解説するMayur 自分がいいと思うものから始めます。ビート、サウンド、ノイズなど、私の感情に訴えるものであれば何でもかまいません。タブラのような伝統楽器を習得することは非常に理に適ったプロセスで、他の分野において成長する助けになります。特定のテクニックについて言っているのではなく、さまざまなアプローチを必要とするさまざまなシチュエーションに身を投じるという意味でです。ソフトウェアはたくさんの選択肢を与えてくれます。そのため、もともとのアイデアとは関係のないことに多くの時間とエネルギーを注ぎ込んでしまいがちです。結果として満足のいかないサウンドが出来上がってしまいます。ですので、自分の求めるものに忠実であることが非常に大切です。だからといって、実験はいけないという意味ではありませんが。 Bandish Projekt『Sargam Breaks』 インド音楽の歴史は非常に古い一方で、エレクトロニック・ミュージック制作は比較的新しいものです。この2つのアプローチを自然な形で共存させることについて難しさを感じることはありますか?また、伝統的な要素を新しいテリトリーで素材として利用することについて違和感を感じることは? そうですね、トラックに何が必要かによります。パワフルな音と自然な美はどちらも同等に重要なゴールです。私のアルバム『Correkt』収録のトラック『Sargam Breaks』を取り上げてみましょう。冒頭から1分で登場する伝統的なボーカルは後にも登場しますが、今度は細かく切り刻まれています。新しいメロディラインに並び替えていますが、エレクトロニックのグルーヴのリズムに合うような形にシーケンスしています。 Mayur Narvekarについて詳しくは、彼のウェブサイトをご覧ください。

キース・フラートン・ホイットマン:モジュラーの迷路をナビゲート

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キース・フラートン・ホイットマン:モジュラーの迷路をナビゲート

近年、モジュラーの分野に注目が集まっています。これまでのモジュラー・システムがスペシャリストを対象としたものであったのに対し、最近のモジュラーは、プロ仕様の製品を買い求めるコンシューマーを対象としたものとなっています。これから導入しようとお考えの方は、いくつか注意しなければならない点があります。エキスパート直伝の知識は、何よりも参考になるでしょう。そこでAbletonは、キース・フラートン・ホイットマンに連絡を取り、モジュラー導入の是非について意見を聞きました。ホイットマンは、Max/MSPからオウドまで、ソフトウェアとハードウェアの両インストゥルメントに精通しています。彼は、ミュジーク・コンクレートの先駆者ピエール・シェフェールにより設立された音楽研究機関でヤニス・クセナキス、ベルナール・パルメジャーニといった人材を輩出してきたフランス音楽研究グループ(Groupe de Recherches Musicales、GRM)スタジオ収蔵の知る人ぞ知る機材の宝庫に立ち入ることを認められました。 ホイットマンの『Rythmes Naturels』抜粋(GRMスタジオにて作曲されたもの) 2000年初期以降、ホイットマンの名はモジュラーの代名詞となりました。現在、小規模モジュラー・メーカーはこぞって最新デザインのテストを彼に依頼するようになっています。彼はまた、配給会社Mimarogluを通じて、無名の新しい実験的な音楽のためのプラットフォームも提供しており、また自身もEditions Mego、PANから個性的なオーディオ作品を定期的に発信しています。モジュラー転向者でありながら、昨今のモジュラー・シーンには懐疑的なアプローチを取っており、過剰な評価をしがちな熱狂的ファンの意見に包まれたこの分野に有益な見解を提供してくれています。 モジュラーを導入したとたん、パッチとプロセッシングの迷路にはまり込み、音楽を完成させることができなくなってしまうということがお約束の展開としてよく言われますが、モジュラーの世界とのファースト・コンタクトはどのようなものだったのでしょうか?あなたにもウサギの穴に迷い込んだように感じられましたか?私にとって初めてのラック構築を始めたのは、ベルリンに行った1998年か1999年のことでした。ミッテのアパートに滞在していたのですが、1階にDoepfer(ドイプファー)のモジュールだけを販売していたシンセのお店があったんです。ドネルケバブを買って、ショーウィンドウの前に立って巨大なシンセを眺めながら、「ラップトップとMaxを操るより、この方が簡単なんじゃ?」と考えたんです。それで、小さなスーツケースに収まるオシレーターとフィルターを入手しました。その後、6カ月ごとにベルリンに戻り、いくつかのモジュールを購入していきました。モジュラー・シンセシスを学んでいた間は、確かに音楽を作ることはなかったですね。ジグソーパズルを組み立てているときのようなもので、最中は完成画についてあまり関心がないんですね。2001年だったか2002年だったかにそのラックを完成させてからは、コンピューターよりもこのラックを使用して音楽制作を行うようになりました。モジュラーがもたらすのはサウンドだけです。これってすばらしいことなんですよ。フェイスブックもないし、メールもないから、集中力が脇にそれることがないんです。音だけ。サウンドを作るためだけに存在しているんです。世間に向き合いたくなかったりインターネットを使いたくない今日みたいな朝は、モジュラーを立ち上げます。1日が終わる頃には、5分間のクールなサウンドが出来上がります。 キース・フラートン・ホイットマン、Doepferモジュラー・システムを限界まで使い倒す 理想的なシチュエーションのように思えますが、モジュラーを学ぶことのハードルの高さと、高価であるモジュラーを入手することの難しさは、なかなか乗り越えるのが大変です。正気とは思えないほど金のかかる趣味ですよね。ビンテージ・カーをレストアするようなものです。数千ドルもするモジュールはたくさんあります。もちろん、入手困難な高価なモジュールを最初に手に入れた者がこの心理戦に勝利するんです。それに、モジュラー・シンセのメッセージ・ボードを運営するというカルチャーも、私の手には負えません。きついですね。だからあまり見に行ったりしません。書き込みをしたこともあったんですが、投稿数が少なすぎて追い出されました。ロマンチックに聞こえるかもしれませんが、モジュラー・シンセの物理的な特性が、オーディオの流れを理解する新鮮な手段を提供してくれるような気がするんです。モジュレーションとプロセッシングが何であるかを実際に目で見て手で操作することができますから。ひとつひとつの端子、コード、ノブすべてに機能があります。すべてがそこにあるんです。大部分において、見たとおりのものが結果に反映されます。モジュラーにはプリセットがないのですが、これもまた重要な点です。そのモジュールのシグナルの送受信の仕組みなどを知っていなければなりません。モジュラーは貫禄のある外観をしています。巨大なシステムを扱っている人を見ると、壮大な可能性を思わせるたたずまいがあります。シグナルの入出力には無限の方法があります。どのような機材も同じ言葉を話す、同じ電圧範囲であるということはすばらしいことです。取り返しの付かないことになる、ということがないんです。出力を出力に接続したからといって壊れるということはありません。私はMax/MSPユーザーですが、あるパッチを作成していて、その過程で何か間違いを起こしてしまうと、すべてがクラッシュしてしまいます。モジュラーではそういうことはありません。もちろん、モジュールを上下逆にパッチングしたりすれば壊れてしまいますが、セットアップを完了してしまえば、上手くいかないということはありません。これまで自分が作った最高傑作に、午前2時にほろ酔い加減のときに生まれたものがあります。ある特定のサウンドを作成しようとしていたのですが、端子を間違えてキーキー音の奇妙なノイズになったことがありました。「いいね。だがいったい何事だ?」と思ったら、ある出力を別の出力に接続していたんです。出力同士がけんかしていたんです。こういった触知性、電圧の動きが、電気によってケーブル内で実際に起こっているんです。一連の整数値ではなく、電圧と電圧のぶつかり合いなのです。この物性が、一部の人を強烈に魅了しているのだと思います。 2013年のPAN ACT Festivalでのホイットマンのライブ・パフォーマンス モジュラーの世界では、インストゥルメントからどういった音楽が生まれるかよりも、むしろインストゥルメント自体に焦点が置かれているように思えます。まったくそのとおりです。機材に偏重した議論のほとんどは、機材に偏重した音楽による産物です。これは必ずしも良いこととはいえません。優れた音楽とは、テクニックや使用されるシステムを超越しています。ツアー中にデモがたくさん送られてくるのですが、その多くは「モジュラーを手に入れた」のでCDを出しました、といった感じなんです。悪いとはいいませんが、私はレコードを出す自信が付くのに15年もかかりました。インストゥルメントを手に入れてわずか1週間でその仕組みを理解し、かなりのレベルで使いこなせるようになるというのが当たり前と考えられている今の状況が、奇妙に思えてなりません。だからノイズばかりが氾濫するようになる。それが何であるかという基本的な概念を理解する前に手を付けてしまうんです。音楽に関することより、機材に関することについて話すことが増えたのも、とても変なことです。これらのインストゥルメントが比較的新しいこと、最近注目を浴び始めたこと、美しく興味を引く外観であること、各機材の個性が強いことのほかに、その理由は考えられません。 モジュラー・シンセシスに興味を持たれたなら、OSCiLLOT by Max for Catsをぜひチェック!100を超えるパッチング可能なモジュールと、パッチング済みシンセやエフェクトを多数収録した、Ableton Live用のコンプリートなモジュラー・システムです。キースと彼の作品について詳しくは、キースのウェブサイトをご覧ください。

Laidback LukeのLiveセットをダウンロード

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Laidback LukeのLiveセットをダウンロード

完全無欠のトラックを耳にして、いったいどうやって制作されたのだろうと不思議に思ったことは少なくないでしょう。パーフェクトなミックスダウンは、得体の知れない手の届かない存在のように思われがち。一流のプロデューサーたちと同じツールを使って制作しているにもかかわらず、同じようなサウンドにならない場合はなおさらです。もしかすると、有名アーティストのLiveセットには、スタジアムを熱狂させるセットと物足りなさを感じさせるデモとの違いを明らかにする秘密が隠されているのかもしれません。幸いなことに、オランダEDM界のベテランLaidback Lukeが私たちのこの好奇心に応えてくれました。クリエイティブな共有プラットフォームSpliceから彼の作品『Stepping To The Beat』のLiveセットをダウンロードし、その内容を分析してみましょう。LukeのLiveセットを入手するには、Spliceアプリをダウンロードする必要があります。Liveセットをダウンロードして、彼のテクニックをご自身でも試してみてください。Abletonは、ステレオでミキシングすることの危険、レイヤーの重要性、クラブのシステム用のミックスダウンについてLukeに話を聞きました。Laidback LukeのLiveセットをSpliceからダウンロード Laidback Lukeの『Stepping To The Beat』 このトラックにはかなりのレイヤーが使用されていますね。これらの要素の座りをよくするためにEQとエンベロープの操作にかなりの時間をかけているのでしょうか?バランスの取れたレイヤーを実現するのに頼りになるメソッドは何かお持ちですか?適切なレイヤーへの鍵は、周波数間の差異を見つけ、それを、それぞれの周波数で突出しているサウンドで埋めていくことです。「リード・サウンドがちょっと薄いな」と思ったら、300Hz域に目立つサウンドを探す、といった感じの簡単なことです。2種類のサウンドだけなら、EQで300Hz的なサウンドから3kHzの一部を除きます。そしてリードには300Hzサウンドが含まれないようにします。こうすることで、2つがまるでパズルのピースのようにうまくかみ合うようになります。これらを1チャンネルにまとめ、糊の役目を果たすコンプレッションを少しかければ、1つのユニットとして機能するようになります。クラブ・システムでサブ・レベルをテストすることの重要性についてお話しされていましたが、定期的に大型モニターに触る機会のない人たちに何かアドバイスをいただけますか?低価格のバスレフ型モニターではローエンドの聞こえが分かりづらくなることがあるため、高品質のヘッドフォンがよりふさわしいかと思うのですが。私は、すべてSOL Republic Calvin Harris XCヘッドフォンを使用して制作しています。スタジオでもですよ!完全にヘッドフォン系プロデューサーです。実をいうと、約20年ほど音楽制作を続けるうちに、耳が敏感になってきて、スタジオ環境のいわゆる「スイート・スポット」というのに我慢できなくなってしまいました。室内にスイート・スポットがあるということは、頭の位置を変えるとサウンドが変わってしまうとことになります。つまり、突然ミックス全体の聞こえが一変してしまうということです!これにはもう耐えられません。ヘッドフォンを使用すれば、こういった状況を排除できます。その後で、使用可能なシステムを利用してチェックするのはいいアイデアでしょう。ラップトップのスピーカー、車内、電話などですね。過剰な周波数を見失わないためにヘッドフォンでの操作で最も重要なのは、制作中の自分のトラックと、どこでも優れた聞こえ方をするプロのトラックとのA/B比較をコンスタントに行うことです。プロのトラックは、優れたサウンドを導く原理であり、地図であり、ガイドラインです。自分のサウンドのヘッドフォンでの聞こえ方が、これらのサウンドのヘッドフォンでの聞こえ方と同じになるようにすればいいのです。ただし、ヘッドフォンでは、モノでのミキシングが重要です!私の口癖は、「モノこそ真実」です。トラックのステレオ・イメージは簡単に耳を欺きます。ですので、私はトラックの仕上げの最後の段階でステレオにします。スタジオで作業しながら、クラブで要求されるエネルギーのレベルを保つ方法についてはいかがですか?スタジオにいながらオーディエンスを意識したサウンドのイメージを作り上げるのは難しいというアーティストもいますが。その通りです。繰り返しますが、だからこそ自分の作品とクラブでいいサウンドをもたらす作品とを比べる必要があるのです。これがガイドラインになります。参考にしているトラックに比べて、自分のトラックのサブやミッドレンジが強いと思ったら、それは、クラブでプレイしたとき問題を生じさせる周波数が含まれていることのサインです。 Laidback Lukeについて詳しくは、ウェブサイトおよびSoundcloudをご覧ください。

インプット/アウトプット:Afrikan Sciences

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インプット/アウトプット:Afrikan Sciences

シリーズ「インプット/アウトプット」では、Abletonコミュニティに属するプロデューサーのスタジオを訪ね、彼らの制作プロセスに取り入れられるインスピレーション、テクニック、技術と、そこから生まれる最新の音楽作品に光を当てていきます。冒険的なレーベルPANから到着した『Circuitous』は、Eric Porter DouglasことAfrikan Sciencesの最新アルバムです。表向きには現在そしてここ最近のクラブ・ミュージックやダンス・ミュージックに関連したものでありながら、Afrikan Sciencesは、『Circuitous』でテクノ、ジャズ、ヒップホップ、ファンクのメロディとリズムを目を見張るほどフレッシュな構造に織り込んでいます。心を引きつける親しみやすさと際だった異質さを併せ持つDouglasのトラックは、聴く者を独自の軌道へと引き寄せます。初めのうちは違和感を感じますが、方向感覚を失う瞬間は、純然たる先験的な幸福感と均衡の状態にあることも少なくありません。Douglasの音楽に魅了されたAbletonは、ニューヨークを基盤に活動するプロデューサーである彼にインタビューを敢行。彼の制作活動について話を聞きました。あなたのトラックで常に特徴的であり、今回の新作で特に強調されているのは、リズム要素が2つ以上の方向に同時にプッシュされている点です。ビートメイキングに対するあなたの一般的なアプローチ/姿勢についてお話しいただけますか?ポリリズム・ステムに対する私の考えとアプローチは、最も人間の感覚に近いドラム・プログラミングやライブでのパート演奏を実現するためのニーズから来ています。また、複数のドラマーが同時に会話のやりとりを行うとどんな風に聞こえるのか、また、会話に参加している各ドラマーのバックグラウンドがそれぞれ異なっている場合、言ってみれば異なる言語を話す場合どうなるのかという観点からでもあります。この会話はどんな風に聞こえるのでしょう?こういった分裂を加えると、新しい均衡がもたらされます。拍子記号を別の拍子記号に重ね、クオンタイズされたプレイに漠然としたプレイを重ねるのです。得られる結果がどのようなものであれ、リズムの並置を掘り下げることは楽しいものです。ここでいうドラマーとはすべて人間のドラマーのことを意味しているのでしょうか?というのも、あなたのリズム構造にはマシンのような要素がしばしばみられるからです。リスナーとして、またミュージシャンとして、「クオンタイゼーションの連続」のルーツはどこにあるとお考えですか?ドラマーについては、すべて人間というわけではありません。トニー・アレン、ミッチ・ミッチェル、クラフトワークのドラムマシンが一緒にプレイしているようなイメージです。若い頃、リスナーとして作品で聞くことのできるドラムの虜になり、ティーンエイジャーになって初めて作品作りのようなことを始め、初期のドラムマシンに触れてからはさらにその傾向が強くなりました。ひとつ気付いたのは、ドラムマシンがポピュラー音楽を席巻した1980年代に起こった転換でした。私は、これこそミュージシャンが後になって「ドラムマシンには魂がない」というシュプレヒコールを上げてドラムマシンに反発した理由だと思います。私はこの言い分に不満を感じており、思いやりの感情とエレクトロニクスを調和させたいと考えていました。私は80年代中頃から後半にDJとしてスタートしました。組み合わせに対する音感とリズムに対するダイナミックな感覚が培われたのはこの時期です。レコードのビートをうまく操作し、新しいリズムを生み出してチューンの拍子や時間のフィーリングを変更するのです。つまり、ターンテーブルこそ私が最初に扱った楽器で、その後、ベースの弾き方を学んでレパートリーに加えました。 Afrikan SciencesのBoiler Roomでのパフォーマンスの様子 『Circuitous』制作時のスタジオのセットアップはどのようなものでしたか?スタジオの内容は絶えず変化していますが、ここ数年は、モーグ・リトル・ファッティ、アッシュボリー・アップライト・エレキベース、Waldorf Streichfett、iOSアプリいろいろ、サードパーティ製Audio Unit/VST、Max for Live、それに核としてLiveを使用しています。Live内でのセンド&リターン・システムを気に入っていて、外部インストゥルメントとエフェクトにAudiobusといったすべてを上手く連結してくれるiOSアプリを使用しています。トラックごとにいくつのセンドとリターンを使用することが多いですか?どのような信号をどのようなデバイスに送っていますか?トラックあたりのセンドについては、平均して1~4つを使用しています。Live内の内部ルーティングと、Motu Travellerといったオーディオ・インターフェースやiConnectmidi 4+のオーディオ・パス・スルー・システムを介した外部機器へのルーティングを組み合わせています。Holdernesss MediaのEcho Padなどのエフェクト、モーグのFiltatron、Amazing NoisesのGlider Verbなど、iOSアプリが気に入っています。KAOSS PADとmonotron DELAYなどのコルグ製品にも信号を送って面白い効果を生み出しています。ミックス・ボードを触ることもたまにありますが、ミキサーを持ち出すことはないので、普通はセンドリターン・セットアップに加えることはありません。ライブ演奏へのアプローチについてお聞かせください。典型的なライブ・パフォーマンスで、どれくらいの割合で、どのような要素をインプロヴァイズされていますか?今でも、安全かつ自発的なライブ・パフォーマンス方法におけるバランスを模索中なのですが、私の考えでは、完璧に準備されたセットは退屈だし、かといって早い段階でオーディエンスの関心を引き寄せることも重要だと思います。ですので、ほとんどの場合、リズム・セットだけは用意しておき、あとはスタート後の流れにあわせられるようオープンな状態にしておきます。また、あらかじめ演奏しておいた楽器のクリップを、Pushからアクセス可能なインストゥルメントと一緒に用意しています。外部インストゥルメントとデバイスすべての同期とコラボレーターとの同期には、iConnectmidi 4+を使用しています。ソロの場合、テンポと拍子をいろいろと変化させることが多いです。今、ライブをできるだけダイナミックなものにする方法について検討していて、ダンスの動きをこっそり練習しているんです(笑)。今後はアップライトをギグでもっと使用していこうと決めています。ライブでPushをご使用になっていますね。入手のきっかけはパフォーマンス用だったのですか?Pushについては、スタジオ・セットアップとライブ・パフォーマンスの両方に使うつもりで手に入れました。全体的に、どちらの状況においてもかなり満足して使用しています。ライブ・セットでは、シーンのコントロール、エフェクト・オートメーション用のダミー・クリップのトリガー、Max 4 Liveパッチ経由またはシフト・ボタンと一緒によりニュアンスのある動きを得るためのテンポ・ノブから直接のテンポ変更の調整にPushを使用しています。また、Drum Rackのライブ・ドラミングと、奇数長をループさせて無音を加えることで休符用のクリップの長さとオフセットの調整も行っています。たとえば、4小節のリズムをドラム・ラックで再生し、そこにたとえば3小節の別のリズム・トラックを重ねて、7小節サイクルのパーカッション・トラックを加えます。同時に、Push上でループ長コントロールを使用してオリジナルの4小節リズムのループ・ポイントをずらします。最初の小節ではなく第2小節にずらし、無音の第5小節に繰り越すか、長さをすっかり変更してしまいます。こういったバリエーションを作成して、面白みを出すのが好きです。一緒にキーをプレイするのもいいですね。クリップのローンチは色分けのおかげでより直感的になりますが、確かに大型のセットだと、混乱しないよう悪戦苦闘することもあります。ギグのたびに、別の方法を見つけています。できるだけ少ない操作でより多くを行うのが目標です。 Afrikan Sciencesについて詳しくは、FacebookおよびSoundcloudをご覧ください。

Seekae:自信に満ちあふれた『The Worry』制作の裏側

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Seekae:自信に満ちあふれた『The Worry』制作の裏側

2000年代は、ビート中心のエレクトロニカが豊作の時代でした。たとえばシドニーのトリオSeekaeは、J・ディラ一派のヒップホップのシャッフル感とクラシックなEDMの広角なエモーションを組み合わせた新進アーティストです。特にSeekaeは発展性のあるポテンシャルを見せており、2008年のデビュー作『The Sound of Trees Falling on People』は、深奥なエレクトロアコースティック・テクスチャに抜け目ないトリッピング・ビートを融合させており、その手法はいまだに新鮮みを失っていません。それから6年後にSeekaeがリリースした新アルバム『The Worry』は絶賛を受けています。ひっそりとしたスタートからの決定的な進化は際立っており、見事なまでに成熟し自信に満ちた新たなスタイルへの動きを見せています。オリジナル・メンバーのひとりGeorge Nicholasは、Abletonコミュニティのメンバーでもあります。Seekaeとしてのツアーや(同じくシドニー出身のHamish Dixonとのプロジェクト)Cliquesでの活動の合間を縫って、彼はシドニーのLive Schoolでプロデューサー志望者にレッスンを行っています。Pushにも詳しい彼は、お気に入りのテクニックを紹介し、急成長するバンドのメンバーとしてのプレッシャーについての洞察を提供することに非常に意欲的です。 Seekae『Another』 Seekaeでの作曲プロセスについてお聞かせください。どのようにして3名のメンバーの要求のバランスを取っていますか?Seekaeでの作曲プロセスは、皆が同じ街に住んでいないので、かなりまとまりのないものです。Alex Cameronと私はシドニーに住んでいますが、どちらも街を出ていることが多いし、John Hassellはイギリスに住んでいます。なので、3名がグループとして作曲することはありません。1作目の『The Sound of Trees Falling on People』は3人で集まって作りました。今回と比べると、ですが。2作目の『+Dome』もだいたい同じで、当時は共同のスタジオがあって、そこで一緒に作業し、ドラムとギターを録音してミックスも皆で一緒にやりました。『The Worry』の制作中は、皆が世界中のいろんな場所に散らばっていました。なので、一緒には書いてませんね。Dropboxを活用しています。その制作方法は完成作に影響しましたか?より検討されたものになったと思います。個人的には、一人で作曲する方がどちらかというと好きです。誰かと作曲するときは、その場の雰囲気に飲み込まれる可能性が必ずあるように思えるからです。あるアイデアにはまって「ああ、それは最高だね」などと口走ってしまい、批判的な考えができなくなることがあります。また、他の人たちと一緒の室内のムードをある程度ポジティブに保ち、それまでに作り上げたクリエイティブなエネルギーを壊さないようにしなければならないというプレッシャーもあります。一人での作業にはずっと時間がかかりますが、批判、検討、うんざりするほどゆっくりと悪戦苦闘しながらもさまざまな可能性について試行錯誤する時間を与えてくれます。 Seekaeによる『Blood Bank』パフォーマンスの様子(2014年Hype Hotelにて) それでは、ツアーに出る際、どのようにしてそれぞれのセットアップを統合させるのですか?ツアー前にだいたい1週間ほど集まってスタジオにこもり、トラックの再構築を行います。半日ほどかけて、「このトラックはこんな風に、これはこういう感じで」と意見を出します。オーディエンスを引きつけるライブ・パフォーマンスとサウンド・クオリティの間での妥協点を見つけるよう努力しています。単なるWAVファイルのプレイバックにならないよう、かといってサウンドのクオリティがないがしろになりすぎることのないよう、転換点を探すんです。あなたのライブ・セットやチュートリアルにPushが登場しているのを拝見しました。出会いのいきさつについてお話しいただけますか? シドニーのLive Schoolでトレーナーをしているので、ラッキーなことに発売前にPushに触ることができました。かなり初期のベータ・バージョンだったのですが、結局は最終的にリリースされたものにかなり近いものでした。新インストゥルメントとして触った感想はいかがでしたか?はじめのうちは、かなりベーシックな方法で使用していました。マルチカラーのLaunchpadといった感じです。「わあ、カラーだ!いいじゃないか!」って感じでしたね。パワーアップしたLaunchpadやAPCという印象だったので、しばらくそういう風に使用していました。その後、ドラム・シーケンサーにはまり始めました。これがなかなか見事なワークフローなんです。次にメロディ・シーケンサーを使い始めて、度肝を抜かれました。後でファームウェアに追加された機能だったかと思うのですが、メロディの扱い方を一変させました。作品に与えた変化はありましたか?新しい機材を導入することは、必ず変化への新しい視点をもたらしてくれます。サウンドについて新しい方法で考えることができます。Pushは、十二平均律と私との結びつきを変えました。音階を選択するとその音階になり、自由に操作できます。使える音は少なくなったとしても、その音階内で新手法を試すことが非常に簡単になり、私のようにあまり器用でない人に特に便利です。私はこれをライブでシーケンシングに使用しています。私はドラマーではありませんし、フィンガードラミングにも自信はありませんが、臨機応変にシーケンシングできるというのはうれしいです。何をシーケンシングなさっていますか?その場の判断でサンプルを操作しているのでしょうか、それともVSTのコントロールですか?ほとんどの場合、メロディ・ステップ・シーケンサーを使用して非常に短いアルペジオを作成しています。1小節ほどの短いシーケンスをループさせてノートを追加したりVSTのパラメーターを一番上のマクロを使用して変更したりします。こうして、さまざまな要素に微妙な変化を同時に加えることができます。独自のマクロ・マッピングも行っています。それだと、VSTを開いて自動マッピングを確認する必要がありません。通常、手持ちのVSTをインストゥルメント・ラックに入れ、一定のパラメーターを見つけてそれらをマクロにします。ADSR、フィルター、いくつかの空間系エフェクトといったベーシックなものです。Max for Liveはどのようにご使用ですか?Push用に作成されたパッチなどはご使用ですか?Push用の新しいシーケンサー・パッチを送ってもらったばかりです。Maxデバイスはたくさん使用していますが、Pushに特化したものはあまりありません。安全策として、ライブで使用するプラグインとMaxデバイスの数は最小限に抑えるよう心がけています。先日優れもののMaxパッチを手に入れたんです。ひとつはDiffuseという名のSpace Echoのシミュレーター、もうひとつはMagneticというパッチです。どちらもSurreal Machinesのものです。RE-201エミュレーターにコンボリューション・リバーブとオリジナルのワウ、フラッター、グリットが組み合わされています。 『Chro』制作について語るGeorge Nicholas(Live SchoolのInputセッションにて) CliquesはSeekaeに比べてよりフロアを意識した作品となっており、さまざまなUKアンダーグラウンド・サブジャンルが新鮮な手法で掛け合わせられています。制作プロセスに違いはありますか?まったく異なります。実際のプロセスについて言えば、Cliquesのトラックはどれもドラム、ベース、パーカッションからスタートして、その後必要に応じてメロディを補足するという流れです。Seekaeでは、ほとんどの場合コード進行からスタートして、その後、その上にメロディを構築し、ベースラインをかぶせ、最後にドラムを作成します。ドラム・サウンドにはかなり厚みのあるサウンドもありますね。そのまま使用してしまうとドラム・サンプルがビッグすぎると思うことはありますか?ありますね。サンプル・パックには、サウンドが優秀すぎて手を加える隙がないものもあります。サウンドが確立されていて実験の余地がないのです。ただ、Cliquesの制作ではかなりの処理が行われています。Cliquesでは、できるだけAbleton色を出さないように心がけているんです。テープ・サチュレーションのエミュレーション、MaxパッチのDub Machinesのような多数のエフェクト、古い機材のようなサウンドを生むエフェクトをたくさん使用しています。これらはパラレルでミキシングしているのですか、それともチャンネルに直接ドロップしているのですか?場合によりけりです。リターン・チャンネルには必ずSound Toys Decapitaorを置いていて、すべてを少しずつそこに送り、後で圧縮もかけます。バックグラウンドで機能させておいて、少しノイズも送ります。空間系エフェクトのルーティングは複雑ですか?オーディオを複数のセンドに送ってチャンネルに戻しているのでしょうか?いいえ。複雑になるのはラックを使用してラック内でチェーンを多数作成して多数のパラレル・プロセッシングを行う場合です。大抵の場合、私はトラックにサウンドを置き、ラック内で複数のチェーンを作成し、それらのチェーンにEQで特定の周波数帯域を選択します。その後、コンプレッサ―で低域を、コーラスで中域を、オーバードライブで高域をそれぞれ処理します。 SeekaeとCliquesについて詳しくは、FacebookおよびSoundcloudをご覧ください。

2014年の総まとめ:人気ビデオ5本をご紹介

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2014年の総まとめ:人気ビデオ5本をご紹介

2014年の最後は、今年紹介したビデオの中から特に印象的だった5本を改めてご紹介。イェール大学からスウェーデンの森までさまざまな内容を紹介した一連のビデオは、どれもインスピレーション豊かでひらめきを与えてくれます。ヒューマン・ボイスとテクノロジ―のパワーが美しい何かへと融合する様子、Minilogueの圧倒のスタジオ機材、Ira Glassのクリエイティビティについての含蓄ある言葉など、刺激たっぷりの内容です。それではお楽しみください! 1/ A.Squaredがジェイムス・ブレイクをアカペラでカバー合唱であれインストゥルメンタル・ダンス・ミュージックであれ、アカペラ・パフォーマンスには私たちの中にある原始的な何かを揺さぶる力があります。人間の声が編み出すデリケートな螺旋と繰り返される高まりは、人間が長い年月の中で作り上げてきたものです。我々の祖先がLiveを持っていなかったのは残念としかいいようがありません。イェール大学のボーカル・グループA.Squaredがライブ・ルーピング、エフェクト、自身の声だけを使用して、ジェイムス・ブレイクの『Retrograde』を21世紀の合唱曲へと変化させています。グループ・メンバーJacob Reskeのインタビュー全文を読む 2/ マルメの森にたたずむMinilogueのスタジオ次は、今年一番機材オタクをあっといわせたビデオをご紹介。度肝を抜かれるMinilogueのビンテージ・シンセ、エフェクト・ペダル、ラック・エフェクト、ミキシング・ボードの数々は、マニアを腰砕けにするに十分です。さらに驚きなのは、これらの機材がすべてスカンジナビアの森に建つキャビンに収められていること。知覚を研ぎ澄ますための秘密がここにあります。このビデオが伝えるメッセージは表層的なものだけではありません。このデュオは、豊富なツールの世俗的な意味を超越するホリスティックな見地をクリエイティビティに対して持っています。 3/ AbayomiがPushを完全コントロール次は、AbletonのJesse AbayomiがPushを限界まで追い込むビデオ2本をご紹介しましょう。AbayomiはPushのパワフルな機能をいくつか紹介し、リアルタイム・ドラミング、ステップ・シーケンシング、マクロエフェクト・コントロール、サンプル・スライシングを使用して彼の最新トラック『Chemistry』を演奏しています。2つ目のビデオではすべての種明かしがされているので、年末年始の休暇中にビデオのヒントをもとに独自のアイデアを実現してみるのはいかがでしょう。 JesseによるPush向けLiveセット構築の手順説明を含む記事全文を読む. 4/ Kawehiがニルヴァーナの『ハート・シェイプト・ボックス』をカバーこちらも、声と最新テクノロジーが古い観点に新たなアングルをもたらす好例です。『ハート・シェイプト・ボックス』は哀愁と苦しみに満ちたニルヴァーナの作品のひとつですが、Kawehiはこれをライブ・ルーピングとリピッチ・サンプルを使用して斬新なカバーを作り上げています。5/ Ira Glass、理想との隔たりを埋めるには最後は元気の出る記事で締めくくりを。クリエイティブな目標と自分の才能にあまりにも大きなギャップがあるように感じられるなら、このビデオをぜひご覧ください。このビデオは、悪戦苦闘しながらも懸命に取り組む期間がいかにクリエイターにとって重要なものであるかを語るラジオ司会者Ira Glassの独白に鮮明な感情をもたらします。苦しみに飲み込まれてはいけません。すべては、あなたが内に秘めるアーティストになるための過程の一部なのです。

アーティスト・インタビュー2014:人気記事5本をご紹介

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アーティスト・インタビュー2014:人気記事5本をご紹介

Abletonが2014年に学んだこと。それは、サウンドに境界はないということです。音楽とは、枠組みを打ち破り、期待を上回るものなのです。プロデューサー、ミュージシャン、DJたちは、絶えず未知の音を探求し、オーディオの扱いにおける大きな可能性に光を当てています。今年示された多様性と革新性を讃える意味で、Abletonは、音楽を超えた世界にハイライトを当てたアーティストのインタビューから5本を選出し、改めて紹介することにしました。ブラジルのアンダーグラウンド事情から黒海でのフィールド録音まで、世界各地のAbletonコミュニティに生まれたクリエイティビティの持つパワーと可能性についてのストーリーをどうぞお読みください。 David Rothenberg:虫の音楽虫については、やっかいなものとして考える人がほとんどです。David Rothenbergにとって、虫は、創造の根底にある原始的なリズムへと導いてくれるもの。制作で選択肢が足りない気がしているのであれば、Davidによるこのショート・エッセイが視点の変化をもたらすきっかけとなるかもしれません。美しい音は、ありそうもない場所に隠れているもの。実はあなたのすぐ近くにあるのかもしれないのです。虫を使った音楽制作に関するDavid Rothenburgの記事を読む Archie Pelago:クリエイティブ・コレクティブ Mary Anne Hobbsのためのセッション録音を行うArchie Pelago ニューヨークのグループArchie Pelagoは、伝統的な楽器演奏と現代的なエレクトロニクスの狭間で制作を行っています。即興的なその制作スタイルは、偶然性とグループ内の相互作用をエネルギーとしつつ、それぞれが使用する3台のコンピューター・セットアップがワークフローには組み込まれています。制作とパフォーマンスにLiveを使用する彼らの手法は極めて優雅なもので、表現を抑止するのではなく実現するテクノロジーの好例ともいえるでしょう。彼らのインタビューでは、彼らの生まれ持つ才能がLiveによって最大限に高められているその秘密を知ることができます。 次のブラジル:リオとサンパウロの新たな音楽 リオのCarrot Green ワールドカップは、ブラジルのアンダーグラウンド音楽シーンを掘り下げる最高の機会となりました。お祭りムードの下では、経済的および社会的構造の複雑さが、若いアーティストたちが音楽で生計を立てることを難しくしています。このような苦難にもかかわらず、この記事で取り上げた3名のアーティストたちが見せる情熱と熱心さは、メインストリームの水面下で盛り上がりつつある良質な音楽への気付きとインスピレーションあふれる洞察を与えてくれます。 ブラジルのアンダーグラウンド音楽について読む Soundwalk Collective:ソニック・ノマド パリのポンピドゥー・センターでライブを披露するSoundwalk Collective Soundwalk Collectiveは、自身の旅と体験を、つかみどころがなく大いに興味を誘う彼らのパフォーマンスの素材として使用しています。地域性の高い彼らの作品は、一般的な音楽形態の型を打ち破り、オーディオの百科事典と音の旅行記という形を採っています。Berghainの共鳴音からパティ・スミスとのコラボレーションまで、Soundwalk Collectiveのストーリーは、音楽を超えたオーディオの可能性に言及しています。インタビュー全文を読む. Quantic:ナチュラル・アトラクション最後は、QuanticことWill Hollandが国をまたぐレコーディング・プロセスについて語ったインタビューです。そのクリエイティブ・メソッドとは、ときにはただ1曲のレコーディングのために大陸や時間帯を超えて旅するというもの。可動性は、プロデューサーやミュージシャンが利用できる最も強力な新ツールのひとつ。Quanticのストーリーは、デジタル・ドメインにおける文化交流の可能性を紐解くものとなっています。記事をチェック.

F.X.Randomiz: シュトックハウゼン、Push、サイバネティック・コード

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F.X.Randomiz: シュトックハウゼン、Push、サイバネティック・コード

カールハインツ・シュトックハウゼンを取り巻くイメージは、称賛と誤解が均衡しています。時として論議を呼ぶ存在であったことは確かですが、シュトックハウゼンの革新的な電子音楽作品、オペラ大作、管弦楽曲、合唱曲、器楽曲、そして電子音楽の理論的解釈、音響空間、偶然性の音楽への貢献は、20世紀後半の「アヴァンギャルド」な音楽とポピュラー音楽の両方に直接または間接的に影響を与えています。 シュトックハウゼンの莫大かつ多様な作品には、比較的頻繁に上演されているものもあれば、ヘリコプターが利用可能かどうかで上演の可否が決まる作品や、技術的に極めて要求度が高く実質上上演不可能なものもあります。そういった作品のひとつ、『Expo für 3』は、完成後43年の月日を経て初めて上演されました。難解でグラフを用いて記譜されている『Expo für 3』の「サイバネティック」な楽譜を興味をそそる音楽作品へと変換するという挑戦に、Mouse on Marsとの作品で知られるサウンド・アーティストのF.X.Randomiz、ボーカリストNatascha Nikeprelevic、ボーカリストでシュトックハウゼンと同じドイツ出身のMichael Vetterが取り組みました。3名は、『Expo für 3』のリハーサルとアプローチへの微調整に2年をかけ、上演後、シュトックハウゼン出版社の公式レコード・レーベル用に作品をレコーディングしました。AbletonはF.X.Randomizにインタビューを敢行。『Expo für 3』上演実現のためのPushとLiveの使用方法、エレクトロニックな要素と人間的な要素の相互作用を調整し、極端な即興をシュトックハウゼンの楽譜への忠実性でバランスをとるために3名のミュージシャンが用いた手法について話を聞きました。 『Expo für 3』の上演が困難な理由は何ですか?1970年に書かれてから、『Expo für 3』は一度も上演されていません。その記譜法が非常に独特で、上演は不可能だと考えられていました。この記譜法はサイバネティック楽譜ともいえるもので、固定の音、デュレーション、メロディ、リズムではなく、進む方向の指示のみが記載されています。この作品は、絶えず変化する音楽の流れに対応できる演奏者を想定して作られています。周期的に作品に現れるランダムな短波ラジオ信号が演奏者を新しい方向へと押しやるからではありません。おそらく、一方で即興、またもう一方で楽譜の厳守というこの特殊な組み合わせのせいで、綱渡り的な危険をはらむこの作品の上演に試みる者がいなかったのでしょう。それでは、『Expo für 3』上演を試みるというアイデアはどこから?象形文字のようにしか見えない楽譜で書かれたこの作品の世界初演とそれに続くレコーディングに私が参加できたのは、Michael Vetterがこのトリオのメンバーだったからです。彼は、ミュージシャンそして演奏家として1960年代にシュトックハウゼンと仕事をし、いわゆるサイバネティック楽譜の絶対的権威として知られていました。シュトックハウゼンとMichael Vetter(のちにNatascha Nikeprelevicも)にしか、この楽譜の読み方は分からないという状態だったのです。Michaelは、『Spiral』という独奏曲を1970年の大阪万博での初演で演奏し、シュトックハウゼン本人の監督の下、1996年にCD用にレコーディングしました。その後、彼とNatascha Nikeprelevicが二重奏曲『Pole』を2008年に初演し、2012年にシュトックハウゼン出版社のためにCDをレコーディングしました。三重奏曲の『Expo』でサイバネティック作品の三部作を完結させようと考えたのは自然な流れでしょう。2名のボーカリストが、サウンド・パレットをエレクトロニクスで拡張したいと考えたのです。 『Expo für 3』世界初演ビデオ(一部) このプロジェクト参加にあたって何か音楽的なトレーニングは行いましたか?ここではクラシック・ピアノの練習よりも独学の電子楽器とサウンド処理の知識の方が役立ちましたね。楽譜の読み方を知っていたこと、しばしば聴衆として、そして時に演奏家としていわゆる「芸術音楽」の世界における経験があったことは無駄ではなかったと思います。『Expo für 3』では、新しい方法での演奏が要求され、これまでに得た技術や習慣に頼ることができないような楽器を使用したいと考えていました。『Expo für 3』のサイバネティック楽譜に使用されているシンボルについていくつかご説明いただけますか?まず目に付くのはプラス記号とマイナス記号で、タイムイベントごとに最大4つあります。このプラスとマイナスの記号は、強度(音量)、音域(ピッチ)、音価(デュレーション)、分割(リズム区分の数)のパラメーターに割り当てられています。これら4つのパラメーターのどれにプラスまたはマイナスが適用されるかが示されている箇所はほとんどありません。つまり、プラスかマイナスの記号が1つ記載されている場合、それをどのパラメーターに適用させるかは私の自由だということです。しかし、その決定が私そして他の演奏者にもたらす結果も認識しておく必要があります。さもなければ、抜け出せない危険な領域へとあっという間にはまり込んでしまうことになります。また、拡張と圧縮を示す特別な記号もあります。中心点から2方向へと向かう拡張、または、2つの極から中央値に戻る圧縮です。これを理解するための最も簡単な方法として、ピッチの例があります。圧縮すると高いピッチが下がり、同時に低いピッチが上がります。これと同じ原理が他のすべてのパラメーターにも適用されます。ピッチが中央に収束すると同時に、静かな音は大きく、長い音は短く、複数に分割された音は縮合されます。この演奏方法の習得には、ものすごい集中力と、何よりもたくさんの練習が必要です。即興演奏中、他の演奏家とラジオ信号に反応している間は、シンボルが何を意味しているのかを考える時間はありませんから。他にも、さらに抽象的な指示を示すシンボルがあります。たとえば、「疲れるまで繰り返しこの修辞を演奏する」などです。また、一定のところである演奏者が別の演奏者に対していかに反応するべきかを指示しているシンボルもいくつかあります。 『Expo für 3』の楽譜、Push、短波ラジオが置かれたスタジオ トリオで唯一の非ボーカリストとして、技術面でこの作品にどのようなアプローチを採りましたか?また、LiveとPushを使用することとなったいきさつについてもお聞かせください。楽譜には指示はあっても絶対的数値は書かれていないので、コンピューター、特に、楽譜の構成に沿うよう活用できるMax/MSPパッチに楽譜の解釈の一部を任せるのは道理にかなっていると思います。ただ、こういったシステムは、2名のボーカリストとの即興演奏に使用するには柔軟性にあまりにも欠けていて融通が利かないことがすぐ判明しました。もうひとつ私が試みたのは、強く変更を加えたボーカル・サンプルのみを使用することです。これは、こうすることで作品のボーカル要素とエレクトロニックな要素を何らかの形で結び付けることができると考えてのことでした。しかしすぐに、これは独善的過ぎるアプローチであることが判明しました。リハーサルの過程で明らかになったのは、この作品で指示されているありとあらゆるサウンド・イベントに対して、そのイベント特有の特徴や要件に合わせて調整できるパラメーターを含むサウンドを準備する必要があるということでした。また、単体のサウンドと一緒にループやシーケンスを試してみたいと思っていたのですが、この目的に最適なソリューションはLiveだというのは明らかでした。Instrument Rackと、複数のアサインおよび微調整可能なパラメーター範囲をK別に設定できるマクロ・コントロールを使用するのが、私にとってはこの作品に必要とされる複雑なサウンド変更をコントロールする理想的な方法であることが分かったのです。もちろん、リアルタイムで演奏可能でなければならなかったのと、一般的なキーボードを使用しないということを初期の段階で決めていたことも関係しています。これまで学んだ演奏パターンに陥るリスクが高すぎたからです。リハーサルを開始したとき、Pushはまだ発売されていなかったので、当時のセットアップはLaunchpad、APC40、QuNeoを使用していました。その後、Pushの話を聞いたとき、『Expo für 3』上演に必要なすべてを兼ね備えていると思い、すぐに試してみたいと思いました。Pushに触れてすぐ、楽器を演奏しているような実感がありました。それに、Pushでは、それまで3つのコントローラーを使用して行っていた操作すべてが可能でした。最高なのは、サウンドだけではなく、多様な割り当て可能なスケール同様にサウンドの演奏方法をボタンを押すだけで楽器の状態を一変させてしまうことができることでした。『Expo für 3』用のLiveセットでは、楽譜内の各イベントまたはイベント・グループに対してセッション・ビュー・トラックを割り当て、それそれに独自のサウンド・ソース。エフェクト、また必要に応じてMIDIデータを用意しています。すべて再生準備が整っているので、矢印キーを使用して次のトラックに移動するだけです。ディスプレイの視覚表示も、楽譜内の位置がはっきり分かってとても便利です。コンピューターはステージの隅あるいは袖に置いたまま、コンピューター画面だけを使用して操作できます。声を加工せずそのままの形に残すというのはもとから意図したものだったのでしょうか?『少年の歌(Gesang der Junglinge)』について考えてみても、シュトックハウゼンは声に電子的な加工を加えることを初めて行った作曲家の一人であることを鑑みても、そのようなマニピュレーションに反対しないだろうと思うのですが。 カールハインツ・シュトックハウゼン『少年の歌(Gesang der Junglinge)』1955年 確かに、楽譜に声に変更を施すことを禁じる指示はありませんし、そうすることは選択肢として明白なものに思えるかもしれません。しかし、Michael VetterとNatascha Nikeprelevicの気心の知れた共演の様子を目の当たりにし、また彼らの声がもたらし得る信じられない程のサウンドのスペクトルを耳にすれば、彼らの声に電子的処理を加えることは冒涜にも等しいことであることは明らかです。シュトックハウゼンが1950年に『少年の歌』を制作したとき、声と電子工学を組み合わせることは極めて革新的なことでした。しかし、今では声をマニピュレートするのはジャンルに限らずよくあることです。ある意味、声が電子的環境に適応したといえるかもしれません。だからこそ、逆のことを行い、電子的に生成されたサウンドとシーケンスに、声のようなオーガニックな特性を加える試みこそ興味深いと思えるのです。『Expo...

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Laurent Clerc aka Little Peopleが私的なヒップトロニック・オデッセイ『We Are But Hunks Of Wood』をリリースしてから2年が経ちました。アコースティック弦楽器、ベル、タイトなビートをステレオ・フィールドにまるでオーナメントのように精緻に配置した作品です。このプロセッシングの多くは、Clercがこのアルバムのために構築したLiveインストゥルメントとエフェクトによりもたらされたもの。今回、このパックをダウンロードして独自の制作に使用できるようになりました。Abletonは、Clercにアメリカ合衆国での生活や『…Hunks Of Wood』以降の変化について話を聞きました。 アメリカ合衆国への移住はどのような影響を与えていますか?個人的な生活とミュージシャンとしてのキャリアのバランスを取るのは難しいと思いますが。アメリカへの移住は、かなり大きな出来事でした。妻と3歳の双子を連れての引っ越しでしたので。アメリカへの移住を決めた大きな理由のひとつは、自分のミュージシャンとしてのキャリアでしたが、同時に、妻や子供たちとより長い時間を過ごすためでもありました。かつては、いったんツアーに出るとアメリカに6週間滞在し、そのあいだ、妻は一人で小さな双子の世話をしなければなりませんでした。誰にとっても良い状況とは言えませんでした。今のところ、移住の結果に非常に満足しています。アメリカにいるということは、いつでも音楽制作に没頭できるということです。ご自身の音楽がアメリカで好まれていることについてはいかがですか?ツアーについてもお聞かせください。私の音楽がアメリカ文化から生まれたヒップホップの影響を受けているということが、アメリカでの人気に関係しているかもしれません。よくは分かりませんが。アメリカでの成功は、ユーザーの嗜好に合わせて音楽を選択してくれるアルゴリズムを使用しているPandoraと呼ばれるオンライン・ラジオ・サービスのおかげだと思います。Pandoraはローンチ当時は世界中で使用可能でしたが、アメリカ以外の国ではストリーム単位のロイヤリティが高額であるため、ビジネス・モデルとして機能しないことが判明しました。そのため、アメリカ国内限定のサービスとなったのですが、どういうわけか私の音楽が好評を得ています。ツアーも成功を収め、今週2014年最後のライブを行う予定です。たくさんの人々、特に小さな街に住む人々が自分の音楽を知ってくれていて、好んで聴いてくれているということに今でもとても驚いています。来年からはライブの内容を変えていこうと思っています。 『Offal Waffle』(Little People『We Are But Hunks Of Wood』より) 『We Are But Hunks Of Wood』から2年が経ちました。この間に制作方法に変化はありましたか?制作方法はひっきりなしに変わっています。新しいプロセスと制作手法を探すことは、クリエイティブなプロセスへの意欲になっています。シンセシスの知識は間違いなく向上しましたね。モジュラー・シンセを使用し始めたので。それに、サウンド生成とシーケンシングにかなりのiOSアプリを使用しています。タブレットは触知性に優れているので、シンセの操作性がずっと向上します。古いパッチを見直してみたのも面白かったですね。モジュレーション・オプションを追加することで、サウンドをさらに強化することができました。SamplerインストゥルメントにFMを追加するのは、私にとって気付きでした。サウンド・デザインの側面に取り組むことは楽しくて、今後のプロジェクト用の新しいサウンド・パレット作成へのアプローチの方法に間違いなく影響を与えているはずです。Laurentによるインストゥルメントとエフェクトの実演の様子を聴き、パックをダウンロードしてお試しください。Little Peopleは2~3月にかけて北米ツアーを行います。詳しくは、FacebookおよびSoundcloudをご参照ください。

ジェームス・ホールデン:モジュラー・マインド

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ジェームス・ホールデン:モジュラー・マインド

モジュラーについて語るのに、ジェームス・ホールデン(James Holden)より最適な人物はいないでしょう。Max for Liveとモジュラー・システムは彼の音楽に欠かすことのできない部分ですが、その一方で、彼はマシンに潜むオーガニックさや人間味を強調することも欠かしません。ジェームスは、モジュラーを持ち出し、慌ただしいツアー・スケジュールの中、扱いの難しいモジュール群を使用することを厭わない数少ないアーティストのひとりです。さらには、微妙に揺れるミュージシャンのテンポにモジュラーが反応するようにする独自のソフトウェアを開発しています。モジュラーを選択しプラグインを捨てること、Max for Liveでモジュラーをコントロールすること、彼の新作パッチGroup Humanizerについての計画について、ジェームスに話を聞きました。モジュラーをツアーに持ち出すのはどのような感じですか?飛行機に乗るときは、手荷物として預けるのが恐ろしくて。というと、手荷物として持ち運びを?毎回、保安検査機にかけるんですよ…。ある意味、爆弾を持ち運んでいるようなものですよね。精密機器ですから。それに、少しだけサイズがオーバーなんです。他にも、付属品、サウンドカード、コントローラーも持ち運ばなければいけない。ペリカン製のケースに入れて、手荷物として持ち歩いています。一番の問題は持ち運びですね。でも、ステージではモジュラーはすばらしい。だんだん、どのモジュールが特に安定性に優れているのか分かるようになってきました。あるステージでMIDIインターフェースが何度か不具合を起こしたことがあって、より信頼性に優れ、湿度や熱や寒さに強い別の機材と取り替えました。そもそも、モジュラー・シンセシスにご興味をもたれたきっかけは?もう何年も前、大学性の頃、音楽制作の方法を模索し始めたときに、インターネットに初めて触れ、音楽制作に関するサイトを片っ端から読み始めました。1990年代終わりのあの頃はモジュラー・シーンが一部存在していて、「面白そうだな」とは思っていましたが、自分にはまだまだ手が出せないものでした。学生には高嶺の花で、今よりもずっと高価でした。ただ、その頃初めて使用し始めたBuzzというソフトウェアは、モジュラー・デザインを採用していました。フラットなページにモジュールをドロップしてつないでいく方式です。機能には限界がありましたが、ハッカーたちがクロス・モジュレーションなどを使ったモジュラー・アイデアを試す方法を見つけていました。なので、モジュールは当時から私の音楽制作プロセスの一部でした。Buzzですべてを覚えたといってもいいでしょう。その後、Max MSPなどを使用するようになって、キーボードを何台か購入しました。プラグインは退屈だと思いました。当時、コンピューターで作成した音楽にリアリティを加えるため手を尽くしていました。1枚目のアルバムのことを振り返ってみても、あれは地獄でした。タイム・ウォブルやピッチ・ウォブルを再録して追加し、リアルで生き生きとしたサウンドへと変えていく作業なのですが、コンピューターを多用しなければこれをしなくて済むと身をもって学びました。アナログ・マシンには自然と生まれる要素ですから。最初のモジュラー購入を決めたきっかけは何だったのか、思い出せません。それを決めたのかどうかも覚えていないんです。初期に購入したマシンはあまり良いものではありませんでした。DoepferとMake Noiseを購入してからというものの、それらは使用したことがありません。やっとマイ・マシンが見つかったと思いましたね。これまでやって来たことの点と点がつながったような気がしました。 音楽制作の方法はどのように変化しましたか?ラック使用前と使用後で違いを見分けることはできましたか?使い始めて、自分なりの使用方法を見つけるまでには、しばらく時間がかかりました。もちろん大きな違いがありました。今は、前よりもすべてのサウンドにずっと満足しています。それに、ラックを使用して書いた初めての作品は『Triangle Folds』というトラックだったのですが、このトラック用に、ポリフォニック・ボイス・ルーティングを扱ってモジュラー内にポリシンセを構築するMaxパッチを作成しました。ポリシンセの仕組みについていろいろといじり回すのは最高に楽しいことでした。かなり早い段階で、自分にとってモノシンセはそれほど興味深いものではないと分かりました。キーボードを演奏すると、必ず片手が完全に鍵盤にとられます。そのトラックは、ポリシンセを作成していろいろと触らなければ生まれなかったでしょう。マシンを構築してルールを設定するとき、そのルールの枠内でどのようにプレイするのか、どの音を加えるのか、どのようにフィルターを調整するのかが面白いのですが、それがプラグインにはないのです。それに、コントロールを握っているのは自分だと感じます。気の利いたことのできるプラグインがあれば、「これをやるわけにはいかないな。他にたくさんの人がやってるなら、意味がない」と思うのです。誰かの作品でデモ・パッチのプリセットやプラグインを耳にすることがよくあるけれど、あれを聞くと、そのアーティストは私にとって死んだも同然です。二度とそのアーティストの作品を聞くことはないでしょう。退屈すぎます。技術の習得はいかがでしたか?モジュラーに関する専門知識を学んで自由自在に駆使できるようになるまでどのくらいかかりましたか?私の場合はけっこうスムーズでした。Max MSPとBuzzの知識があったので、理解しやすかったのもあります。2年かそこらでパッチをだいたい理解して、モジュールも尽きてきました。自分には手に負えないような複雑なものを構築することもできたのですが、そんなことも起こりませんでした。それに、Max MSPの腕が上がったこともあって、Max for Liveとモジュラーのハイブリッドを作るべきだと感じたのです。コンピューターにもコンピューターなりの利点があって、モジュラーにもモジュラーの良さがありますから。私の線引きはそこです。ルーク・アボットはモジュラーのシーケンシングをよくやっていて、モジュラーでリズム・パターンを生成しています。彼は4MSシャッフル・クロック乗算器が気に入っていて、これを構築するよう言われたのですが、このパッチを使うと必ずすべてのケーブルをシステムから抜いてギブアップする羽目になります。私にはどうしてもダメですね。コンピューター内かMaxでタイミング情報を作成して、シーケンシングのタスクすべてをコンピューターで行うのが、自分には一番上手くいくようです。今はパラメトリック・シーケンシングに凝っています。コンピューターでうまく機能しますが、すばやくことを終わらせて満足のいく結果を出すための仕組みを学ぶ必要がありました。Max for Liveで構築したツールキットを持っていますが、それがだいたいすべてのことをやってくれます。すべてをひとつのシステムとしてとらえているんです。システムについて理解することは、迅速な操作と結果を出すことにつながり、さらには『The Inheritors』の変わったシーケンスやクロス・モジュレーションへとつながりました。すべてはあっという間でした。1時間ほどシステムを触っていれば、それがうまくいくかどうかが分かります。 The Inheritorsをライブ演奏するジェームス・ホールデン(2013年) ここ数年、モジュラー市場が再び復活の兆しを見せていますが、好奇心をそそられた人々にとって、モジュラーに取りかかることは経済的にも知識的にもまだまだ容易ではありません。こういった人々にとってのエントリー・ポイントについてどうお考えですか?Buzzがまた盛り上がっているのは知っていますが、人にすすめるかといわれると分かりません。ルークはReaktorを使用しています。私はあまり詳しくありませんが、モジュラーの世界へと第一歩を踏み出すにはよさそうなツールです。断言はできませんが。人によって取りかかり方は異なります。たとえエフェクト・ペダル数台とコルグのVolca1台だけでもモジュラーのようなことができないわけではないですし、周波数変調やフィルターなどのようにいろいろとつなげてみてどうなるか試行錯誤し欲しいサウンドを引き出す方法を徐々に学んでいくという考えが大切だと思います。そこに至るまでの間は、いろいろと試してみるしかありません。モジュラー・シンセを扱うことで得られる価値というのは、この世界に踏み入るのに要求される熱心さから生まれるものなのかもしれませんね。そうです。今、スタジオにはキーボードが数台ありますが、今のスタジオに引っ越してからこれまで接続したことがありません。モジュラーとMax for Liveしか必要ないからなんです。使用しているのはこれだけなんです。極めて自由な制約のないインストゥルメントではありますが、コンピューターに比べれば自由度はぐっと下がります。のめりこんでいるはこのインストゥルメントひとつだけです。モジュラーのワークフローが気に入っている理由について、意見をお聞かせいただけますか?システム自体についてだけでなく、作曲や音楽の構成とアレンジの方法一般についての考え方についてお話しいただければと思うのですが。そうですね。どうしてもライブでの作業が多くなります。モジュラーを自動化するのは不可能ですから。できないわけではありませんが、やろうとすれば時間を無駄にするだけです。Expert Sleepersを使用したり、これのMax版を独自に作成したりもしています。それでもやはり自動化はよくないので、ライブ・テイクで行って録音するしかありません。私にとって、これがモジュラー導入による一番の大きな変化だったと思います。それまでは、MIDIコントローラーでオートメーションを記録し、細かな修正を加えたいという気持ちを抱えてうずうずするのが落ちでした。音楽とはライブ・パフォーマンスであると、私は強く信じています。いかにデザインされているか、処理がなされているか、思索がなされているかにはほとんど興味がありません。私が好きなミュージシャンは、アドリブ演奏が得意なアーティストばかりです。そしてモジュラーは、まさに私をその方向へと突き動かす原動力です。これは同時にとりとめもない即興演奏的な音楽や非常に平坦な構成のループベースの音楽に向かわせることにもなるので、ちょっとしたトレードオフではありますが。必ずしもギターのようなアレンジになるわけではありません。うまくバランスを取ることを学ぶのが大切です。スタジオに戻るにあたって、モジュラーを使用して単に音量が上下するトラックではなくしっかりとした構成のある楽曲を作る方法を模索したいと思っています。あなたにとってのモジュラーの魅力は、自分の癖やパターンに陥るのを防ぎ、ワークフローを発展させ続けてくれる能力にあると思いますか?はい、といいたいところですが、私は傾向やパターンに従う方だと思います。でも、そのパターンに満足しているのでは?パターンにそれなりの意味があると思うからです。かなり自由に変更可能だし、他の要素を取り込むこともできます。モジュラー・サウンドはライブ楽器ともうまく調和するんです。デジタルではそう簡単にはいかない。一緒にするとしっくりこないんです。モジュラーにハイハットを重ねると上手くいく。基本的に、何かを作るときは、ポリシンセを構築してから適当に配線していきます。これが私のパターンなのですが、毎回まったく違った方向に進んでいくんです。今のところはまだたくさんの引き出しがありそうです。ライブ・ミュージシャンとの演奏はいかがですか?テンポは一定ですか?それとも、より自由なスタイルで、変化するバンドのテンポにモジュラーを合わせるといった感じでしょうか?今は、AbletonとたくさんのMax for Liveデバイスでモジュラーを動かしています。最終的には、今おっしゃったようなことをやりたいなと思っています。コンピューターとシンセはドラマーに追従が可能なので、「Group Humanizer」と名付けたMax for Liveパッチ・セットを開発しています。技術的な話になりますが、あるミュージシャンの間違いが、これまでにこのミュージシャンが行った間違いだけでなく、他のミュージシャンが行った間違いとも相関するようになります。つまり、すべてのチャンネルがヒューマナイズされ、チャンネル同士に相関関係が生まれます。たとえば、ドラムマシンがシンセに相関し、シンセ内のエラーがドラムマシンに反映されるようになるのです。これをステージで使用したことはまだありません。エキサイティングな機能ですが、ステージで披露するにはもう少し信頼性を高めなければなりません。大規模なライブでベータ・テストを行う訳にはいきませんから。 Abletonは今後Group Humanizerについてジェームスに話を聞く予定です。ジェームス・ホールデンについて詳しくは、ウェブサイト、Facebookページ、Soundcloudをご覧ください。

Baauerのドキュメンタリー『Searching for Sound』ビデオ、サンプルPackの無償ダウンロード

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Baauerのドキュメンタリー『Searching for Sound』ビデオ、サンプルPackの無償ダウンロード

音楽には数千年の歴史があります。世界各国のサウンド、楽器、文化はますますその多様性を高めていますが、とはいえ既知の事柄に忠実になる傾向があります。習慣から抜け出し先を見据えたいなら、こう考えてみるのはいかがでしょう。この世界は、あなたの視点を変え、クリエイティブな視野を広げるであろうサウンドであふれているのです。バウアー(Baauer)が新アルバム制作のインスピレーションとなるフレッシュなサウンドを探して世界を巡る冒険を始めたのは、このような考えによるものです。『ハーレム・シェイク』現象をきっかけに新たな方向性を模索しはじめたハリー・ロドリゲスことバウアーは、制作パートナーのニック・フックと共に、ドバイの砂漠から日本の火山へと各国を旅し、ひねりの効いたサウンドと古代から続く伝統音楽を録音し、これらの素材を加工してスタジオで使用しました。うれしいことに、彼らはサンプルのフル・セットを提供してくれました。サウンドのビジョンを広げてくれるこれらのサウンドは、あなたのパレットに新たな印象を加えることでしょう。このサンプル・パックの魅力は、その制作をめぐる物語の魅力そのものでもあります。下では、26分にわたるバウアーのサウンド・トラベルに関するドキュメンタリーをご覧いただけます。Abletonのインタビューでは、レコーディング、サウンド加工の手法、サウンド・パック公開を決めた理由についてバウアーが語っています。また、パックのダウンロード・リンクも記載しています。このアイデアはどのようにスタートしたのですか?なかなか大規模なプロジェクトのように思えますが。新しいアイデアだな、といった感じで、単なる思いつきでした。正確にいつだったかは思い出せないのですが、ただはっきりしていたのは、自分でレコ―ディングして、最高に珍しくてクレイジーなサウンドを取り込んで、究極のサンプル・パックを構築することができるプロジェクトがしたいということでした。アイデアはここから始まりました。その後Red Bullとタイアップし、そこからはすべて自然に形になっていきました。 撮影: Balazs Gardi / Red Bull Content Pool. プロジェクトに取りかかる前から西洋文化圏以外の音楽をよくお聴きになっていたのですか?その通りです。インスピレーションを得たり、少し変わったサウンドを聞いて別の視点を得るためにかなりの音楽を聴いていました。たとえば少し前から日本の雅楽を聴いていますが、それはこれが非常にクールで異なった音楽で、まったく新しい音楽的視点を与えてくれるからです。地球の裏側まで飛んでいき、他国の音楽事情に飛び込むという体験はどのようなものでしたか?会ったことのないミュージシャンに面と向かうのに気後れはありませんでしたか?実際のところ、とてもすばらしい体験でした。私たちが求めていたのは、それぞれの物語を語ってもらい、音楽を演奏してもらうことだけでした。皆、喜んで行ってくれましたよ。彼らは、自分たちの音楽を分かち合えることをとても喜んでいました。だから、常にとてもいいヴァイヴが生まれていました。私たちは知らない国からやって来たよそ者でしたが、それでも彼らは喜んで彼らの伝統を披露してくれました。 ドキュメンタリー『Baauer: Searching for Sound』を観る こうして集めたサウンドをどのように使用しましたか?ラクダのうなり声やハヤブサの羽ばたきの音はかなり抽象的なサウンドですが、どのようにしてこれらをクリエイティブなプロセスへと組み込んでいったのですか?これらのサウンドは完全に変形させてトランスポーズしています。全く違ったものへと変化させています。新しいサウンドを使用して、あるものを全く別の何かに変化させることができるというのはすばらしいです。フルートの演奏をパーカッション要素に変化させたりしています。2回の旅で生まれたかなりの数のサンプルを使用していますが、そのほとんどは全く新しい別の何かになっています。Ableton Liveに搭載のツールで、これらのサウンド加工に使用されているものはありますか?トランスポーズ、Complex Pro、それにあらゆる種類のワープ機能を使用するのが好きです。ワープのアルゴリズムはそれぞれオーディオに異なるサウンドをもたらしてくれるので、多用しています。また、クリップ内でトランスポーズにオートメーションを設定して変化を加えるのも気に入っています。新しい音楽環境にさらされる体験は、ご自身の音楽に対する見方に変化を与えましたか?ええ、もちろん。何よりも、自分のプロセスについて考え直すきっかけになりました。インターネットから何かを取り出すのではなく、外に出て実際の生活空間にある音を録音することは、私の音楽制作の方法を大きく変えました。さまざまなコンテキストから生まれたサウンドを使用することについての先入観が消えました。素材を活用して全く新しい何かにしてしまうことができるようになりました。 AlunaGeorge & Rae Sremmurdをフィーチャーしたバウアーの最新作品 このプロジェクトは、人々をサウンド自体に夢中にさせているようにも思えます。オーディオについてのあなたの考え方が再び活性化されたという側面はありますか?ある種の縛りを設定したり、使用するものを一定に制限した状態で作業をするのはよいことだと思いますが、どんなときでも、新しい素材を手に入れることができるのはいいものです。画家が新しい色の絵の具を手に入れるようなものです。世界にはまだまだ使用できる素材がたくさんあります。外へ出て、ふれあえばいいのです。 撮影: Balazs Gardi / Red Bull Content Pool. このような旅を経験した後、再びスタジオに閉じ込められた状態にうまく慣れることはできましたか?アルバムの制作状況についても聞かせてください。こまごましたものがたくさんあります。これをひとつに組み合わせて、まとまりのある形にすることが当面の大きな課題です。今はその作業中です。サンプルを無償ダウンロードとして提供することについてはどうお考えですか?自分の作品を公開するといった気分でしょうか、それとも、これが素材として活用されてどのような作品が生まれてくるのかが楽しみという感じでしょうか?皆がどんなことをするのか楽しみです!私が録音したこれらのサウンドが世に放たれ、それに皆が反応する。考えただけでワクワクします。これらのサウンドを使って生まれた作品に出会う日が待ち遠しいですね。私にとっても大きな刺激になることでしょう。 サンプル・パックをダウンロードしたら、ぜひ出来上がった作品を公開してください。その際は、ハッシュタグ #MadeWithLive をお忘れなく。このプロジェクトについて詳しくは、『Searching for Sound』ウェブサイトをご覧ください。

インプット/アウトプット:グレン・コッチ&クロノス・クァルテット

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インプット/アウトプット:グレン・コッチ&クロノス・クァルテット

シカゴを拠点とするパーカッショニストであり作曲家のグレン・コッチは、現代の音楽シーンにおいて最もエキサイティングで創造力豊かな期待のコンポーザーおよびパフォーマーのひとりとの呼び名も高く、シカゴ・トリビューン紙は「間違いのないテイスト、テクニック、自制」と注目すべきアーティストとして選出していますウィルコのドラマーとして多忙なスケジュールの中、自身の2枚目のソロ・アルバム『Adventureland』をCanteloupe Recordsからリリースしました。これは、数々の賞に輝く弦楽合奏団クロノス・クァルテットとのコラボレーション作品です。クロノス・クァルテットは、ザ・ナショナルからアレン・ギンスバーグまで、これまでに多数のアーティストとのコラボレーションを行ってきており、ヘンリク・グレツキやスティーヴ・ライヒなどの有名作曲家により何百という作品の提供を受けてきました。コッチは、クロノス・クァルテットとのコラボレーション作品『Anomaly』の7チャンネルすべてをAbleton Liveセットとして音楽プロジェクト共有およびコラボレーション用のオンライン・プラットフォームblend.io上で公開しています。『Anomaly』のステムは、Ableton認定トレーナーJosh Hoganにより、ワープし同期する再生可能なセッションへと編曲されています。先日、コッチはHoganと会い、『Anomaly』プロジェクトについて意見を交わしました。共に、弦楽器を扱うという課題を紐解き、複雑なポリリズムを構築するためのヒントを提供し、「世界をリードする弦楽合奏団による完全無欠の録音ファイルを無償提供する意義」という問題提起を行っています。『Anomaly』の弦楽の作曲に非常に「パーカッショニスト」的なアプローチをとったという記事を読みましたが、パーカッションがリズムとテクスチャにつながっていることは明らかです。ハーモニーと調性にどのようなアプローチをとったのかお話しいただけますか?ドラムセットを使って作曲することが多いので、型、リズム、作品の全体的な構造はそこで形作られます。その後、この骨組みを、ピッチやハーモニー、より伝統的な音楽的要素で埋めていきます。これはいつも偶然始まるのですが、キットにつないだカリンバのチューニングから始めたり、ビブラフォン、チェレスタ、ピアノでいくつかリズムを弾いてみたりして、試行錯誤して一番しっくりくる調性をあぶり出す感じです。このキーとこのハーモニーで行こう、と作曲を開始する時点で決めていることはほとんどありません。たとえば、『Anomaly Mvt. 2』では、当初のピッチは作曲に使用していたドラムのチューニングをベースにしていたのだったと思います。 グレン・コッチ『Anomaly Mvt. 2』 パーカッションと弦楽器の関係が逆に作用したということはありましたか?弦楽器の音楽性がパーカッションの演奏に影響を与えたということは?ありましたね。ドラムのチューニング、使用した機材、サウンドの選択はすべて弦楽器の音色に影響を受けています。ドラムにダンピングを多用して、オープンになりすぎないようにして上音を抑えて弦楽器パートの邪魔をしないよう、またピチカートパートとうまくブレンドするようにしています。いくつかのセクションでは、スティックでなくマレットを使用しました。これも、弦楽器の音量の制約に合わせてのものです。シンバルを多用しないようにしましたが、これもサウンドのコントロールを保つための手段です。スネアをオフにして、スネアが突出しすぎないようにしました。これらは、弦楽合奏団と一緒にドラムを演奏する際に考慮すべきたくさんの事柄のごくわずかに過ぎません。 クリエイティブな使用を望むAbleton Liveユーザー向けに『Anomaly』をblend.ioに公開していますね。どのような使用を期待されていますか?『Anomaly』のステムをblend.ioからダウンロード理想としては、私が想像しないようなことをして欲しいですね!これは油断していたな、といったような、音楽に新たな光を当てるような何かだといいですね。「考えもつかなかった!」と言えるようなもの、新しいクリエイティブな扉を開いてくれるものを期待します。『Anomaly』にはクールなアナログ・サウンドが使用されています。第1楽章と第3楽章で聞くことのできるエレクトロ・グリッチ・サウンドはどうやって作成したのですか?こういったアナログ・サウンドにはパーカッション楽器のようなアプローチをとっているのですか?そうですね。『Mvt. 3』のあのサウンドにどうやってたどり着いたのかはっきりとは覚えていませんが、外界で録音したサウンド、または音素材をエフェクト・ペダルやプロセッサーに通すことで作成したサウンド、あるいはドラム・ブレイン・コントローラーで微調整したカスタマイズしたサウンドを使用すると思います。面白い静かなサウンドにコンタクト・マイクを使用するだけでも、エレクトロニックに匹敵するほどの大音量のインストゥルメントを呼び起こすことができます。小さなアコースティック・サウンドを、音の拡大鏡でのぞき込むような感じです。たとえば『Mvt. 1』は、私が作曲に使用しているソフトウェア(Sibelius)で作成したストックのサウンドを使用する方が、ドラムや弦楽器を使用するよりも魅力的なサウンドに聞こえました。 しかしそれでも、アコースティック、エレクトロアコースティック、エレクトロニックであるかどうかに関係なく、キットやセットにまとめられた数々のサウンドや音色というものを考えました。これがドラムセットの中核となるものです。 コッチのLiveセットのオーガナイズ方法を説明したJosh Hoganによるビデオ・チュートリアル 一緒に演奏されるさまざまなレイヤーやパートを使用することでビッグな「マクロ」・ビート・サウンドを作成し、パーカッションのパートにオーケストラ的なアプローチをとっているようにも思えますが、こういったサウンドの作成へのアプローチについてお話しいただけますか?『Anomaly』の一部が「ビッグ」に感じたので、インストゥルメンタルのテクスチャのレイヤーをレコーディング用にいくつか追加することにしました。ライブ・バージョン用には無理なので。好例が『Mvt. 2』で、拍手、ピアノ、クロタレス、マリンバ、タンバリンにレイヤーを重ねてセクションをよりビッグにしています。これらのサウンドの作成については、録音とミックスを担当したPat Burnsに因るところが大きいです。自分の作品ではほぼ毎回Patと仕事をしていて、これまで一緒にやってきたのと、感性が似ていることから、音響的な判断は彼を信頼して一任しています。適切な楽器とマレットを選択し、上手く演奏できていれば、彼がすばらしいサウンドにしてくれます。 『Anomaly』には入り組んだ交差するポリリズムがたくさん含まれています。これらは世界各国のさまざまなパーカッション様式で使用されている非常にクラシックなリズムであり、スティーヴ・ライヒといったアメリカのミニマル・ミュージックの歴史に大きな存在感を与えています。これらのリズムの使用について少しお話しいただけますか?そうですね。ライヒは、アフリカ音楽とバリ島音楽の両方を研究しましたが、これらの音楽は彼の初期作品に強い影響を与えています。私も世界各国のパーカッション様式を研究しましたが、必然的にできる限りあいまいな要素を残しておくことを好みます。いろんな拍や鼓動で作品を感じることができるのが好きです。それはまるで、自分の解釈に応じて画像が自分に向かって浮き出てきたり遠ざかったりする錯覚やオプアートのようなものです。リズムや拍が一気にいくつかの方向に向かうような作曲を試みることもよくあります。こういった交差するリズムを探求したいビートメイカーに対してアドバイスはありますか?8、12、16に分割する方法はたくさんあるということを体得することです。これらは、西洋音楽で使用されている一般的な分割の数です。たとえば、8は4+4、2+2+2+2、3+3+2、2+3+3、3+2+3、4+3+1などに分割できます。さまざまな組み合わせとグループ分けの順序を試してから、自分の手であるリズムを、足で別のリズムをとってみて、リズムを交差させてみるのです。こうすることで、結果として音楽に流れが生まれ、シンコペーションが生じるのが好きです。 独自のビジョンに合わせてコッチのレコーディング作品に手を加えることのできる機会です。高品質の弦楽器サンプル・ライブラリは高価なものが多く、精緻にキャプチャされたステムをライブラリに加えることのできるチャンスでもあります。グレン・コッチをうならせる新しい作品が誕生したら、ぜひAbletonにご一報ください。その際は、ハッシュタグ #MadeWithLive をお忘れなく。