Learn about different artists and how they're using Live.

インプット/アウトプット: Second Storey

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インプット/アウトプット: Second Storey

シリーズ「インプット/アウトプット」では、Abletonコミュニティに属するプロデューサーのスタジオを訪ね、彼らの制作プロセスに取り入れられるインスピレーション、テクニック、技術と、そこから生まれる最新の音楽作品に光を当てていきます。 Second Storeyは、ロンドンを拠点に活動するプロデューサーでこれまでAl Tourettesとして活動していたAlec Storeyの新名義です。FabricのサブレーベルHoundstoothからの新作『Double Divide』は、Storeyを取り囲むジャンルと、才能とディテールへのこだわりが垣間見える作品です。個性の強いこのLPは、独創的なサウンド・デザイン、直感的な構成、衝撃的な音装飾が特徴的です。Storeyは、この記事をお読みの皆さんもお持ちであろうツールと手法を使用してこれを実現しています。ワークフロー、トラックの全体像を見失わないようにする方法、超高温の金属が面白いサウンドを生み出す様子について、彼に話を聞きました。 In our series Input/Output, we pull up a chair in the studios of producers from the Ableton Community, inviting them to shed light on the inspirations, techniques and technologies that feed into their production process, and the latest music to come out of it....

Jason Spanu: 経験が放つ輝き

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Jason Spanu: 経験が放つ輝き

Jason Spanuと彼のスタジオ(写真:Christopher Drost) ミュージシャンとして20年を超えるキャリアを持つ認定トレーナーJason Spanuは、ソロ・ミュージシャン、DJ、バンドのメンバー、ネリー・ファータドやドレイクなどのテクニカル・ディレクターなど、数多くの役割を果たしてきました。バンドとの映画用サウンドトラック制作やPushを使用した新しい基盤の構築など、現在進行中のプロジェクトで忙しいJasonを訪ね、旅先でのエピソード、Live使用のヒント、Liveを使用したDJイングに対する彼独自のアプローチについて話を聞きました。 『Getting Serious』 ― DJ Shine aka Jason Spanu より大規模なバンド形態の場合、Ableton Liveを使用するあなたの役割は何ですか?一般的に、バンドの規模が大きくなるほど、ライブにプロダクションが関わる度合いが増えるので、私の役割も拡大することが多いです。多数のオーディオ・トラックとMIDIトラックを含む巨大なショー・ファイルのプログラミングと編集を担当していますが、これは別個のスタジオ・トラックを混ぜ合わせたものと追加素材の再生を容易にし、ライブに付加制作価値を与えます。シンプルに答えるとすれば、バンドと一緒にオーディオ・ファイルをプレイするのにAbleton Liveを使用しています。私の役割は、「データ・ライブラリアン」や「リミキサー・コンサルタント」といったところでしょうか。アーティスト/バンドと彼らのニーズ次第です。スペースバーを押してソングをスタートする以外何もすることがない場合もあれば、超巨大なマッシュアップの作成やビデオ・コンテンツの同期などを任される場合もあります。アーミーナイフのデジタル版のような役割です。ご自身のバンドAutomated GardensでのAbleton Liveを使用するあなたの役割は?Automated Gardensは、Keram Maliki Sanchez、Joshua Joudrie、そして私から構成されるトリオです。90年代にはもっとアクティブに活動していましたが、クリエイティブなつながりは維持してきました。最近では、映画『Ecstasy』用の素材を作曲しました。今は新アルバムを制作中で、開始から1年半ほどになります。メンバーは皆Liveユーザーです。それぞれいろんな場所に住んでいるので1カ月間一緒に作曲するということは無理なので、ひんぱんにファイルをやりとりしています。だいたい、私が曲を作り始めて、それをロサンゼルスのKeramに送って意見を聞きます。Joshがミキシングする前に、何度もファイルのやりとりを行います。 アーヴィン・ウェルシュの『Ecstasy』劇場予告版。Automated Gardensの音楽が使用されている ソロ・アーティストとして、またドレイク、フランク・オーシャン、ネリー・ファータドなどとの大型ツアーにも参加していますが、Ableton Liveのそれぞれのシチュエーションへの適応度についてはどのようにお考えですか?大規模なツアーでLiveを使用する一番の理由は安定性でしょう。安定性と柔軟性、特に、音楽的な変化にスムーズに順応するという点です。コンピューターをステージに上げて再生ボタンを押し、それに合わせてバンドに演奏させるというやり方もありますが、マイクの故障、メンバーがパートを忘れてしまった、バンドがあるセクションをループしないといけなくなったなど、ステージに大惨事をもたらしかねない予期しない状況が起こることもあります。Ableton Liveは従来のタイムライン・アプローチから離れた自由な操作が可能です。ですから、ほとんどの場合、私がある種のオーディオのセーフティ・ネットの役割を果たしています。 ネリー・ファータドのツアーでは、バンド・メンバーとしてステージでより積極的な役割を担っています。彼女のプレイバック・ファイルをループ、微調整、加工したり、ショーにシンセやサンプル要素を追加したりもします。MIDI配信システムが用意されていて、ステージ上の他のすべてのシンセにプログラムチェンジを送信し、同期が役立つギター・ペダルや他のエフェクトにMIDIタイムコードを供給します。また、ショーの照明とビジュアルの統合用に、各ソングではSMTPEタイムコードをビデオ・サーバーに送信しています。 フランク・オーシャンのライブでのJason Spanuのセットアップ(写真:Christopher Drost) 自分のパフォーマンスでは、Abletonの使用にまったく異なるアプローチをとっていて、コンピューターの処理能力の限界に挑戦するほどの非常に精巧なセッションを構築します。単に安全でシンプルなセットアップを用意するより、クリエイティブな柔軟性をできるだけ手元に残しておきたいのです。2台のラップトップ、2台のPush、2台のiPadを各ステーションに置いた全く同一のシステム2基を使用して演奏することもよくあります。こうすることで、ライブを「DJ」することができます。ワンマシンでも全ての操作を行うことは多分可能だと分かってはいるのですが、こうすることで、1台のコンピューターを巨大なライブ・セットのすべての曲を置くといった1つのタスクに専念させ、もう1台のコンピューターをより自発的なジャミング・ステーションとして使用し、空のセットを置いて状況に応じてヴァイブを構築できます。DJイングを行う際、セットの組立てに傾向はありますか?どちらかというとしっかり計画するタイプですか、それとも自然に任せるタイプですか?プランを練りすぎないようにしていますが、デジタルDJイングには主力の流れがあります。昔はジャケットのデザインや色でレコードが識別可能で、そのサウンドやヴァイブ、どれとミックスするべきかがすぐに分かりました。しかし、SeratoやTraktor、Liveを使用する場合は、ソングのタイトルだけが頼りです。これがなかなか難しい。アルファベットが無数に並んだファンキーで珍しいヨーロッパ風のタイトルは頭に入りにくいからです。これを克服するために、私は独自の色分けでソングを(クリップで)分類しています。テック・ハウスは紫、トライバル・ハウスは茶、ボーカル・ハウスはオレンジ、ありがちなチューンは黄…というふうに。また、ソングの強度やエネルギーを示すためにグラデーションも使用するようにしています。たとえば、濃い紫はヘヴィーなサウンドのテック・ハウス、薄い茶はボーカルのあるトライバルっぽいハウス、といった感じです。この記事の読者にLive/Pushに関するアドバイスをひとつ贈るなら、どのようなものになりますか?私は、Pushを他のユーザーとは少し変わった方法で使用しています。ClyphXというフリーのコントロール・スクリプトを利用してスケール・モードの動作に動きを付けるのが好きです。簡単に説明すると、ClyphXは、クリップ名に特定の単語を使用することで、Liveのパラメーターの一部の側面をコントロールできるようにしてくれます。私が最もよく使用するのが「pushscl」です。これは、Pushのキーとスケール情報のスナップショットをとって、トリガー時にそれをPushに再生することができます。このプロセスを繰り返してから、さまざまなクリップを順に選択するフォロー・アクションを使用すると、今度はPush内で変更がトリガーされ、同じ場所に留まったままスケールとキーのモジュレーションに従うすばらしい結果をジャミングできます。 DJ ShineのSoundCloudページ

Lucrecia Dalt: シネマティックな耳

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Lucrecia Dalt: シネマティックな耳

伝統的な見識によれば、ミュージシャンにとっての理想的な作業環境とは、外部刺激が一切ない状態とのこと。事実、目か耳かを問わず、知覚の邪魔をするあらゆる情報を排除することに労をいとわないミュージシャンもいます。これは、「外部」から入ってくる情報が少ないほど、「内部」からわき出るものは多くなるだろうという前提から来ています。 しかし、このシナリオを逆転させ、オーディオビジュアルによる刺激を常に浴びながら制作作業を行うと一体どうなるのでしょうか?プロデューサーでありソングライターのLucrecia Daltは、近日リリースされる2作品の作曲とレコーディング中にこれを実行に移しました。最近ベルリンに移り住んだばかりの彼女は、新しい街への好奇心と映画への興味を、型破りではあるけれども極めて生産的な作曲テクニックへと収束させました。Daltはスタジオを映写室に作り替え、レコーディング・セッションの合間の暇つぶしにニュー・ジャーマン・シネマの名作を観るのではなく、常に映画の画像、サウンド、雰囲気に包まれた状態で音楽制作を行ったのです。 この手法を思いついたいきさつを、Daltは次のように説明しています。 Syzygyという作品ですべてが変わりました。私にとって、刺激のある作業環境とは、過度に飽和状態である必要がありました。開けられた数々の本、別画面で再生されている映画、外の喧騒を部屋へと取り込むために開かれた窓、誰かが聴いている音楽、同居人が音楽を演奏したり、セックスしたり、眠っていたりするときの音、私の頭の中にある振動音といった情報―前に進むには、これらの要素を私の音楽に重ね合わせる必要があったのです。ランダムな情報のまとまりは興味深い偶然をもたらし、それは新しい制作テクニックとなりました。特に有効だったのは、映画を扱っているときに起こった出来事でした。レコーディング中は消音にして映画を再生させておいたのですが、ときどき、作業中のステムを再生したまま、映画の音声の音量を上げてみることがありました。こういったランダムかつ短いサウンドは偏向器のような役割を果たしました―メロディのアイデアをもたらす種のようなものです。これは、バルセロナに6カ月滞在していたときに始まりました。ベルリンに戻ってから、Musicboardの奨学金を申請し、認可されました。この「テクニック」を発展させ、映画鑑賞時の心の動きと音楽制作プロセスでの心の動きの絡み合いをより大がかりに研究して、どんなことになるのか知りたかったからです。新しいコンテキストとしてドイツ映画を選びました。この手法で、近日リリースされる2作品を制作しました。Other Peopleから10月にリリースされるセルフタイトルのEPと、Care ofレーベルから発売になるLPです。 Lucrecia Dalt ベルリンの彼女のスタジオにて 映画を観ることが曲の一部となった具体的な例を挙げていただけますか? Care OfのLPのオープニング・トラック『Paralela』がそれです。ヴェルナー・シュレーターの『薔薇の王国』という映画を再生していました。映画のサウンドをしばらくかけたままにしてから、消音にして、映像だけを投影させていました。その後、何か別の音を聞いて音に関する記憶をリセットさせてから、まっさらな状態で作業を始めました。OP-1のオーケストラサウンドをMoog Murfペダルで処理して、再生されている劇場風で絢爛な映像のイメージをもとに進行を作成しました。数時間後、映画冒頭のサウンドとレコーディング内容を並べてみました。するとどうでしょう。映画のサウンドは、レコーディングしたばかりのサウンドの構成を定義する、まさに必要な要素だったことが分かったのです。このようなことがいつも起こるわけではありませんが、このときはそうでした。 (ドイツ映画であることを除いて)これらの映画に共通点はありましたか?また、プロセス中に映画に手を加えること(一部をループさせるなど)はなかったのでしょうか? いいえ、ありませんでした。かといって、必ず頭から再生しているわけでもありませんでした。たとえば、その映画がかなりディープな歴史物だったりした場合、作業を止めて映画を観たいという気分になったこともあります。多分、唯一の共通項といえば、選択した映画はどれも再生したままでの音楽制作がしやすく、かつ美的観点から言って独特なものだったということかもしれません。もちろん、ドイツ映画の特徴として、これらの映画のほとんどには漠然とした不安感という共通点もありました。個人と社会の間の葛藤、大惨事の危機にある世界、あるいはその危機の上に構築されなければならない別の世界、二重世界を生み出すメタファーや儀式への依存の必要性、といったことろでしょうか。 映画の実際のサウンドについてはいかがですか?台詞、サウンドトラック、音楽などが直接作品の一部となった場合はありましたか?それともより間接的に作品作りに影響を与えたのでしょうか? 一部はオリジナルのまま、また一部はMurfペダルを使用して(何度も繰り返し)処理した形で、サンプルを使用しました。台詞にMurfをかけてリズムやテクスチャにするのは面白かったですね。また、英語字幕の文章を参考にしてほとんどの歌詞を書きました。 トラック『Paralela』制作中の様子。『Parallelstrasse』の字幕を扱っている このプロセスから学んだことは何ですか? 偶然を方法論に変換するのは難しいということです。 映画とドイツについては? たくさんの発見がありました。ヘルケ・ザンダーの『Unter dem Pflaster ist der Strand』のサウンドトラックを誰が担当したのかまだ知らないのですが、すばらしい!ヴェルナー・シュレーター、そして彼の作品に登場したマグダレーナ・モンテーツマと キャロル・ブーケの行きすぎた感じ。フェルディナンド・キッテルの『Die Parallelstraße』も最高です。アレクサンダー・クルーゲ、マルガレーテ・フォン・トロッタ、グドルン・エンスリン、ハイナー・ゲッベルス、カシーバー、オスカー・フィッシンガー、ハンス・リヒター。それに私のドイツ語も少し上達したと思います(そうであって欲しいです)。 Lucrecia Daltの作品を観る Other PeopleリリースのLucrecia Dalt新EP『Esotro』を聴く

Diggin’ In The Carts: シンプルなツールが生み出す豊かな感情表現

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Diggin’ In The Carts: シンプルなツールが生み出す豊かな感情表現

80年代の幕開け以来、テレビゲーム音楽は世界各地のリビングそしてゲームセンターで必ずといっていいほど耳にするようになりました。子供の頃一番よく聞いた音楽がゲーム音楽という人、ゲーム音楽が成長期のサウンドトラックだったという人も少なくないはずです。「ストリートファイター」や「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」といった名作に使用された8ビット、16ビット、FMサウンドは、現代の音楽の形成に大きな役割を果たしました。その影響はFlying LotusやKode 9といったアーティストの作品にも明白に現れています。しかし、皆に愛されてきたこれらの音楽を生み出した作曲家についてはどうでしょう? 「Diggin’ In The Carts」で、Red Bull Music Academyは不朽の名作を誕生させた人々を探るべく日本に飛びました。6回からなるこのビデオ・シリーズでは、ゲーム音楽の発展を分析し、その成立の物語を描いています。ビデオでは、下村陽子氏、田中宏和氏といった作曲家が紹介されています。原始的ともいえる技術を用いて世界を構築するためには創造力をふくらませることが必要ですが、それはあらゆる音楽制作に欠かせないものです。制約の中での作業がいかに不朽のサウンドの誕生へとつながるのか、また、インスピレーションが思いがけないところからやってくる様子を克明に説明しています。紹介されている作曲家たちは、極めてシンプルなツールを使用しながら雰囲気や感情を伝える方法を教えてくれます。 各エピソードは、Diggin’ In The Cartsウェブサイトからご覧いただけます。

Nicolas Bernier: オーディオビジュアルの連続したつながり

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Nicolas Bernier: オーディオビジュアルの連続したつながり

Nicolas Bernierは、光とサウンドの連続するつながりに光を当てた、説得力のあるインスタレーション・シリーズ『frequencies』で注目を集めました。複雑な原理からインスピレーションを得、エレガントなシンプルさで示されるBernierの作品は、パワフルなコンセプトをダイレクトかつ触覚に訴える方法で表現します。 シリーズ最新作では、量子物理学の素粒子と確率を用いて、その理論をオーディオビジュアルの領域へと拡大させています。急に現れるホワイトノイズとサイン波は、暗く親密な空間内に、波打つように躍動する光のパターンを引き起こします。理論とプロセスを組み合わせること、また美と示唆に富むコンセプトと間のバランスの取り方について、Bernierに詳しい話を聞きました。 Nicolas Bernier『frequencies (light quanta)』 科学的理論はあなたのクリエイティブなプロセスにどのように影響していますか?量子物理学がオーディオと光による構造を作り上げる例を挙げていただけますか? 最も分かりやすい例は、アクリルのパネルにレーザーカットされたグラフィックでしょう。これらのグラフィックは、量子物理学の本で見つけた図表を再現したものです。グラフィック要素はすべて複数のパネルに個別に分類されているので、どのパネルが点灯しているかに応じて見えるグラフィックも異なります。グラフィック・デザインは、さまざまな要素を配置するための計測ツールとして使用されているグリッドに基づいています。小さな点から構成されるこのグリッド自体、私のアイデアを非常によく表現していると思います。これらの点が光ると、星座のようにも見え、とても魅力的です。 サウンドについては、量子物理学の応用はかなりシンプルです。この作品は粒子という概念に基づいていて、小さなバースト音やクリックといった細かな要素を扱っています。この原理は、マイクロモンタージュをベースとする形態の構成、さらにサウンド処理にも応用されています。すべてのサウンドの生成には、グラニュラー合成エフェクトを主に使用しています。サウンド・アーティストEnnio MazzonがレーベルFarmacia901用に開発したカスタムのMax/Mspベースのアプリケーションを使用しました。 『frequencies (light quanta)』の説明で、「有機的な発展」との言及がありました。どのようにサウンドと光の「有機的」なシーケンスを生成したのかお話しください。 サウンドの粒子を扱うというアイデアは、作品の大まかな形態(100のオーディオビジュアル・シーケンスから形成されるもの)を作り上げるのにも使用されました。シーケンスのほとんどはかなり短く、数ミリ秒から50秒程度で、一部はそれよりも長く(3~5分)、より作曲された作品という印象を与えるものです。有機的な形態、というのは、こういった断片のすべてが偶然組み立てられ再生されているという意味においてです。これもまた量子物理学の原則に沿ったものです。理論とは確率計算に基づいている場合がよくあるのです。複雑だったり分かりにくいものではありません。始まりも終わりもないというインスタレーションや作品はよくあります。この作品の偶然性は、この概念的なアイデアにまさにうってつけなものです。 この作品のようにマルチメディアな作品での作曲プロセスはどのようなものですか?プロジェクト初期において、オーディオ、光、オブジェクトへの取り組みをどのように分けて(あるいはまとめて)行っているのでしょうか? プロセスにおいて、体系立てた何かがあるわけではないんです。どのプロジェクトも独自のスピード、要素、制約で発展していきます。たとえば、『frequencies (a)』は装置からスタートしました。音をベースにしたものだったので、まず「楽器」を構築する必要があったのです。その後、「シンクロニティ」という概念のもと、これをひとつのオーディオ発光性媒体と考えて光とサウンドを構成していきました。 Nicolas Bernier『frequencies (a)』 『frequencies (light quanta)』では、サウンドからすべてが始まりました。そのほとんどは独立した音楽として作成され、その後さらなるアイデアが加わり、プロジェクトが現在の状態へと発展しました。ただ、サウンドとビジュアルを作成する上で、すべてがうまく組み合わさるための重要なポイントが必ずあります。たとえば、一部のオーディオ断片は使用しませんでしたが、それは、それらがインスタレーションで上手く機能しなかったためで、いくつかの断片の構成を変更しました。 Nicolasについてこれまでに紹介した記事を読む Nicolasの他の作品は、彼のウェブサイトからご覧いただけます。

Santuri Safari: 前途有望な東アフリカ

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Santuri Safari: 前途有望な東アフリカ

独自性の強い音楽アイデンティティは、成長の過程においてほとんどのミュージシャンが憧れを抱くものです。通常、これは個人的なレベルで生じる事象ですが、ときとしてこのような動きは集団レベルで起こることもあり、それは共通する感性に根差したシーンやムーブメントを切り開く助けとなります。しかし、地域の音楽文化全体のこういった「熱」を各個人が受け入れることはめったになく、また、こういった分析がなんらかの改善策へとつながることはさらにまれです。ここ1年、東アフリカのあるプロジェクト「Santuri Safari」が注目を集め始めているのは、まさにそのためです。地域の音楽文化にイノベーションが欠けておりアイデンティティが失われているという認識に反応して、ミュージシャン、DJ、プロデューサー、活動家によるこの緩やかなネットワークは、ウガンダ、ケニア、タンザニアを音楽の国際的舞台へと連れ戻すことを目標とする一連のイベントで、アフリカそしてそれ以外の地域に話題をもたらしています。 まずは背景について少し説明しましょう。世界各国の音楽ファンは、東アフリカ出身の優れたアーティストや東アフリカ発の特定のジャンルをどう定義するべきか四苦八苦しています。近年、アフリカ音楽に対する人気が世界的に急上昇している中、アフリカ大陸東側は西側にくらべて目立ったものがありません。ガーナ、ナイジェリア、マリ、セネガルの新興音楽と古典音楽が注目を集め、エチオピアのジャズ文化、衝撃的なアンゴラのクドゥーロ、大きな話題となっている南アフリカのハウスとクワイトの作品は引き続き世界各地で反響を呼んでいます。 アフリカ音楽の巨頭、Fela Kuti かといって、東アフリカに何もないわけではありません。この地域にはアフリカ大陸でも最も多様で鮮やかな音楽が存在していますが、グローバルなインパクトをもたらすに至ってはいません。さらに、グローバリゼーションと「西洋」的生活様式への憧れの広まりにつれ、東アフリカで成功したミュージシャンたちは、R&B、ヒップホップ、ポップ、ダンスホールといったより均質でグローバルなスタイルへと傾きがちになっています。 このような状況のなか、DJカルチャーは特にヒップホップ分野でメインストリームとしてしっかりとした基盤を確立しています。ダルエスサラーム、ナイロビ、カンパラのDJは一般的に最新のローカル・ポップ・ヒットをグローバルなRnBヒットとブレンドさせることが多く、またラジオやテレビは独自のデリバティブを宣伝する放送局によりロックダウンされている状態です。 しかし、ここに抵抗勢力が形成されつつあります。Santuri Safariは、志を同じくする個々のアーティストと組織をつなぎ、営利性よりも実験性、コラボレーション、クリエイティビティを重んじる力強いアンダーグラウンド・シーンが生まれるよう努力を行っています。 Santuri(スワヒリ語で「レコード」の意)は、ジャンルを超え、土着文化とグローバルな最先端の文化の間で実験を試みるアーティストを支援し促進するために設立されました。ケニアの文化活動家Gregg Tendwaとタンザニアをベースに活動するDJであるイギリス人David Tinningにより生み出されたこのコンセプトは、この地域周辺で開催される音楽フェスティバルのネットワークを活用し、ありそうにないコラボレーションを実現することです。フェスティバル主催者と連携し、Santuri Safariは仮設スタジオを構築して地元ミュージシャンを招き、ケニア、ウガンダ、タンザニア、その他国際的なゲスト・プロデューサーとの協力を呼びかけています。トラックをその場で構築し、素材はのちに公開され、フェスティバル関連のパーティでプレイされています。 ウガンダでのGabaireシロフォンのレコーディング 5月、Santuri Safariのサウンド・エンジニアであり、NGOであるSoundThread(www.soundthread.org)創設者のSam Jonesはウガンダを訪問し、DoaDoa East African Performing Arts Marketに参加しました。彼はその旅中にフィールド録音を行い、これらはSanturi Safariスタジオで制作される一連のトラックの基盤となりました。Bayimba Cultural Foundationと連携し、Samはカンパラ郊外のイガンガ近郊の村へと案内され、驚くべきEmbaireシロフォンに出会い、レコーディングを行いました。東/中央ウガンダのブソガ発祥のこのシロフォンは、かなり大型であるため7名で演奏します。一定のコミュニティによって社交上の儀式や祝祭で今でも広く使用されているこの楽器は、必要な共鳴を生み出すために地中に半メートルほどの穴を掘って使用します。Sam Jonesは、「低音はヤシの葉で丸みのある音を、ビーチサンダルでよりアタックのある音を出します。これらは同時に演奏してリズムにすばらしいバリエーションを与えることができます。高音は棒を使用して連動するリズムのローテーションで演奏します。ベース音担当が独自の裁量で演奏を開始し、その後の他のパートの参加は私が指揮しました。こうすることで、パートとサウンドに必要なバリエーションを与えました」 ウガンダ・ジンジャでのDoaDoaフェスティバルでSanturiクルーとつながった後、多才なJoel Sebunjo、Giovanni Kramer Kiyingi、Okello Lawrenceといったウガンダのミュージシャンは、ナイロビ、ダル、カンパラのプロデューサーやDJと仕事をするようになりました。幸運にも、Huntleys and Palmersなどのレーベルでアフロ色を帯びたハウスをリリースしているロンドンを拠点に活動するDJのEsa Williamsがフェスティバルに参加中で、話を聞き付け、すぐに参加しました。 Abletonの大ファンであり、10年前に故郷の南アフリカからグラスゴーへと旅立ちロンドンにたどり着いたEsaは、セッションに異なるテイクをもたらしました。 「Samが録音した楽器のほとんどに、Simplerを使用してマニピュレーションを加えました。サンプルをドロップして、MIDIキーボードを使用してプレイしました。録音されていたサンプルの一部はワンショットではなくフルトラックだったので、オリジナルのサンプルからより個性的なサウンドを作成できました。サンプルはできる限り最高の品質で録音されていたので、より自由な実験ができました。スタジオの誰もがそれぞれ異なる方法でサンプルを使用しました―私は自分のエレクトロニックなバックグラウンドを伝統楽器に持ち込みましたが、おもしろい結果が得られました」 セッションの参加者の多く、特にケニア・ハウスのアーティストSaint Evo The Mythとタンザニアの大物ヒップホップ・プロデューサーAmbrose Akulaは、Esaが見せる新しい作業方法に強いものを感じたようです。Esaは次のように続けます。「Liveをワークショップの起点として使用し、参加者にセッション開始のいくつかの方法を提示し、さまざまなレコーディング・テクニックを検証しました。その可能性と、アイデアを生みだしトラックを完成させるスピードに皆驚いていましたよ」 Esaはこれまで数年にわたってエレクトロニック・ミュージックへのアフリカ文化の融合を支持しており、Santuri Safariはこのアイデアにとっての新たな経路です。Esaはこう説明しています。「イギリスに住む南アフリカ人として、一般的なアフリカ音楽だけでなく、新しいより実験的なアフリカ音楽への興味が高まっているのはうれしいことです。Santuri Safariの方向性はこれです―伝統的なアフリカ音楽のエッセンスをとらえつつ、西洋の影響を取り込みながらもルーツを保つフュージョンを生み出すのです」 ウガンダでのセッションは、才能あるラッパーや同じソース素材がSanturiムーブメントの賛歌としての役割を果たすオーガニックなヒップホップ・ジャムの基盤となるリズム・パターンを形成するプラットフォームもいくつかの地域に提供しました。 Tusimame(「立ち上がれ!」の意)では、序奏部にDJ Rachael、Jungle、Uglee MCなどによってスワヒリ語、ルガ方言、ルサ方言が使用されています。この素材はフェスティバル中の週末にかけて催された一連のパーティで披露され、地元オーディエンスに驚嘆を持って迎えられました。素材はすべて、地域および海外でのすべてのイベントを促進する最先端の東アフリカ作品制作の最終目的に注がれています。 この共同体は、ダールで毎月開催されているスピンオフSanturi Societyからカンパラの爆発的イベントHatari...

4DSOUND: 新たなディメンション

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4DSOUND: 新たなディメンション

音楽制作用ツールは電子機器の到来によって飛躍的に発展しましたが、対してリスニング構成は比較的ゆったりとしたテンポで進歩しています。プロフェッショナルおよびコンシューマー向けサラウンドサウンド・システムがつぎつぎと発表されているのにかかわらず、ライブ・パフォーマンスではそのほとんどがステレオ(あるいはサミングされたモノ)・サウンドに依存しており、オーディエンスは音のほとんどを1方向からのみ聴いている状態です。 そこに登場したのが、アムステルダムを拠点とする4DSOUND。漸進的に変化するサウンドの3次元ポジショニング(ここでは時間は第4の次元)を可能にする、新しいイマーシブなシステムです。包括的なスピーカー群とMax for Liveカスタム・デバイスにより、システム空間内のあらゆる場所にサウンドをポジショニングできます。 Abletonはアムステルダムにて4DSOUNDチームのビデオインタビューを敢行。パフォーマーとリスナーに対して、パフォーマンスとリスニングの新たなパラダイムを投げかけるその手法について、この目的を達成するためにどのようにLiveを使用しているのかについて話を聞きました。 4DSOUNDのコンセプトについて創立者Paul Oomenによる説明、ミュージシャンStimmingがシステムのカスタム・パフォーマンスを準備する様子をビデオでご覧ください。ビデオ内のライブ・オーディオはバイノーラルで録音されていますので、サウンドを最適な状態でお楽しみいただくためにも、ヘッドフォンのご使用を強くおすすめします。 次のビデオでは、クリエイティブ・ディレクターSalvatore Breedが、アーティストによる4DSoundのコントロールにMax for Liveを使用する方法について説明しています。 Amsterdam Dance Event 2014にご参加の方は、4DSOUNDとAbletonが共同でキュレーションを務めるワークショップ、パフォーマンス、ハック・ラボにもぜひお立ち寄りください。詳しくは、CDMのページをご参照ください。 パフォーマンスを終えたStimmingは、フルセットのハイクオリティ・バイノーラル録音を公開してくれました。セットはこちらでダウンロードするか、下からストリーミングでお聴きいただけます。ぜひヘッドフォンでお楽しみください。 4DSoundウェブサイト StimmingのSoundCloudページ

Recondite: 独自の色を生み出すこと

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Recondite: 独自の色を生み出すこと

Recondite 2011年、Reconditeは落ち着きのあるエレガントなテクノで南ドイツから頭角を現しました。際だって生き生きとした感情の核を特徴とする彼の作品には、オーガニックなプロセスと人工的なプロセスが曖昧に混合され、猛々しくヘビーなテクノの限定された領域をはるかに超えるものとなっています。Dystopian、Absurd Recordings、そして自身のレーベルPlangentからリリースされる作品は、明快かつ深奥でありながら開放的な音楽を作り出す確かなメロディとディテールへの配慮が特徴的です。 Recondite独自のパレットの構築に熱心です。音楽を「プレイ」することにあまり興味を持たないという彼は、形状、エッジ、トーンからさまざまなサウンドを生み出すことを選びました。フィールド・レコーディングへの重点的な取り組みと、制作プロセスにおける「色付け」への強い嫌悪は、彼の音楽を特徴付けるものとなっています。メロディの揺るぎない重要性、テクノロジーに溶け込むこと、独自の音楽性を形成するのになぜベーシックなサウンドが重要なのかについて話を聞きました。 Recondite - Cleric、Dystopian 003 あなたの音楽を聴く際、いつもフィールド・レコーディングのサウンドとシンセ・サウンドを聞き分けようとするのですが、ほとんどの場合不可能です。特にローエンドとご使用のサウンドソースが気になるのですが、エンベロープにすばらしく繊細なバリエーションが見受けられます。これについてお聞かせいただけますか? この多くは手動で行います。特定のサウンドのベロシティのバリエーションを作成します。その後、各音のベロシティを変更して、長いシーケンスにわたってバラエティを作成します。これにより多くの変化が生まれ、特にベースサウンドのアタックに変化が生じ、グルーヴに優れたバリエーションを与えます。 これは使用されるサウンドすべてにはっきりと表れています。かなりコンスタントなパラメーター変更ですね。 演奏すれば簡単にできます。しかし私は演奏家ではなく、どちらかというとデザイナーや設計者のタイプです。ほとんどメロディしか演奏しないので。 HotflushからのRecondite最新作「DRGN2」 このメソッドがあなたのような人に機能するのは興味深いことです。昨今、オーガニックなバリエーションをハードウェアで実現するという取り組みが盛んですが、これが実現可能なのは、コンピューターに張り付いての作業をよしとする場合に限られるからです。 ひとつの理由に行き着きます。私がこれを行う理由はひとつです。音楽を作るとき、私はフィジカルなことを一切しないことを好みます。好きなんですね、自分の肉体を排除するということが。これは精神的なことです。といっても難解なものではなく、単に、自分という肉体の存在を忘れるほど集中した状態になりたいということです。コンピューターに自分の脳をつなぐことができればどれほどすばらしいか。何かの一部分を演じたくないのです。そのようなことに興味はありません。自分個人の意見、気分、特徴を音楽に注入することに興味があります。正直、「プレイ」がしたければ、テレビゲームをやりますね。 Reconditeのヴェローナでのライブの様子 これが、エレクトロニック・ミュージックの良いところであり、ソフトウェアとその可能性のすばらしい点です。この機会を与えてくれるからです。たとえば機内で、10時間にわたって小さな席に座ったままでも、他にすることがなければAbletonを開きます。もちろん機内にはMIDIキーボードなどの機材はありませんが、すばらしいビートを構築し、アイデアを音楽に変化させることができます。ラップトップさえあれば何も要りません。これが音楽制作の未来なのです。Google Glassを使用して目の動きを利用した音楽制作ソリューションなども、非常に面白い可能性を秘めていると思います。 メロディについて明確かつ洗練された感覚をお持ちですが、テクノにおけるメロディの重要性についてどのようにお考えですか?後世に残るトラックを作成する重要な要素と思われますか? 私は、メロディはトラックを興味深いものにする要素だと個人的には思います。トラックに魅力と個性を与えるものです。ある種のドラム・プログラミングやボンゴなどのパーカッシブな表現も個性を出すことはできますが、メロディほど分かりやすくはありません。伝えたい何かがある場合、表現したい感情がある場合、それを露わにしたいと思います。メロディ自体はたとえばポップ・ミュージックにはない抽象的で非常に分かりにくく曖昧なものであるかもしれませんが。いろんなところで耳にする普通の音とは違う、時折淋しくもあるような、そんな感情です。独自の雰囲気ですね。私の音楽にメロディが豊富なのはそのためです。自分の感情をうまく表現したい、他者にも理解できるようにしつつ、一般的な形式とは異なる方法でこういった感情を表現したいと思っています。 2013年にGhostly InternationalからリリースされたReconditeのアルバム「Hinterland」 特にテクノでは、あからさまな美しさを避ける傾向があります。うまく構成された小さな抑揚のメロディは、発展するシンセ・トーンと組み合わせることで非常に印象的になり得ますが、それでもプロデューサーの多くはメロディの使用を控えがちなようです。 それには多くの理由があると思います。テクノ・ミュージシャンは、メロディが簡単に陳腐なものになってしまうと感じていて、それが怖くてメロディを使用することを避けているんだと思います。それがひとつ。もうひとつは、テクノ・アーティストには、率直で、構造を重んじ、さらに言えば、感情をあまり重視しない人たちもいて、そういう人たちには単純にメロディというものが存在しないのだと思います。こう言えるのは、私自身がよく体験することだからです。彼らの中には、メロディの代わりに、複雑なリズムや巨大なシーケンスといった別の何かが存在しているわけです。皆がメロディを使用するわけではないのは、こういう理由だと思います。誰もが自分なりの方法を見つけていくのです。 ソフトウェアに没頭し、一般的な意味での演奏ということはあまりしないというお話に関連して、ギグや、ライブ・パフォーマーとしての期待への対応についてはどのようにお感じでしたか?移行は違和感のないものだったのでしょうか? ええ。これまでも、人の期待に応えようとしたことはありません。オーディエンスやプロモーターの期待に応えようとしたことも、彼らが望むと思われることをしようとしたこともありません。自分にとって心地良いことをすれば、それは上手くいくと確信していました。違和感を感じるほど何かを変更したり、他者の期待に応えるために何かを変えようとしたのであれば、きっと失敗していたことでしょう。自分にとってできるだけ簡単になるようにしようと決めたのです。そして、できるだけ真摯であろうとも。もともと、注目を集めることにはあまり興味がありませんでした。今、自分がドラムマシンやシンセサイザー、いくつかの外部ハードウェアと共にステージに立つとしたら、それはすでに自己顕示に思えます。家でもこういった機材を使用していないのに、なぜステージで使用する必要が?こんな風に見栄をはるのはおかしいと思うんです。そんなことは上手くいきません。 Recondite 私は、音楽に合わせて体を動かし、目を閉じ、その音楽が好きだということを表します。それが好きだからです。たくさん制作しているので常に新しい素材をたくさんプレイしますが、いつでもそれを変化させることができるので、興味がとぎれることがなく、ほとんどの場合本当に楽しみながらプレイしています。オーディエンスにもそれは伝わっていると思います。ときどき、自分がDJであるかのような気になることさえあります。とても心地良い気分で、まったくストレスを感じません。山のようなハードウェアや複雑なケーブル配線を目の前にすることもありません。無数のノブをたった10本の指で操作する必要もないので、プレイするトラックの順序を書き留めたメモを置いておく必要もありません。こういったことは私には無関係なのです。 シンセサイザー・サウンドの構築で主にご使用のツールは? Abletonのツールだけを使用しています。他は一切使用していません。アルバム「On Acid」とAcid Test用に近日リリースされるEPでは、Acid Lab Basslineを使用しました。303の完全なエミュレーションなんです。個人的にはオリジナル以上だと思っています。さらに可能性を広げてくれますから。それ以外はすべてOperatorです。私に必要なシンセはこれだけです。AnalogやTensionすら使用していません。 Operatorはとにかくすばらしい。シンセサイザーは非常に多様な楽器です。扱い方さえ知っていれば、弦楽器のサウンドやベース・ドラムをひとつのシンセから生成することができます。これはかなりの可能性です。目的に合わせて、特定のサウンドが必要だとか、特定のシンセが必要だと考える人はたくさんいます。大型のパッドが必要だという理由で特定のシンセを購入する人もいます。 もちろん、それぞれのシンセにそれぞれの特徴があります。しかし、そういったシンセの特徴こそ、私が必要としていないものなのです。私が求めているのはまったく逆のものです。私が探しているのは最もニュートラルなもの。ニュートラルなものであれば、そこに個人的な解釈を加えることができるからです。すでになんらかの特徴があるものに私独自の特徴を加えることは難しいからです。 Recondite - Tie In(Acid Test) Ableton Liveが大好きなのも同じ理由で、最もベーシックなソフトウェアだからです。EQもニュートラル。EQとしての仕事をするだけです。WavesのEQをすべて買い揃えるとすると、非常に高価だし、特徴的なサウンドがあります。このEQが使用されていれば、だいたいの場合聴いて判別できます。すばらしいサウンドですしね。でもやはり色付けされてしまう。この色付けが嫌なんです。私は自分独自の色を作りたい。だから、私に必要なのは、ベーシックなシンセ、ベーシックなEQ、ベーシックなフィルター。本来の仕事だけをこなすもの、それだけなのです。私にとって、それがLiveなのです。Liveはサウンドが良くないと文句を言う人がいますが、それはLiveが色付けをしないからです。私の考えでは、Logicではかなりの色付けがなされます。Logicの音がいいという人がいるのは、少し音がきれいになるからだと思います。しかしAbleton Liveでは、サウンドを向上させたければ自分で操作するしかありません。作業は増えるかもしれませんが、Liveは自分独自のサウンドを生み出す機会を与えてくれます。未処理なのにいいサウンドだと、私にとっては問題です。私はベーシックなサウンドからスタートしたいのです。 あなたは現在の主流とはまったく逆を行っているようですね。今では誰もがカラーを求め、さらなるバイブスを加えたがっているように思えますが。 あらゆることに言えますが、手っ取り早いものが人気なんだと思います。すぐにアクセスできるものがいい。今、そして次の瞬間にぱっと機能するものです。しかし、際だった何かを生み出したいのであれば、そういった方法ではうまくいかないのです。 Reconditeについて詳しくは、FacebookページおよびTwitterをご覧ください。

インプット/アウトプット: Massimiliano Pagliara

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インプット/アウトプット: Massimiliano Pagliara

Massimiliano Pagliaraは、そのイタロ・ハウス・ミュージックへの際だってオーセンティックな解釈が特徴的なプロデューサーです。厚みのあるテクスチャのアナログ・サウンドを好むファンたちは、彼の豊富なディスコグラフィ、特に今年9月Live At Robert Johnsonでリリース予定のLP「With One Another」に熱い視線を送っています。レトロなその美的感覚の背後にあるプロセス、古風な機材をモダンなソフトウェアに統合させる手法、TR-808をKorg MS-20にルーティングする楽しみについて話を聞きました。

AbayomiがPushをプレイ

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AbayomiがPushをプレイ

Jesse Abayomiは多才です―Abletonプロダクト・スペシャリストとしての仕事に加え、ミュージシャン、DJ、レーベル・オーナーとしても活躍していますが、優れたPushの使い手でもあります。Zone3名義で活動するJesseが自身のトラック「Chemistry」を披露する様子をご覧ください。 JesseのLiveセットは、「Chemistry」のさまざまなパートをアクティブにプレイできる機能を活用してPushでトラックを再現できるようになっています。Jesseによる、パフォーマンスに使用するパートの解説、Drum Rack、Max for LiveデバイスAugust synthesizerについての説明をご覧ください。 「Chemistry」はこちらからお聴きいただけます。 その他のPush使用アーティストビデオを観る Pushについてさらに詳しく Jesse AbayomiのSoundCloudページ Jesse AbayomiのFacebookページ Jesse AbayomiのAbout.meページ

Jonathan Zorn: 不気味なボコーダー

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Jonathan Zorn: 不気味なボコーダー

Jonathan Zorn、自身のスタジオにて - 撮影: Ross McDermott 不完全や欠陥とされるものをテーマに取りあげ発展させていくアーティストがいます。真空管回路、ビニール、テープなどのディストーション特性を再現するプラグイン・エフェクトの数、また昨今のプロダクションに使用されているクラックルやテープ・ヒスのサンプルの数をみても、その存在は明らかです。 エレクトロアコースティック・ミュージシャンであり研究者でもあるJonathan Zornは、Google翻訳の翻訳機能を使用して幾度も翻訳を重ねるうちシステムの不完全性により文章の方向性が別方向へと進んでいったジークムント・フロイトの文章をベースとするシリーズ作品「And Perforation」で、この歴史に新しい1ページを加えています。 And Perforation by Jonathan Zorn 「And Perforation」とその関連作品「Language as Dust」のリリースに際して、AbletonはJonathanにインタビューを敢行、ボコーダーとモジュラー・シンセの使用について、言語を細分化することについて、Liveを使用した反応性に優れたパフォーマンス・セットアップの作成について話を聞きました。 「Language is Dust」と「And Perforation」での文章の構成プロセスについてお話しいただけますか。 「And Perforation」は、友人がDoepferモジュラー・ボコーダーを貸してくれたのですが、ジークムント・フロイトの評論「不気味なもの」に合うシリーズ作品を作成する最高の機会に思えました。親しみと違和感を同時に感じる何かというアイデアは、合成ボイスに対する私の強い興味を要約するのに非常にふさわしいと思いました。この関連性は、もともとムラデン・ドラーの本「A Voice and Nothing More」から得たものです。 テキストを作成するために、まずGoogleを使用してオリジナルのテキストを英語に翻訳しました。「Obvious Difference Scary」では、短いパッセージを繰り返しさまざまな言語に翻訳してから、英語に翻訳し直しました。「das Unheimliche」というドイツ語が次第に歪んでいくのが分かります。「The Bizarre」では、長いパッセージにMicrosoft Wordの自動要約機能を適用してからさらにGoogle翻訳にかけました。「And Perforation」では、自動翻訳で作成された言語的にまぜこぜとなったものにさらに編集を加えています。 Google翻訳でフロイトの文章を処理する 「Language as Dust」のテキストには、アリストテレスの「霊魂論」、ジュリア・クリステヴァの記号論に関する論文、トーマス・エジソンの今後の録音技術の使用に関する覚書、ボコーダーの歴史に関するデイヴ・トンプキンスの本から集めたボコーダーの聞き間違え、電子音声現象(コンスタンティン・ラウティヴによる、ホワイトノイズを使用した死者との交信内容の書写)が含まれています。 テキストの加工には、MS Wordの自動要約機能、複数のテキストの接合(バロウズの「カット・アップ」的手法)、消去、翻訳などのテクニックを使用しました。このプロセスを経ることで、言語を音楽素材として使用することに興味を持ちました。たとえば、「Meditation on Pattern and Noise」では、フレーズや単語を繰り返してサウンドのパターンを作成し、語義とは関係のない音楽的な論理を作成しました。 Jonathan Zorn - Language...