Learn about different artists and how they're using Live.

Santuri Safari: 前途有望な東アフリカ

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Santuri Safari: 前途有望な東アフリカ

独自性の強い音楽アイデンティティは、成長の過程においてほとんどのミュージシャンが憧れを抱くものです。通常、これは個人的なレベルで生じる事象ですが、ときとしてこのような動きは集団レベルで起こることもあり、それは共通する感性に根差したシーンやムーブメントを切り開く助けとなります。しかし、地域の音楽文化全体のこういった「熱」を各個人が受け入れることはめったになく、また、こういった分析がなんらかの改善策へとつながることはさらにまれです。ここ1年、東アフリカのあるプロジェクト「Santuri Safari」が注目を集め始めているのは、まさにそのためです。地域の音楽文化にイノベーションが欠けておりアイデンティティが失われているという認識に反応して、ミュージシャン、DJ、プロデューサー、活動家によるこの緩やかなネットワークは、ウガンダ、ケニア、タンザニアを音楽の国際的舞台へと連れ戻すことを目標とする一連のイベントで、アフリカそしてそれ以外の地域に話題をもたらしています。 まずは背景について少し説明しましょう。世界各国の音楽ファンは、東アフリカ出身の優れたアーティストや東アフリカ発の特定のジャンルをどう定義するべきか四苦八苦しています。近年、アフリカ音楽に対する人気が世界的に急上昇している中、アフリカ大陸東側は西側にくらべて目立ったものがありません。ガーナ、ナイジェリア、マリ、セネガルの新興音楽と古典音楽が注目を集め、エチオピアのジャズ文化、衝撃的なアンゴラのクドゥーロ、大きな話題となっている南アフリカのハウスとクワイトの作品は引き続き世界各地で反響を呼んでいます。 アフリカ音楽の巨頭、Fela Kuti かといって、東アフリカに何もないわけではありません。この地域にはアフリカ大陸でも最も多様で鮮やかな音楽が存在していますが、グローバルなインパクトをもたらすに至ってはいません。さらに、グローバリゼーションと「西洋」的生活様式への憧れの広まりにつれ、東アフリカで成功したミュージシャンたちは、R&B、ヒップホップ、ポップ、ダンスホールといったより均質でグローバルなスタイルへと傾きがちになっています。 このような状況のなか、DJカルチャーは特にヒップホップ分野でメインストリームとしてしっかりとした基盤を確立しています。ダルエスサラーム、ナイロビ、カンパラのDJは一般的に最新のローカル・ポップ・ヒットをグローバルなRnBヒットとブレンドさせることが多く、またラジオやテレビは独自のデリバティブを宣伝する放送局によりロックダウンされている状態です。 しかし、ここに抵抗勢力が形成されつつあります。Santuri Safariは、志を同じくする個々のアーティストと組織をつなぎ、営利性よりも実験性、コラボレーション、クリエイティビティを重んじる力強いアンダーグラウンド・シーンが生まれるよう努力を行っています。 Santuri(スワヒリ語で「レコード」の意)は、ジャンルを超え、土着文化とグローバルな最先端の文化の間で実験を試みるアーティストを支援し促進するために設立されました。ケニアの文化活動家Gregg Tendwaとタンザニアをベースに活動するDJであるイギリス人David Tinningにより生み出されたこのコンセプトは、この地域周辺で開催される音楽フェスティバルのネットワークを活用し、ありそうにないコラボレーションを実現することです。フェスティバル主催者と連携し、Santuri Safariは仮設スタジオを構築して地元ミュージシャンを招き、ケニア、ウガンダ、タンザニア、その他国際的なゲスト・プロデューサーとの協力を呼びかけています。トラックをその場で構築し、素材はのちに公開され、フェスティバル関連のパーティでプレイされています。 ウガンダでのGabaireシロフォンのレコーディング 5月、Santuri Safariのサウンド・エンジニアであり、NGOであるSoundThread(www.soundthread.org)創設者のSam Jonesはウガンダを訪問し、DoaDoa East African Performing Arts Marketに参加しました。彼はその旅中にフィールド録音を行い、これらはSanturi Safariスタジオで制作される一連のトラックの基盤となりました。Bayimba Cultural Foundationと連携し、Samはカンパラ郊外のイガンガ近郊の村へと案内され、驚くべきEmbaireシロフォンに出会い、レコーディングを行いました。東/中央ウガンダのブソガ発祥のこのシロフォンは、かなり大型であるため7名で演奏します。一定のコミュニティによって社交上の儀式や祝祭で今でも広く使用されているこの楽器は、必要な共鳴を生み出すために地中に半メートルほどの穴を掘って使用します。Sam Jonesは、「低音はヤシの葉で丸みのある音を、ビーチサンダルでよりアタックのある音を出します。これらは同時に演奏してリズムにすばらしいバリエーションを与えることができます。高音は棒を使用して連動するリズムのローテーションで演奏します。ベース音担当が独自の裁量で演奏を開始し、その後の他のパートの参加は私が指揮しました。こうすることで、パートとサウンドに必要なバリエーションを与えました」 ウガンダ・ジンジャでのDoaDoaフェスティバルでSanturiクルーとつながった後、多才なJoel Sebunjo、Giovanni Kramer Kiyingi、Okello Lawrenceといったウガンダのミュージシャンは、ナイロビ、ダル、カンパラのプロデューサーやDJと仕事をするようになりました。幸運にも、Huntleys and Palmersなどのレーベルでアフロ色を帯びたハウスをリリースしているロンドンを拠点に活動するDJのEsa Williamsがフェスティバルに参加中で、話を聞き付け、すぐに参加しました。 Abletonの大ファンであり、10年前に故郷の南アフリカからグラスゴーへと旅立ちロンドンにたどり着いたEsaは、セッションに異なるテイクをもたらしました。 「Samが録音した楽器のほとんどに、Simplerを使用してマニピュレーションを加えました。サンプルをドロップして、MIDIキーボードを使用してプレイしました。録音されていたサンプルの一部はワンショットではなくフルトラックだったので、オリジナルのサンプルからより個性的なサウンドを作成できました。サンプルはできる限り最高の品質で録音されていたので、より自由な実験ができました。スタジオの誰もがそれぞれ異なる方法でサンプルを使用しました―私は自分のエレクトロニックなバックグラウンドを伝統楽器に持ち込みましたが、おもしろい結果が得られました」 セッションの参加者の多く、特にケニア・ハウスのアーティストSaint Evo The Mythとタンザニアの大物ヒップホップ・プロデューサーAmbrose Akulaは、Esaが見せる新しい作業方法に強いものを感じたようです。Esaは次のように続けます。「Liveをワークショップの起点として使用し、参加者にセッション開始のいくつかの方法を提示し、さまざまなレコーディング・テクニックを検証しました。その可能性と、アイデアを生みだしトラックを完成させるスピードに皆驚いていましたよ」 Esaはこれまで数年にわたってエレクトロニック・ミュージックへのアフリカ文化の融合を支持しており、Santuri Safariはこのアイデアにとっての新たな経路です。Esaはこう説明しています。「イギリスに住む南アフリカ人として、一般的なアフリカ音楽だけでなく、新しいより実験的なアフリカ音楽への興味が高まっているのはうれしいことです。Santuri Safariの方向性はこれです―伝統的なアフリカ音楽のエッセンスをとらえつつ、西洋の影響を取り込みながらもルーツを保つフュージョンを生み出すのです」 ウガンダでのセッションは、才能あるラッパーや同じソース素材がSanturiムーブメントの賛歌としての役割を果たすオーガニックなヒップホップ・ジャムの基盤となるリズム・パターンを形成するプラットフォームもいくつかの地域に提供しました。 Tusimame(「立ち上がれ!」の意)では、序奏部にDJ Rachael、Jungle、Uglee MCなどによってスワヒリ語、ルガ方言、ルサ方言が使用されています。この素材はフェスティバル中の週末にかけて催された一連のパーティで披露され、地元オーディエンスに驚嘆を持って迎えられました。素材はすべて、地域および海外でのすべてのイベントを促進する最先端の東アフリカ作品制作の最終目的に注がれています。 この共同体は、ダールで毎月開催されているスピンオフSanturi Societyからカンパラの爆発的イベントHatari...

4DSOUND: 新たなディメンション

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4DSOUND: 新たなディメンション

音楽制作用ツールは電子機器の到来によって飛躍的に発展しましたが、対してリスニング構成は比較的ゆったりとしたテンポで進歩しています。プロフェッショナルおよびコンシューマー向けサラウンドサウンド・システムがつぎつぎと発表されているのにかかわらず、ライブ・パフォーマンスではそのほとんどがステレオ(あるいはサミングされたモノ)・サウンドに依存しており、オーディエンスは音のほとんどを1方向からのみ聴いている状態です。 そこに登場したのが、アムステルダムを拠点とする4DSOUND。漸進的に変化するサウンドの3次元ポジショニング(ここでは時間は第4の次元)を可能にする、新しいイマーシブなシステムです。包括的なスピーカー群とMax for Liveカスタム・デバイスにより、システム空間内のあらゆる場所にサウンドをポジショニングできます。 Abletonはアムステルダムにて4DSOUNDチームのビデオインタビューを敢行。パフォーマーとリスナーに対して、パフォーマンスとリスニングの新たなパラダイムを投げかけるその手法について、この目的を達成するためにどのようにLiveを使用しているのかについて話を聞きました。 4DSOUNDのコンセプトについて創立者Paul Oomenによる説明、ミュージシャンStimmingがシステムのカスタム・パフォーマンスを準備する様子をビデオでご覧ください。ビデオ内のライブ・オーディオはバイノーラルで録音されていますので、サウンドを最適な状態でお楽しみいただくためにも、ヘッドフォンのご使用を強くおすすめします。 次のビデオでは、クリエイティブ・ディレクターSalvatore Breedが、アーティストによる4DSoundのコントロールにMax for Liveを使用する方法について説明しています。 Amsterdam Dance Event 2014にご参加の方は、4DSOUNDとAbletonが共同でキュレーションを務めるワークショップ、パフォーマンス、ハック・ラボにもぜひお立ち寄りください。詳しくは、CDMのページをご参照ください。 パフォーマンスを終えたStimmingは、フルセットのハイクオリティ・バイノーラル録音を公開してくれました。セットはこちらでダウンロードするか、下からストリーミングでお聴きいただけます。ぜひヘッドフォンでお楽しみください。 4DSoundウェブサイト StimmingのSoundCloudページ

Recondite: 独自の色を生み出すこと

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Recondite: 独自の色を生み出すこと

Recondite 2011年、Reconditeは落ち着きのあるエレガントなテクノで南ドイツから頭角を現しました。際だって生き生きとした感情の核を特徴とする彼の作品には、オーガニックなプロセスと人工的なプロセスが曖昧に混合され、猛々しくヘビーなテクノの限定された領域をはるかに超えるものとなっています。Dystopian、Absurd Recordings、そして自身のレーベルPlangentからリリースされる作品は、明快かつ深奥でありながら開放的な音楽を作り出す確かなメロディとディテールへの配慮が特徴的です。 Recondite独自のパレットの構築に熱心です。音楽を「プレイ」することにあまり興味を持たないという彼は、形状、エッジ、トーンからさまざまなサウンドを生み出すことを選びました。フィールド・レコーディングへの重点的な取り組みと、制作プロセスにおける「色付け」への強い嫌悪は、彼の音楽を特徴付けるものとなっています。メロディの揺るぎない重要性、テクノロジーに溶け込むこと、独自の音楽性を形成するのになぜベーシックなサウンドが重要なのかについて話を聞きました。 Recondite - Cleric、Dystopian 003 あなたの音楽を聴く際、いつもフィールド・レコーディングのサウンドとシンセ・サウンドを聞き分けようとするのですが、ほとんどの場合不可能です。特にローエンドとご使用のサウンドソースが気になるのですが、エンベロープにすばらしく繊細なバリエーションが見受けられます。これについてお聞かせいただけますか? この多くは手動で行います。特定のサウンドのベロシティのバリエーションを作成します。その後、各音のベロシティを変更して、長いシーケンスにわたってバラエティを作成します。これにより多くの変化が生まれ、特にベースサウンドのアタックに変化が生じ、グルーヴに優れたバリエーションを与えます。 これは使用されるサウンドすべてにはっきりと表れています。かなりコンスタントなパラメーター変更ですね。 演奏すれば簡単にできます。しかし私は演奏家ではなく、どちらかというとデザイナーや設計者のタイプです。ほとんどメロディしか演奏しないので。 HotflushからのRecondite最新作「DRGN2」 このメソッドがあなたのような人に機能するのは興味深いことです。昨今、オーガニックなバリエーションをハードウェアで実現するという取り組みが盛んですが、これが実現可能なのは、コンピューターに張り付いての作業をよしとする場合に限られるからです。 ひとつの理由に行き着きます。私がこれを行う理由はひとつです。音楽を作るとき、私はフィジカルなことを一切しないことを好みます。好きなんですね、自分の肉体を排除するということが。これは精神的なことです。といっても難解なものではなく、単に、自分という肉体の存在を忘れるほど集中した状態になりたいということです。コンピューターに自分の脳をつなぐことができればどれほどすばらしいか。何かの一部分を演じたくないのです。そのようなことに興味はありません。自分個人の意見、気分、特徴を音楽に注入することに興味があります。正直、「プレイ」がしたければ、テレビゲームをやりますね。 Reconditeのヴェローナでのライブの様子 これが、エレクトロニック・ミュージックの良いところであり、ソフトウェアとその可能性のすばらしい点です。この機会を与えてくれるからです。たとえば機内で、10時間にわたって小さな席に座ったままでも、他にすることがなければAbletonを開きます。もちろん機内にはMIDIキーボードなどの機材はありませんが、すばらしいビートを構築し、アイデアを音楽に変化させることができます。ラップトップさえあれば何も要りません。これが音楽制作の未来なのです。Google Glassを使用して目の動きを利用した音楽制作ソリューションなども、非常に面白い可能性を秘めていると思います。 メロディについて明確かつ洗練された感覚をお持ちですが、テクノにおけるメロディの重要性についてどのようにお考えですか?後世に残るトラックを作成する重要な要素と思われますか? 私は、メロディはトラックを興味深いものにする要素だと個人的には思います。トラックに魅力と個性を与えるものです。ある種のドラム・プログラミングやボンゴなどのパーカッシブな表現も個性を出すことはできますが、メロディほど分かりやすくはありません。伝えたい何かがある場合、表現したい感情がある場合、それを露わにしたいと思います。メロディ自体はたとえばポップ・ミュージックにはない抽象的で非常に分かりにくく曖昧なものであるかもしれませんが。いろんなところで耳にする普通の音とは違う、時折淋しくもあるような、そんな感情です。独自の雰囲気ですね。私の音楽にメロディが豊富なのはそのためです。自分の感情をうまく表現したい、他者にも理解できるようにしつつ、一般的な形式とは異なる方法でこういった感情を表現したいと思っています。 2013年にGhostly InternationalからリリースされたReconditeのアルバム「Hinterland」 特にテクノでは、あからさまな美しさを避ける傾向があります。うまく構成された小さな抑揚のメロディは、発展するシンセ・トーンと組み合わせることで非常に印象的になり得ますが、それでもプロデューサーの多くはメロディの使用を控えがちなようです。 それには多くの理由があると思います。テクノ・ミュージシャンは、メロディが簡単に陳腐なものになってしまうと感じていて、それが怖くてメロディを使用することを避けているんだと思います。それがひとつ。もうひとつは、テクノ・アーティストには、率直で、構造を重んじ、さらに言えば、感情をあまり重視しない人たちもいて、そういう人たちには単純にメロディというものが存在しないのだと思います。こう言えるのは、私自身がよく体験することだからです。彼らの中には、メロディの代わりに、複雑なリズムや巨大なシーケンスといった別の何かが存在しているわけです。皆がメロディを使用するわけではないのは、こういう理由だと思います。誰もが自分なりの方法を見つけていくのです。 ソフトウェアに没頭し、一般的な意味での演奏ということはあまりしないというお話に関連して、ギグや、ライブ・パフォーマーとしての期待への対応についてはどのようにお感じでしたか?移行は違和感のないものだったのでしょうか? ええ。これまでも、人の期待に応えようとしたことはありません。オーディエンスやプロモーターの期待に応えようとしたことも、彼らが望むと思われることをしようとしたこともありません。自分にとって心地良いことをすれば、それは上手くいくと確信していました。違和感を感じるほど何かを変更したり、他者の期待に応えるために何かを変えようとしたのであれば、きっと失敗していたことでしょう。自分にとってできるだけ簡単になるようにしようと決めたのです。そして、できるだけ真摯であろうとも。もともと、注目を集めることにはあまり興味がありませんでした。今、自分がドラムマシンやシンセサイザー、いくつかの外部ハードウェアと共にステージに立つとしたら、それはすでに自己顕示に思えます。家でもこういった機材を使用していないのに、なぜステージで使用する必要が?こんな風に見栄をはるのはおかしいと思うんです。そんなことは上手くいきません。 Recondite 私は、音楽に合わせて体を動かし、目を閉じ、その音楽が好きだということを表します。それが好きだからです。たくさん制作しているので常に新しい素材をたくさんプレイしますが、いつでもそれを変化させることができるので、興味がとぎれることがなく、ほとんどの場合本当に楽しみながらプレイしています。オーディエンスにもそれは伝わっていると思います。ときどき、自分がDJであるかのような気になることさえあります。とても心地良い気分で、まったくストレスを感じません。山のようなハードウェアや複雑なケーブル配線を目の前にすることもありません。無数のノブをたった10本の指で操作する必要もないので、プレイするトラックの順序を書き留めたメモを置いておく必要もありません。こういったことは私には無関係なのです。 シンセサイザー・サウンドの構築で主にご使用のツールは? Abletonのツールだけを使用しています。他は一切使用していません。アルバム「On Acid」とAcid Test用に近日リリースされるEPでは、Acid Lab Basslineを使用しました。303の完全なエミュレーションなんです。個人的にはオリジナル以上だと思っています。さらに可能性を広げてくれますから。それ以外はすべてOperatorです。私に必要なシンセはこれだけです。AnalogやTensionすら使用していません。 Operatorはとにかくすばらしい。シンセサイザーは非常に多様な楽器です。扱い方さえ知っていれば、弦楽器のサウンドやベース・ドラムをひとつのシンセから生成することができます。これはかなりの可能性です。目的に合わせて、特定のサウンドが必要だとか、特定のシンセが必要だと考える人はたくさんいます。大型のパッドが必要だという理由で特定のシンセを購入する人もいます。 もちろん、それぞれのシンセにそれぞれの特徴があります。しかし、そういったシンセの特徴こそ、私が必要としていないものなのです。私が求めているのはまったく逆のものです。私が探しているのは最もニュートラルなもの。ニュートラルなものであれば、そこに個人的な解釈を加えることができるからです。すでになんらかの特徴があるものに私独自の特徴を加えることは難しいからです。 Recondite - Tie In(Acid Test) Ableton Liveが大好きなのも同じ理由で、最もベーシックなソフトウェアだからです。EQもニュートラル。EQとしての仕事をするだけです。WavesのEQをすべて買い揃えるとすると、非常に高価だし、特徴的なサウンドがあります。このEQが使用されていれば、だいたいの場合聴いて判別できます。すばらしいサウンドですしね。でもやはり色付けされてしまう。この色付けが嫌なんです。私は自分独自の色を作りたい。だから、私に必要なのは、ベーシックなシンセ、ベーシックなEQ、ベーシックなフィルター。本来の仕事だけをこなすもの、それだけなのです。私にとって、それがLiveなのです。Liveはサウンドが良くないと文句を言う人がいますが、それはLiveが色付けをしないからです。私の考えでは、Logicではかなりの色付けがなされます。Logicの音がいいという人がいるのは、少し音がきれいになるからだと思います。しかしAbleton Liveでは、サウンドを向上させたければ自分で操作するしかありません。作業は増えるかもしれませんが、Liveは自分独自のサウンドを生み出す機会を与えてくれます。未処理なのにいいサウンドだと、私にとっては問題です。私はベーシックなサウンドからスタートしたいのです。 あなたは現在の主流とはまったく逆を行っているようですね。今では誰もがカラーを求め、さらなるバイブスを加えたがっているように思えますが。 あらゆることに言えますが、手っ取り早いものが人気なんだと思います。すぐにアクセスできるものがいい。今、そして次の瞬間にぱっと機能するものです。しかし、際だった何かを生み出したいのであれば、そういった方法ではうまくいかないのです。 Reconditeについて詳しくは、FacebookページおよびTwitterをご覧ください。

インプット/アウトプット: Massimiliano Pagliara

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インプット/アウトプット: Massimiliano Pagliara

Massimiliano Pagliaraは、そのイタロ・ハウス・ミュージックへの際だってオーセンティックな解釈が特徴的なプロデューサーです。厚みのあるテクスチャのアナログ・サウンドを好むファンたちは、彼の豊富なディスコグラフィ、特に今年9月Live At Robert Johnsonでリリース予定のLP「With One Another」に熱い視線を送っています。レトロなその美的感覚の背後にあるプロセス、古風な機材をモダンなソフトウェアに統合させる手法、TR-808をKorg MS-20にルーティングする楽しみについて話を聞きました。

AbayomiがPushをプレイ

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AbayomiがPushをプレイ

Jesse Abayomiは多才です―Abletonプロダクト・スペシャリストとしての仕事に加え、ミュージシャン、DJ、レーベル・オーナーとしても活躍していますが、優れたPushの使い手でもあります。Zone3名義で活動するJesseが自身のトラック「Chemistry」を披露する様子をご覧ください。 JesseのLiveセットは、「Chemistry」のさまざまなパートをアクティブにプレイできる機能を活用してPushでトラックを再現できるようになっています。Jesseによる、パフォーマンスに使用するパートの解説、Drum Rack、Max for LiveデバイスAugust synthesizerについての説明をご覧ください。 「Chemistry」はこちらからお聴きいただけます。 その他のPush使用アーティストビデオを観る Pushについてさらに詳しく Jesse AbayomiのSoundCloudページ Jesse AbayomiのFacebookページ Jesse AbayomiのAbout.meページ

Jonathan Zorn: 不気味なボコーダー

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Jonathan Zorn: 不気味なボコーダー

Jonathan Zorn、自身のスタジオにて - 撮影: Ross McDermott 不完全や欠陥とされるものをテーマに取りあげ発展させていくアーティストがいます。真空管回路、ビニール、テープなどのディストーション特性を再現するプラグイン・エフェクトの数、また昨今のプロダクションに使用されているクラックルやテープ・ヒスのサンプルの数をみても、その存在は明らかです。 エレクトロアコースティック・ミュージシャンであり研究者でもあるJonathan Zornは、Google翻訳の翻訳機能を使用して幾度も翻訳を重ねるうちシステムの不完全性により文章の方向性が別方向へと進んでいったジークムント・フロイトの文章をベースとするシリーズ作品「And Perforation」で、この歴史に新しい1ページを加えています。 And Perforation by Jonathan Zorn 「And Perforation」とその関連作品「Language as Dust」のリリースに際して、AbletonはJonathanにインタビューを敢行、ボコーダーとモジュラー・シンセの使用について、言語を細分化することについて、Liveを使用した反応性に優れたパフォーマンス・セットアップの作成について話を聞きました。 「Language is Dust」と「And Perforation」での文章の構成プロセスについてお話しいただけますか。 「And Perforation」は、友人がDoepferモジュラー・ボコーダーを貸してくれたのですが、ジークムント・フロイトの評論「不気味なもの」に合うシリーズ作品を作成する最高の機会に思えました。親しみと違和感を同時に感じる何かというアイデアは、合成ボイスに対する私の強い興味を要約するのに非常にふさわしいと思いました。この関連性は、もともとムラデン・ドラーの本「A Voice and Nothing More」から得たものです。 テキストを作成するために、まずGoogleを使用してオリジナルのテキストを英語に翻訳しました。「Obvious Difference Scary」では、短いパッセージを繰り返しさまざまな言語に翻訳してから、英語に翻訳し直しました。「das Unheimliche」というドイツ語が次第に歪んでいくのが分かります。「The Bizarre」では、長いパッセージにMicrosoft Wordの自動要約機能を適用してからさらにGoogle翻訳にかけました。「And Perforation」では、自動翻訳で作成された言語的にまぜこぜとなったものにさらに編集を加えています。 Google翻訳でフロイトの文章を処理する 「Language as Dust」のテキストには、アリストテレスの「霊魂論」、ジュリア・クリステヴァの記号論に関する論文、トーマス・エジソンの今後の録音技術の使用に関する覚書、ボコーダーの歴史に関するデイヴ・トンプキンスの本から集めたボコーダーの聞き間違え、電子音声現象(コンスタンティン・ラウティヴによる、ホワイトノイズを使用した死者との交信内容の書写)が含まれています。 テキストの加工には、MS Wordの自動要約機能、複数のテキストの接合(バロウズの「カット・アップ」的手法)、消去、翻訳などのテクニックを使用しました。このプロセスを経ることで、言語を音楽素材として使用することに興味を持ちました。たとえば、「Meditation on Pattern and Noise」では、フレーズや単語を繰り返してサウンドのパターンを作成し、語義とは関係のない音楽的な論理を作成しました。 Jonathan Zorn - Language...

メンデルスゾーン・エフェクトリウム: オーケストラをコントロールする方法(Liveで)

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メンデルスゾーン・エフェクトリウム: オーケストラをコントロールする方法(Liveで)

メンデルスゾーン・バルトルディ博物館のエフェクトリウムを指揮する 指揮者となるための道は長く厳しいもの。何年にもわたる熱心な努力とうんざりするほど豊富な音楽の知識が必要です。ほとんどの音楽愛好家には手の届かない夢です。巨大オーケストラでタクトを振るのはどのような気分なのでしょう?名演奏家たちがあなたの指示に従ってあなたの希望通りに演奏してくれるとしたら?一般人には、コンサートホールの最前列席で音楽を楽しむのが精一杯といったところでしょう。 そこに登場するのがテクノロジー。Aconica、WHITEvoid、Bertron Schwarz Freyによる、ベルリンをベースとするコラボレーションです。このトリオは、一般客がバーチャル・オーケストラの細部と一連部分をマニピュレートできる、インタラクティブなオーディオビジュアル・インスタレーションを開発しました。「エフェクトリウム」と名付けられたこの作品は、ライプチヒのメンデルスゾーン・バルトルディ博物館に展示されています。下のビデオでは、指揮棒とデジタル楽譜を使用して、指揮者と化した来場者が本物さながらのジェスチャーでメンデルスゾーンの作品を演奏するバーチャル・オーケストラを指揮する様子をご覧いただけます。 ライプチヒのメンデルスゾーン・バルトルディ博物館のエフェクトリウムの様子 それでは、一体どのように機能しているのでしょうか。背後では、2台のコンピューターからなるシステムが、Ethernetケーブルを介してOSCメッセージをやりとりしています。1台のコンピューターはモーショントラッキング(動作追跡)ソフトウェアLEAP Motion(物理的な動きを記録し、その情報をデジタル信号に変換)、およびタッチスクリーンと一連のカスタム・スピーカーを実行します。もう1台のコンピューターは、Liveを使用し、オーディオ・ファイルと一式のコンボリューション・リバーブプラグインを保管するのに加えて、指揮のテンポに合わせて作品をワープさせます。このコンピューターには、複雑なMax for Liveパッチも用意されており、すべてを同期させる役割を担っています。タッチスクリーンに触れるとOSCメッセージがこのMaxパッチに送信され、指揮者は楽譜上を自由に移動することができ、レイテンシーやジッターが生じません。 エフェクトリウムのタッチスクリーン・インターフェース LEAPソフトウェアは、指揮者のジェスチャーのスピードをとらえ、テンポをコントロールします。タッチスクリーンは、木管楽器、金管楽器、弦楽器、合唱部、パーカッションなどのボリューム、残響特性、楽譜上の演奏部分、さらにはチューニング(伝統的コンサートピッチの430hz、または現代のスタンダードとなっている443hz)に至るまで、さまざまな可変要素に対処します。 エフェクトリウムのモーショントラッキング(動作追跡)カメラのひとつ 指揮者は、アップライト・スピーカーに取り付けられたLEDライトの色合いや明るさを変更することで、インスタレーションの雰囲気もコントロールできます。さらに、各楽器セットはそれぞれ独自のスピーカーへと送られるため、聞き手は作品の各要素を個別に聴くことができます。 このプロジェクトについて詳しくは、Aconicaウェブサイトで読むことができます。またインスタレーションはライプチヒのメンデルスゾーン・バルトルディ博物館でご覧いただけます。

Surgeon: その瞬間につながるということ

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Surgeon: その瞬間につながるということ

「Surgeon」という名は、テクノ界においてかなりの重要性を持っています。Anthony Childがこのジャンルに残した決して消えることのない功績を考えれば、それも納得です。90年代初頭にバーミンガムのテクノの巣窟House Of Godのレジデントとして登場して以来、UK出身のこのプロデューサーは、Tresor、Blueprint、Downwardsといったレーベルからのリリースで、エレクトロニック・ミュージックの1ジャンルであったテクノが人気ジャンルへと成長するのに一役買いました。Childのスタイルは目を見張るほどの正確さとまごつくような難解さがぶつかり合い、内部に秘めたロジックに応じて、めくるめくリズムの狂乱や鳥肌もののテクスチャを導き出します。 Surgeonの最新アルバム「Breaking The Frame」からの抜粋をお聞きください。 発表作品によりエレクトロニック・ミュージック界の常連となったChildですが、感情露わで極めてディテールに凝ったクラブ・パフォーマンスでも有名です。Childはサウンド・ソース間の継ぎ目を曖昧にするという手法でまったく新しい何かを生み出し、押し寄せる情報に後れを取らないよう努める聞き手を夢中にさせます。 「人々をより内省的かつより対外的な状態にさせる手段は、僕にとって非常に重要だ」Childはこう説明します。「どのような手段であれ、使用するツールに慣れれば、パフォーマーは目立たない存在となり、ツールを用いて自分を表現することになると思うんだ」 単に便利性を向上させる手段(ステージでラップトップを操るパフォーマーにしばしば向けられる批判)としてではなく、クリエイティブな発展の可能性として理解し、DJイングとライブ・パフォーマンスにデジタル技術を早くから採り入れたChildにとって、ツールは核心的なトピックです。これらを念頭に置き、Abletonはパフォーマンスの観念についてChildと意見を交わし、自身が理想とするパフォーマーとしてステージに立つのに重要な役割を果たしているAbleton Liveと彼の関係について詳しく考察しました。 Paul Damage、Sir Realと共にHouse Of Godを立ち上げた初期、Childは、2デッキ・1ミキサーという従来のセットアップに自身の厳格なスタイルを可能なかぎり適合させ、同一レコードを2コピー使用してイントロを延長し、ダンスに突入するまでの緊張感をぎりぎりまで高めるといったテクニックを使用していました。その後、いつでも自由に操作可能なトラックの数が増えるという点に興味を引かれ、Final ScratchでデジタルDJイングの世界に試験的に足を踏み入れました。それは、バイナル伝統主義者たちの反発―テクノが「テクノロジー」にその起源を持つ音楽シーンであることを考えればいささか滑稽でもありますが―を無視する、強い意思を必要とする決断でした。 制作でAbleton Liveに慣れ親しんでいたChildは、当時まだ新しかったこのソフトウェアをパフォーマンスに使用し始めます。2003年、ChildはKarl ‘Regis’ O’ConnorとのコラボレーティブなプロジェクトBritish Murder Boysをスタートさせました。ステージでは、ChildがDJイングを、O’Connorがライブ・パフォーマンスを担当していました。あるとき、Extrema(オランダで開催されている新進の音楽フェスティバル)のプロモーターが大幅に時間が短縮されたスロットを彼らに割り当てたため、用意していたパフォーマンスができなくなり、困ったChildは、Ableton Liveで素材をセットにまとめ、叫び声を上げるオーディエンスの前でAbleton Liveを使用したステージングの公開練習を行うはめになったのです。 British Murder Boys – 「Learn Your Lesson」 「あのギグはふさわしいタイミングで起こったんだ」Childはこう話します。「あのときはDJイングに関するテクノロジーの可能性をいろいろと探っていた頃で、ちょうどクオリティとテクノロジーが実用に叶うものになってきた興味深い時期だった。とてもパーソナルな決断だったし、万人向けのDJソリューションでは決してなかったけれど、僕にはぴんとくるものがあったし、大きな可能性を感じた。音を扱う方法、そしてパフォーマンスでそれを組み立てる方法にね」 経験と勘が導いたステージでのLive使用の開始から、Childのセットの強烈さと個性は高まり、彼はDJイングにおける新たな展望の真の主導者として名声を博するようになりました。彼が進んでいた道の先行きはかなり不透明なものでしたが、それも魅力のひとつだったと言います。 「自分の(Liveの)使用方法は年を追って変化している。このソフトウェアは、フレキシブルで、DJイングに特化した造りになっていないところが好きなんだ。トラックの準備にはかなりの労力が要る。選択可能な他のオプションに比べるとかなり大変だ」 選択可能なオプションが多数存在するなか、Ableton Liveを選んだSurgeonのライブを体験した者に明らかになったのは、たとえ聞き慣れた名曲であっても、切り刻んで再編成することでまったく新しい作品となることでした。最も印象的だったのは、Childがプレイ中にカスタムで調整を加えていくことでした。 Surgeonの60分間にわたるBoiler Roomミックス 「ここはという瞬間になると、エディットだけをツールとして使用してその場に対応するんだ。ブレイクダウンをスキップしたり、トラックの別のパートにジャンプしたり、別の何かをレイヤーしたりね。その場で起こっていることに瞬時に反応するのが重要なんだ。(Abletonの)システムとツールは、そういった方法でインプロヴァイズする手段を与えてくれるような気がするよ」 Childがオンラインで公開している数々のセットを比較してみれば、彼が同じトリックを決して繰り返すことがないことに気付くでしょう。40ものトラックを1時間のうちにプレイするスタイル。数千に上ることもあるオーディエンスの前で自信を持って構築するにはかなりのトラック数です。「プレイする曲についてしっかり知っておく必要があるね。そうでないと、ぼろが出て、自分が予想していたのと違ったパワーの流れになってしまう。ワープ・マーカーをトラックに置いて、波形からは分からない変化が起こった時のためのキューにしておくことも多いよ」 Surgeon by Anne Claire de Breij 手持ちのトラックをツールとして使用することに加えて、Childは、Liveを使用する利点として、必要に応じて独自のリズムや拍子をミックスに追加できる点を挙げています。「別チャンネルでAbletonのDrum Machinesにパーカッション・サウンド用のMIDIシーケンスを走らせることができる柔軟性が気に入っているよ。トラックをプレイしていて少しパワーを上げたいなと思ったとき、別のトラックをミックスしなくてもパワーを上げることができてとても便利なんだ」 Childの型破りなアプローチには、独自の技術要件が要求されます。DJイングに特化したコントロール・サーフェスの意義についての質問で、この点について彼は次のように説明しています。「DJ用コントローラーとして販売されているコントローラーに気に入るものを見つけたためしがないんだ。販売目的は理解できるけど、僕には魅力的に感じられない。僕は、レコードDJの『2デッキ1ミキサー』セットアップを真似しようとしているわけじゃないからね」...

Mason Bates: Alternative Energy

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Mason Bates: Alternative Energy

ポップ・ミュージックを聴いて育ってきた者にとって、クラシックのカノンはパラレル・ワールドのように感じられるかもしれません。音楽そのものは疑う余地のない迫力を持っていても、それに付随する決まり事や儀式には馴染みがないからです。何百年にも渡る歴史、専門用語、それに時に威圧的な「ハイ・カルチャー」のオーラが、クラシックに触れてみたいという好奇心を持つリスナーやミュージシャンを遠ざけてしまいがち。特に、端からはかなり分裂し偏狭に見えるコンテンポラリー・クラシックの世界ではなおさらです。 幸いなことに現在は、これまで顕著だったハイ/ロー・カルチャーの二分化に固執することなく、知性と五感を同等に結びつける音楽を生み出すことを目指す何人かの若手作曲家が台頭してきています。こうした新しいタイプの中でもひときわ注目を集めているのがMason Bates。受賞歴を持つ、37歳のカリフォルニアを拠点にするこの作曲家は、テクノやエレクトロニクスへの深い造詣から導かれるサウンド、リズム、テクスチャー、そしてテクニックを頻繁に用いてオーケストラや室内楽作品に生かしています。 重要なのは、彼が取り入れるエレクトロニックな要素は、安易にオーケストラを「近代化」させるための安っぽい装飾ではなく、必ず生楽器との音楽的な相互作用において意味を持つものであるということです。さらに、彼のワイルドで想像力豊かなリソースの利用方法は、それだけで完結することなく、常にもっと大きな全体の力強く明確な物語を構成する要素であるということです。この点において、Batesの音楽はBeethovenから続く音楽の進歩を受け継ぐものであり、彼はそのBeethovenと共に栄誉あるサンフランシスコ交響楽団の主軸作曲家に選ばれました。 私たちは、一年間に渡って開催された「Beethoven and Bates」フェスティバル期間中にBatesと会い、彼のエネルギーのシンフォニー、オーケストラにおけるエレクトロニクス、がらくたのパーカッション、そしてDJと指揮者の共通点について話しました。 あなたの音楽は、よく実在する場所や人、出来事に触れています。あなたの非音楽的な影響について教えて下さい。 面白いことに、かつて私は英文学を専攻していて、魔術的リアリズムやメタフィクション、あるいはポスト・モダン・フィクションが自分の音楽に直接的なインパクトを与えるとは思っていませんでした。 私はただ、それらが読書の対象として面白いものであり、自分のいい教養になるだろうとだけ考えていたのです。 作家になろうという野心を持っていたのですか? ええ、 その時点では持っていたと思います。言葉を書くことは好きでしたから。作曲をするのと同じくらいやりがいのあることだと思います。でも最終的には、自分には向いていなかった。私にはそれほど貢献出来る分野ではありませんでした。例えば「Alternative Energy」は、エネルギーの歴史における様々な通過点を訪れていく作品ですが、これはDavid Mitchellの著書で映画化もされた『クラウド・アトラス』を読んだ結果として生まれたものです。 Mason Batesによる「Alternative Energy」のリハーサルの様子 でも、何百年か前の時代にさかのぼることはインスピレーションに繋がるようです。ご存知かもしれませんが、19世紀にはBerliozの『幻想的交響曲』のような、とてもワイルドな物語を伝える巨大な標題音楽が存在していました。私は、これを21世紀の言語を使って実践することにとても刺激的を感じています。ですから、文学が一番の非音楽的影響ですね。 実際にあなたが使用しているサウンドに関してですが、 集めてきたがらくたで作ったパーカッション・セットを、「Alternative Energy」の一部で使用していますよね? はい、その通りです。私は第一楽章をHenry Fordの牧場で、誰かが自動車を組み立てているという設定にしたかったのです。ですから、私はシカゴ交響楽団のパーカッショニストと共に廃品置き場に行き、色んながらくたを拾ってきました。でもこのようなやり方は既に音楽史の中では何度も実践されており、Einsturzende Neubautenもそうですし、George Gershwinは実際の車のクラクションを使っています。ですから、生演奏でもパーカッション楽器で出来ることはいろいろあります。私の「The B Sides」という作品がありますが、その中ではほうき、オイル・ドラム、タイプライターを使用しました。私にとっては、単にそのサウンドだけでなく、パーカッション・アンサンブルに少し演劇的要素を加えることでもあります。 デトロイト交響楽団による「The B Sides」の演奏で自らエレクトロニクスを演奏するMason Bates これはミュジーク・コンクレートの、身の回りのものの音を使用するという考えを思い出させます。このムーブメントに共感することころはありますか? はい、それは間違いなく考えましたし、何かの音を録音する際にその物にも意味を持たせる手法は興味深いです。Matmosの『 A Chance To Cut Is A Chance To Cure』においても、全て外科手術の音で作られていると知ると、聴こえ方が全然変わりますから。 あなたは指揮者を介して オーケストラと仕事をしているわけですが、作曲者から指揮者へと仕事を引き継ぐ、明確な分業の境界線はあるのでしょうか?それとも、コラボレーション的な要素もありますか? それも面白い点です。今でもなお、私は指揮者とオーケストラの化学反応を理解するのに苦労しているんですが、少なくとも明らかなのはそれが100%結果を左右するということ。 指揮というのは、DJに似ているんだと思います。技術的には違いますが、認識のされ方という点においてです。ほとんどの人は、何も知らずに誰かがヘッドフォンをしてレコードを回しているところを見たら、DJをとてもシンプルなものだと考えるでしょう。そもそもなぜそこにいるのか?一体何をしているのか?それと同じように、私でさえも過去に「指揮者というのは一体何をやっているんだ?ただ手を振り回しているだけじゃないのか?」と思たことがありますが、そういう人は多いのです。 私の音楽とエレクトロニクス、それと指揮者との関係は少し特殊で、それは過去に私の作品を演奏したことがない限りは、誰にとっても新しい 体験だからです。ですから、私にとってもいつも特別な体験です。 オーケストラというのは外洋船のようなもので、いきなり急旋回することは出来ません。そこに座って聴いていると、みんなが演奏に固定されていて、それが少しずつ方向転換していくような瞬間があるんですが、とても不思議なものです。...