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ジェームス・ホールデン:モジュラー・マインド

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ジェームス・ホールデン:モジュラー・マインド

モジュラーについて語るのに、ジェームス・ホールデン(James Holden)より最適な人物はいないでしょう。Max for Liveとモジュラー・システムは彼の音楽に欠かすことのできない部分ですが、その一方で、彼はマシンに潜むオーガニックさや人間味を強調することも欠かしません。ジェームスは、モジュラーを持ち出し、慌ただしいツアー・スケジュールの中、扱いの難しいモジュール群を使用することを厭わない数少ないアーティストのひとりです。さらには、微妙に揺れるミュージシャンのテンポにモジュラーが反応するようにする独自のソフトウェアを開発しています。モジュラーを選択しプラグインを捨てること、Max for Liveでモジュラーをコントロールすること、彼の新作パッチGroup Humanizerについての計画について、ジェームスに話を聞きました。モジュラーをツアーに持ち出すのはどのような感じですか?飛行機に乗るときは、手荷物として預けるのが恐ろしくて。というと、手荷物として持ち運びを?毎回、保安検査機にかけるんですよ…。ある意味、爆弾を持ち運んでいるようなものですよね。精密機器ですから。それに、少しだけサイズがオーバーなんです。他にも、付属品、サウンドカード、コントローラーも持ち運ばなければいけない。ペリカン製のケースに入れて、手荷物として持ち歩いています。一番の問題は持ち運びですね。でも、ステージではモジュラーはすばらしい。だんだん、どのモジュールが特に安定性に優れているのか分かるようになってきました。あるステージでMIDIインターフェースが何度か不具合を起こしたことがあって、より信頼性に優れ、湿度や熱や寒さに強い別の機材と取り替えました。そもそも、モジュラー・シンセシスにご興味をもたれたきっかけは?もう何年も前、大学性の頃、音楽制作の方法を模索し始めたときに、インターネットに初めて触れ、音楽制作に関するサイトを片っ端から読み始めました。1990年代終わりのあの頃はモジュラー・シーンが一部存在していて、「面白そうだな」とは思っていましたが、自分にはまだまだ手が出せないものでした。学生には高嶺の花で、今よりもずっと高価でした。ただ、その頃初めて使用し始めたBuzzというソフトウェアは、モジュラー・デザインを採用していました。フラットなページにモジュールをドロップしてつないでいく方式です。機能には限界がありましたが、ハッカーたちがクロス・モジュレーションなどを使ったモジュラー・アイデアを試す方法を見つけていました。なので、モジュールは当時から私の音楽制作プロセスの一部でした。Buzzですべてを覚えたといってもいいでしょう。その後、Max MSPなどを使用するようになって、キーボードを何台か購入しました。プラグインは退屈だと思いました。当時、コンピューターで作成した音楽にリアリティを加えるため手を尽くしていました。1枚目のアルバムのことを振り返ってみても、あれは地獄でした。タイム・ウォブルやピッチ・ウォブルを再録して追加し、リアルで生き生きとしたサウンドへと変えていく作業なのですが、コンピューターを多用しなければこれをしなくて済むと身をもって学びました。アナログ・マシンには自然と生まれる要素ですから。最初のモジュラー購入を決めたきっかけは何だったのか、思い出せません。それを決めたのかどうかも覚えていないんです。初期に購入したマシンはあまり良いものではありませんでした。DoepferとMake Noiseを購入してからというものの、それらは使用したことがありません。やっとマイ・マシンが見つかったと思いましたね。これまでやって来たことの点と点がつながったような気がしました。 音楽制作の方法はどのように変化しましたか?ラック使用前と使用後で違いを見分けることはできましたか?使い始めて、自分なりの使用方法を見つけるまでには、しばらく時間がかかりました。もちろん大きな違いがありました。今は、前よりもすべてのサウンドにずっと満足しています。それに、ラックを使用して書いた初めての作品は『Triangle Folds』というトラックだったのですが、このトラック用に、ポリフォニック・ボイス・ルーティングを扱ってモジュラー内にポリシンセを構築するMaxパッチを作成しました。ポリシンセの仕組みについていろいろといじり回すのは最高に楽しいことでした。かなり早い段階で、自分にとってモノシンセはそれほど興味深いものではないと分かりました。キーボードを演奏すると、必ず片手が完全に鍵盤にとられます。そのトラックは、ポリシンセを作成していろいろと触らなければ生まれなかったでしょう。マシンを構築してルールを設定するとき、そのルールの枠内でどのようにプレイするのか、どの音を加えるのか、どのようにフィルターを調整するのかが面白いのですが、それがプラグインにはないのです。それに、コントロールを握っているのは自分だと感じます。気の利いたことのできるプラグインがあれば、「これをやるわけにはいかないな。他にたくさんの人がやってるなら、意味がない」と思うのです。誰かの作品でデモ・パッチのプリセットやプラグインを耳にすることがよくあるけれど、あれを聞くと、そのアーティストは私にとって死んだも同然です。二度とそのアーティストの作品を聞くことはないでしょう。退屈すぎます。技術の習得はいかがでしたか?モジュラーに関する専門知識を学んで自由自在に駆使できるようになるまでどのくらいかかりましたか?私の場合はけっこうスムーズでした。Max MSPとBuzzの知識があったので、理解しやすかったのもあります。2年かそこらでパッチをだいたい理解して、モジュールも尽きてきました。自分には手に負えないような複雑なものを構築することもできたのですが、そんなことも起こりませんでした。それに、Max MSPの腕が上がったこともあって、Max for Liveとモジュラーのハイブリッドを作るべきだと感じたのです。コンピューターにもコンピューターなりの利点があって、モジュラーにもモジュラーの良さがありますから。私の線引きはそこです。ルーク・アボットはモジュラーのシーケンシングをよくやっていて、モジュラーでリズム・パターンを生成しています。彼は4MSシャッフル・クロック乗算器が気に入っていて、これを構築するよう言われたのですが、このパッチを使うと必ずすべてのケーブルをシステムから抜いてギブアップする羽目になります。私にはどうしてもダメですね。コンピューター内かMaxでタイミング情報を作成して、シーケンシングのタスクすべてをコンピューターで行うのが、自分には一番上手くいくようです。今はパラメトリック・シーケンシングに凝っています。コンピューターでうまく機能しますが、すばやくことを終わらせて満足のいく結果を出すための仕組みを学ぶ必要がありました。Max for Liveで構築したツールキットを持っていますが、それがだいたいすべてのことをやってくれます。すべてをひとつのシステムとしてとらえているんです。システムについて理解することは、迅速な操作と結果を出すことにつながり、さらには『The Inheritors』の変わったシーケンスやクロス・モジュレーションへとつながりました。すべてはあっという間でした。1時間ほどシステムを触っていれば、それがうまくいくかどうかが分かります。 The Inheritorsをライブ演奏するジェームス・ホールデン(2013年) ここ数年、モジュラー市場が再び復活の兆しを見せていますが、好奇心をそそられた人々にとって、モジュラーに取りかかることは経済的にも知識的にもまだまだ容易ではありません。こういった人々にとってのエントリー・ポイントについてどうお考えですか?Buzzがまた盛り上がっているのは知っていますが、人にすすめるかといわれると分かりません。ルークはReaktorを使用しています。私はあまり詳しくありませんが、モジュラーの世界へと第一歩を踏み出すにはよさそうなツールです。断言はできませんが。人によって取りかかり方は異なります。たとえエフェクト・ペダル数台とコルグのVolca1台だけでもモジュラーのようなことができないわけではないですし、周波数変調やフィルターなどのようにいろいろとつなげてみてどうなるか試行錯誤し欲しいサウンドを引き出す方法を徐々に学んでいくという考えが大切だと思います。そこに至るまでの間は、いろいろと試してみるしかありません。モジュラー・シンセを扱うことで得られる価値というのは、この世界に踏み入るのに要求される熱心さから生まれるものなのかもしれませんね。そうです。今、スタジオにはキーボードが数台ありますが、今のスタジオに引っ越してからこれまで接続したことがありません。モジュラーとMax for Liveしか必要ないからなんです。使用しているのはこれだけなんです。極めて自由な制約のないインストゥルメントではありますが、コンピューターに比べれば自由度はぐっと下がります。のめりこんでいるはこのインストゥルメントひとつだけです。モジュラーのワークフローが気に入っている理由について、意見をお聞かせいただけますか?システム自体についてだけでなく、作曲や音楽の構成とアレンジの方法一般についての考え方についてお話しいただければと思うのですが。そうですね。どうしてもライブでの作業が多くなります。モジュラーを自動化するのは不可能ですから。できないわけではありませんが、やろうとすれば時間を無駄にするだけです。Expert Sleepersを使用したり、これのMax版を独自に作成したりもしています。それでもやはり自動化はよくないので、ライブ・テイクで行って録音するしかありません。私にとって、これがモジュラー導入による一番の大きな変化だったと思います。それまでは、MIDIコントローラーでオートメーションを記録し、細かな修正を加えたいという気持ちを抱えてうずうずするのが落ちでした。音楽とはライブ・パフォーマンスであると、私は強く信じています。いかにデザインされているか、処理がなされているか、思索がなされているかにはほとんど興味がありません。私が好きなミュージシャンは、アドリブ演奏が得意なアーティストばかりです。そしてモジュラーは、まさに私をその方向へと突き動かす原動力です。これは同時にとりとめもない即興演奏的な音楽や非常に平坦な構成のループベースの音楽に向かわせることにもなるので、ちょっとしたトレードオフではありますが。必ずしもギターのようなアレンジになるわけではありません。うまくバランスを取ることを学ぶのが大切です。スタジオに戻るにあたって、モジュラーを使用して単に音量が上下するトラックではなくしっかりとした構成のある楽曲を作る方法を模索したいと思っています。あなたにとってのモジュラーの魅力は、自分の癖やパターンに陥るのを防ぎ、ワークフローを発展させ続けてくれる能力にあると思いますか?はい、といいたいところですが、私は傾向やパターンに従う方だと思います。でも、そのパターンに満足しているのでは?パターンにそれなりの意味があると思うからです。かなり自由に変更可能だし、他の要素を取り込むこともできます。モジュラー・サウンドはライブ楽器ともうまく調和するんです。デジタルではそう簡単にはいかない。一緒にするとしっくりこないんです。モジュラーにハイハットを重ねると上手くいく。基本的に、何かを作るときは、ポリシンセを構築してから適当に配線していきます。これが私のパターンなのですが、毎回まったく違った方向に進んでいくんです。今のところはまだたくさんの引き出しがありそうです。ライブ・ミュージシャンとの演奏はいかがですか?テンポは一定ですか?それとも、より自由なスタイルで、変化するバンドのテンポにモジュラーを合わせるといった感じでしょうか?今は、AbletonとたくさんのMax for Liveデバイスでモジュラーを動かしています。最終的には、今おっしゃったようなことをやりたいなと思っています。コンピューターとシンセはドラマーに追従が可能なので、「Group Humanizer」と名付けたMax for Liveパッチ・セットを開発しています。技術的な話になりますが、あるミュージシャンの間違いが、これまでにこのミュージシャンが行った間違いだけでなく、他のミュージシャンが行った間違いとも相関するようになります。つまり、すべてのチャンネルがヒューマナイズされ、チャンネル同士に相関関係が生まれます。たとえば、ドラムマシンがシンセに相関し、シンセ内のエラーがドラムマシンに反映されるようになるのです。これをステージで使用したことはまだありません。エキサイティングな機能ですが、ステージで披露するにはもう少し信頼性を高めなければなりません。大規模なライブでベータ・テストを行う訳にはいきませんから。 Abletonは今後Group Humanizerについてジェームスに話を聞く予定です。ジェームス・ホールデンについて詳しくは、ウェブサイト、Facebookページ、Soundcloudをご覧ください。

Baauerのドキュメンタリー『Searching for Sound』ビデオ、サンプルPackの無償ダウンロード

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Baauerのドキュメンタリー『Searching for Sound』ビデオ、サンプルPackの無償ダウンロード

音楽には数千年の歴史があります。世界各国のサウンド、楽器、文化はますますその多様性を高めていますが、とはいえ既知の事柄に忠実になる傾向があります。習慣から抜け出し先を見据えたいなら、こう考えてみるのはいかがでしょう。この世界は、あなたの視点を変え、クリエイティブな視野を広げるであろうサウンドであふれているのです。バウアー(Baauer)が新アルバム制作のインスピレーションとなるフレッシュなサウンドを探して世界を巡る冒険を始めたのは、このような考えによるものです。『ハーレム・シェイク』現象をきっかけに新たな方向性を模索しはじめたハリー・ロドリゲスことバウアーは、制作パートナーのニック・フックと共に、ドバイの砂漠から日本の火山へと各国を旅し、ひねりの効いたサウンドと古代から続く伝統音楽を録音し、これらの素材を加工してスタジオで使用しました。うれしいことに、彼らはサンプルのフル・セットを提供してくれました。サウンドのビジョンを広げてくれるこれらのサウンドは、あなたのパレットに新たな印象を加えることでしょう。このサンプル・パックの魅力は、その制作をめぐる物語の魅力そのものでもあります。下では、26分にわたるバウアーのサウンド・トラベルに関するドキュメンタリーをご覧いただけます。Abletonのインタビューでは、レコーディング、サウンド加工の手法、サウンド・パック公開を決めた理由についてバウアーが語っています。また、パックのダウンロード・リンクも記載しています。このアイデアはどのようにスタートしたのですか?なかなか大規模なプロジェクトのように思えますが。新しいアイデアだな、といった感じで、単なる思いつきでした。正確にいつだったかは思い出せないのですが、ただはっきりしていたのは、自分でレコ―ディングして、最高に珍しくてクレイジーなサウンドを取り込んで、究極のサンプル・パックを構築することができるプロジェクトがしたいということでした。アイデアはここから始まりました。その後Red Bullとタイアップし、そこからはすべて自然に形になっていきました。 撮影: Balazs Gardi / Red Bull Content Pool. プロジェクトに取りかかる前から西洋文化圏以外の音楽をよくお聴きになっていたのですか?その通りです。インスピレーションを得たり、少し変わったサウンドを聞いて別の視点を得るためにかなりの音楽を聴いていました。たとえば少し前から日本の雅楽を聴いていますが、それはこれが非常にクールで異なった音楽で、まったく新しい音楽的視点を与えてくれるからです。地球の裏側まで飛んでいき、他国の音楽事情に飛び込むという体験はどのようなものでしたか?会ったことのないミュージシャンに面と向かうのに気後れはありませんでしたか?実際のところ、とてもすばらしい体験でした。私たちが求めていたのは、それぞれの物語を語ってもらい、音楽を演奏してもらうことだけでした。皆、喜んで行ってくれましたよ。彼らは、自分たちの音楽を分かち合えることをとても喜んでいました。だから、常にとてもいいヴァイヴが生まれていました。私たちは知らない国からやって来たよそ者でしたが、それでも彼らは喜んで彼らの伝統を披露してくれました。 ドキュメンタリー『Baauer: Searching for Sound』を観る こうして集めたサウンドをどのように使用しましたか?ラクダのうなり声やハヤブサの羽ばたきの音はかなり抽象的なサウンドですが、どのようにしてこれらをクリエイティブなプロセスへと組み込んでいったのですか?これらのサウンドは完全に変形させてトランスポーズしています。全く違ったものへと変化させています。新しいサウンドを使用して、あるものを全く別の何かに変化させることができるというのはすばらしいです。フルートの演奏をパーカッション要素に変化させたりしています。2回の旅で生まれたかなりの数のサンプルを使用していますが、そのほとんどは全く新しい別の何かになっています。Ableton Liveに搭載のツールで、これらのサウンド加工に使用されているものはありますか?トランスポーズ、Complex Pro、それにあらゆる種類のワープ機能を使用するのが好きです。ワープのアルゴリズムはそれぞれオーディオに異なるサウンドをもたらしてくれるので、多用しています。また、クリップ内でトランスポーズにオートメーションを設定して変化を加えるのも気に入っています。新しい音楽環境にさらされる体験は、ご自身の音楽に対する見方に変化を与えましたか?ええ、もちろん。何よりも、自分のプロセスについて考え直すきっかけになりました。インターネットから何かを取り出すのではなく、外に出て実際の生活空間にある音を録音することは、私の音楽制作の方法を大きく変えました。さまざまなコンテキストから生まれたサウンドを使用することについての先入観が消えました。素材を活用して全く新しい何かにしてしまうことができるようになりました。 AlunaGeorge & Rae Sremmurdをフィーチャーしたバウアーの最新作品 このプロジェクトは、人々をサウンド自体に夢中にさせているようにも思えます。オーディオについてのあなたの考え方が再び活性化されたという側面はありますか?ある種の縛りを設定したり、使用するものを一定に制限した状態で作業をするのはよいことだと思いますが、どんなときでも、新しい素材を手に入れることができるのはいいものです。画家が新しい色の絵の具を手に入れるようなものです。世界にはまだまだ使用できる素材がたくさんあります。外へ出て、ふれあえばいいのです。 撮影: Balazs Gardi / Red Bull Content Pool. このような旅を経験した後、再びスタジオに閉じ込められた状態にうまく慣れることはできましたか?アルバムの制作状況についても聞かせてください。こまごましたものがたくさんあります。これをひとつに組み合わせて、まとまりのある形にすることが当面の大きな課題です。今はその作業中です。サンプルを無償ダウンロードとして提供することについてはどうお考えですか?自分の作品を公開するといった気分でしょうか、それとも、これが素材として活用されてどのような作品が生まれてくるのかが楽しみという感じでしょうか?皆がどんなことをするのか楽しみです!私が録音したこれらのサウンドが世に放たれ、それに皆が反応する。考えただけでワクワクします。これらのサウンドを使って生まれた作品に出会う日が待ち遠しいですね。私にとっても大きな刺激になることでしょう。 サンプル・パックをダウンロードしたら、ぜひ出来上がった作品を公開してください。その際は、ハッシュタグ #MadeWithLive をお忘れなく。このプロジェクトについて詳しくは、『Searching for Sound』ウェブサイトをご覧ください。

インプット/アウトプット:グレン・コッチ&クロノス・クァルテット

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インプット/アウトプット:グレン・コッチ&クロノス・クァルテット

シカゴを拠点とするパーカッショニストであり作曲家のグレン・コッチは、現代の音楽シーンにおいて最もエキサイティングで創造力豊かな期待のコンポーザーおよびパフォーマーのひとりとの呼び名も高く、シカゴ・トリビューン紙は「間違いのないテイスト、テクニック、自制」と注目すべきアーティストとして選出していますウィルコのドラマーとして多忙なスケジュールの中、自身の2枚目のソロ・アルバム『Adventureland』をCanteloupe Recordsからリリースしました。これは、数々の賞に輝く弦楽合奏団クロノス・クァルテットとのコラボレーション作品です。クロノス・クァルテットは、ザ・ナショナルからアレン・ギンスバーグまで、これまでに多数のアーティストとのコラボレーションを行ってきており、ヘンリク・グレツキやスティーヴ・ライヒなどの有名作曲家により何百という作品の提供を受けてきました。コッチは、クロノス・クァルテットとのコラボレーション作品『Anomaly』の7チャンネルすべてをAbleton Liveセットとして音楽プロジェクト共有およびコラボレーション用のオンライン・プラットフォームblend.io上で公開しています。『Anomaly』のステムは、Ableton認定トレーナーJosh Hoganにより、ワープし同期する再生可能なセッションへと編曲されています。先日、コッチはHoganと会い、『Anomaly』プロジェクトについて意見を交わしました。共に、弦楽器を扱うという課題を紐解き、複雑なポリリズムを構築するためのヒントを提供し、「世界をリードする弦楽合奏団による完全無欠の録音ファイルを無償提供する意義」という問題提起を行っています。『Anomaly』の弦楽の作曲に非常に「パーカッショニスト」的なアプローチをとったという記事を読みましたが、パーカッションがリズムとテクスチャにつながっていることは明らかです。ハーモニーと調性にどのようなアプローチをとったのかお話しいただけますか?ドラムセットを使って作曲することが多いので、型、リズム、作品の全体的な構造はそこで形作られます。その後、この骨組みを、ピッチやハーモニー、より伝統的な音楽的要素で埋めていきます。これはいつも偶然始まるのですが、キットにつないだカリンバのチューニングから始めたり、ビブラフォン、チェレスタ、ピアノでいくつかリズムを弾いてみたりして、試行錯誤して一番しっくりくる調性をあぶり出す感じです。このキーとこのハーモニーで行こう、と作曲を開始する時点で決めていることはほとんどありません。たとえば、『Anomaly Mvt. 2』では、当初のピッチは作曲に使用していたドラムのチューニングをベースにしていたのだったと思います。 グレン・コッチ『Anomaly Mvt. 2』 パーカッションと弦楽器の関係が逆に作用したということはありましたか?弦楽器の音楽性がパーカッションの演奏に影響を与えたということは?ありましたね。ドラムのチューニング、使用した機材、サウンドの選択はすべて弦楽器の音色に影響を受けています。ドラムにダンピングを多用して、オープンになりすぎないようにして上音を抑えて弦楽器パートの邪魔をしないよう、またピチカートパートとうまくブレンドするようにしています。いくつかのセクションでは、スティックでなくマレットを使用しました。これも、弦楽器の音量の制約に合わせてのものです。シンバルを多用しないようにしましたが、これもサウンドのコントロールを保つための手段です。スネアをオフにして、スネアが突出しすぎないようにしました。これらは、弦楽合奏団と一緒にドラムを演奏する際に考慮すべきたくさんの事柄のごくわずかに過ぎません。 クリエイティブな使用を望むAbleton Liveユーザー向けに『Anomaly』をblend.ioに公開していますね。どのような使用を期待されていますか?『Anomaly』のステムをblend.ioからダウンロード理想としては、私が想像しないようなことをして欲しいですね!これは油断していたな、といったような、音楽に新たな光を当てるような何かだといいですね。「考えもつかなかった!」と言えるようなもの、新しいクリエイティブな扉を開いてくれるものを期待します。『Anomaly』にはクールなアナログ・サウンドが使用されています。第1楽章と第3楽章で聞くことのできるエレクトロ・グリッチ・サウンドはどうやって作成したのですか?こういったアナログ・サウンドにはパーカッション楽器のようなアプローチをとっているのですか?そうですね。『Mvt. 3』のあのサウンドにどうやってたどり着いたのかはっきりとは覚えていませんが、外界で録音したサウンド、または音素材をエフェクト・ペダルやプロセッサーに通すことで作成したサウンド、あるいはドラム・ブレイン・コントローラーで微調整したカスタマイズしたサウンドを使用すると思います。面白い静かなサウンドにコンタクト・マイクを使用するだけでも、エレクトロニックに匹敵するほどの大音量のインストゥルメントを呼び起こすことができます。小さなアコースティック・サウンドを、音の拡大鏡でのぞき込むような感じです。たとえば『Mvt. 1』は、私が作曲に使用しているソフトウェア(Sibelius)で作成したストックのサウンドを使用する方が、ドラムや弦楽器を使用するよりも魅力的なサウンドに聞こえました。 しかしそれでも、アコースティック、エレクトロアコースティック、エレクトロニックであるかどうかに関係なく、キットやセットにまとめられた数々のサウンドや音色というものを考えました。これがドラムセットの中核となるものです。 コッチのLiveセットのオーガナイズ方法を説明したJosh Hoganによるビデオ・チュートリアル 一緒に演奏されるさまざまなレイヤーやパートを使用することでビッグな「マクロ」・ビート・サウンドを作成し、パーカッションのパートにオーケストラ的なアプローチをとっているようにも思えますが、こういったサウンドの作成へのアプローチについてお話しいただけますか?『Anomaly』の一部が「ビッグ」に感じたので、インストゥルメンタルのテクスチャのレイヤーをレコーディング用にいくつか追加することにしました。ライブ・バージョン用には無理なので。好例が『Mvt. 2』で、拍手、ピアノ、クロタレス、マリンバ、タンバリンにレイヤーを重ねてセクションをよりビッグにしています。これらのサウンドの作成については、録音とミックスを担当したPat Burnsに因るところが大きいです。自分の作品ではほぼ毎回Patと仕事をしていて、これまで一緒にやってきたのと、感性が似ていることから、音響的な判断は彼を信頼して一任しています。適切な楽器とマレットを選択し、上手く演奏できていれば、彼がすばらしいサウンドにしてくれます。 『Anomaly』には入り組んだ交差するポリリズムがたくさん含まれています。これらは世界各国のさまざまなパーカッション様式で使用されている非常にクラシックなリズムであり、スティーヴ・ライヒといったアメリカのミニマル・ミュージックの歴史に大きな存在感を与えています。これらのリズムの使用について少しお話しいただけますか?そうですね。ライヒは、アフリカ音楽とバリ島音楽の両方を研究しましたが、これらの音楽は彼の初期作品に強い影響を与えています。私も世界各国のパーカッション様式を研究しましたが、必然的にできる限りあいまいな要素を残しておくことを好みます。いろんな拍や鼓動で作品を感じることができるのが好きです。それはまるで、自分の解釈に応じて画像が自分に向かって浮き出てきたり遠ざかったりする錯覚やオプアートのようなものです。リズムや拍が一気にいくつかの方向に向かうような作曲を試みることもよくあります。こういった交差するリズムを探求したいビートメイカーに対してアドバイスはありますか?8、12、16に分割する方法はたくさんあるということを体得することです。これらは、西洋音楽で使用されている一般的な分割の数です。たとえば、8は4+4、2+2+2+2、3+3+2、2+3+3、3+2+3、4+3+1などに分割できます。さまざまな組み合わせとグループ分けの順序を試してから、自分の手であるリズムを、足で別のリズムをとってみて、リズムを交差させてみるのです。こうすることで、結果として音楽に流れが生まれ、シンコペーションが生じるのが好きです。 独自のビジョンに合わせてコッチのレコーディング作品に手を加えることのできる機会です。高品質の弦楽器サンプル・ライブラリは高価なものが多く、精緻にキャプチャされたステムをライブラリに加えることのできるチャンスでもあります。グレン・コッチをうならせる新しい作品が誕生したら、ぜひAbletonにご一報ください。その際は、ハッシュタグ #MadeWithLive をお忘れなく。

インプット/アウトプット: Second Storey

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インプット/アウトプット: Second Storey

シリーズ「インプット/アウトプット」では、Abletonコミュニティに属するプロデューサーのスタジオを訪ね、彼らの制作プロセスに取り入れられるインスピレーション、テクニック、技術と、そこから生まれる最新の音楽作品に光を当てていきます。 Second Storeyは、ロンドンを拠点に活動するプロデューサーでこれまでAl Tourettesとして活動していたAlec Storeyの新名義です。FabricのサブレーベルHoundstoothからの新作『Double Divide』は、Storeyを取り囲むジャンルと、才能とディテールへのこだわりが垣間見える作品です。個性の強いこのLPは、独創的なサウンド・デザイン、直感的な構成、衝撃的な音装飾が特徴的です。Storeyは、この記事をお読みの皆さんもお持ちであろうツールと手法を使用してこれを実現しています。ワークフロー、トラックの全体像を見失わないようにする方法、超高温の金属が面白いサウンドを生み出す様子について、彼に話を聞きました。 In our series Input/Output, we pull up a chair in the studios of producers from the Ableton Community, inviting them to shed light on the inspirations, techniques and technologies that feed into their production process, and the latest music to come out of it....

Jason Spanu: 経験が放つ輝き

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Jason Spanu: 経験が放つ輝き

Jason Spanuと彼のスタジオ(写真:Christopher Drost) ミュージシャンとして20年を超えるキャリアを持つ認定トレーナーJason Spanuは、ソロ・ミュージシャン、DJ、バンドのメンバー、ネリー・ファータドやドレイクなどのテクニカル・ディレクターなど、数多くの役割を果たしてきました。バンドとの映画用サウンドトラック制作やPushを使用した新しい基盤の構築など、現在進行中のプロジェクトで忙しいJasonを訪ね、旅先でのエピソード、Live使用のヒント、Liveを使用したDJイングに対する彼独自のアプローチについて話を聞きました。 『Getting Serious』 ― DJ Shine aka Jason Spanu より大規模なバンド形態の場合、Ableton Liveを使用するあなたの役割は何ですか?一般的に、バンドの規模が大きくなるほど、ライブにプロダクションが関わる度合いが増えるので、私の役割も拡大することが多いです。多数のオーディオ・トラックとMIDIトラックを含む巨大なショー・ファイルのプログラミングと編集を担当していますが、これは別個のスタジオ・トラックを混ぜ合わせたものと追加素材の再生を容易にし、ライブに付加制作価値を与えます。シンプルに答えるとすれば、バンドと一緒にオーディオ・ファイルをプレイするのにAbleton Liveを使用しています。私の役割は、「データ・ライブラリアン」や「リミキサー・コンサルタント」といったところでしょうか。アーティスト/バンドと彼らのニーズ次第です。スペースバーを押してソングをスタートする以外何もすることがない場合もあれば、超巨大なマッシュアップの作成やビデオ・コンテンツの同期などを任される場合もあります。アーミーナイフのデジタル版のような役割です。ご自身のバンドAutomated GardensでのAbleton Liveを使用するあなたの役割は?Automated Gardensは、Keram Maliki Sanchez、Joshua Joudrie、そして私から構成されるトリオです。90年代にはもっとアクティブに活動していましたが、クリエイティブなつながりは維持してきました。最近では、映画『Ecstasy』用の素材を作曲しました。今は新アルバムを制作中で、開始から1年半ほどになります。メンバーは皆Liveユーザーです。それぞれいろんな場所に住んでいるので1カ月間一緒に作曲するということは無理なので、ひんぱんにファイルをやりとりしています。だいたい、私が曲を作り始めて、それをロサンゼルスのKeramに送って意見を聞きます。Joshがミキシングする前に、何度もファイルのやりとりを行います。 アーヴィン・ウェルシュの『Ecstasy』劇場予告版。Automated Gardensの音楽が使用されている ソロ・アーティストとして、またドレイク、フランク・オーシャン、ネリー・ファータドなどとの大型ツアーにも参加していますが、Ableton Liveのそれぞれのシチュエーションへの適応度についてはどのようにお考えですか?大規模なツアーでLiveを使用する一番の理由は安定性でしょう。安定性と柔軟性、特に、音楽的な変化にスムーズに順応するという点です。コンピューターをステージに上げて再生ボタンを押し、それに合わせてバンドに演奏させるというやり方もありますが、マイクの故障、メンバーがパートを忘れてしまった、バンドがあるセクションをループしないといけなくなったなど、ステージに大惨事をもたらしかねない予期しない状況が起こることもあります。Ableton Liveは従来のタイムライン・アプローチから離れた自由な操作が可能です。ですから、ほとんどの場合、私がある種のオーディオのセーフティ・ネットの役割を果たしています。 ネリー・ファータドのツアーでは、バンド・メンバーとしてステージでより積極的な役割を担っています。彼女のプレイバック・ファイルをループ、微調整、加工したり、ショーにシンセやサンプル要素を追加したりもします。MIDI配信システムが用意されていて、ステージ上の他のすべてのシンセにプログラムチェンジを送信し、同期が役立つギター・ペダルや他のエフェクトにMIDIタイムコードを供給します。また、ショーの照明とビジュアルの統合用に、各ソングではSMTPEタイムコードをビデオ・サーバーに送信しています。 フランク・オーシャンのライブでのJason Spanuのセットアップ(写真:Christopher Drost) 自分のパフォーマンスでは、Abletonの使用にまったく異なるアプローチをとっていて、コンピューターの処理能力の限界に挑戦するほどの非常に精巧なセッションを構築します。単に安全でシンプルなセットアップを用意するより、クリエイティブな柔軟性をできるだけ手元に残しておきたいのです。2台のラップトップ、2台のPush、2台のiPadを各ステーションに置いた全く同一のシステム2基を使用して演奏することもよくあります。こうすることで、ライブを「DJ」することができます。ワンマシンでも全ての操作を行うことは多分可能だと分かってはいるのですが、こうすることで、1台のコンピューターを巨大なライブ・セットのすべての曲を置くといった1つのタスクに専念させ、もう1台のコンピューターをより自発的なジャミング・ステーションとして使用し、空のセットを置いて状況に応じてヴァイブを構築できます。DJイングを行う際、セットの組立てに傾向はありますか?どちらかというとしっかり計画するタイプですか、それとも自然に任せるタイプですか?プランを練りすぎないようにしていますが、デジタルDJイングには主力の流れがあります。昔はジャケットのデザインや色でレコードが識別可能で、そのサウンドやヴァイブ、どれとミックスするべきかがすぐに分かりました。しかし、SeratoやTraktor、Liveを使用する場合は、ソングのタイトルだけが頼りです。これがなかなか難しい。アルファベットが無数に並んだファンキーで珍しいヨーロッパ風のタイトルは頭に入りにくいからです。これを克服するために、私は独自の色分けでソングを(クリップで)分類しています。テック・ハウスは紫、トライバル・ハウスは茶、ボーカル・ハウスはオレンジ、ありがちなチューンは黄…というふうに。また、ソングの強度やエネルギーを示すためにグラデーションも使用するようにしています。たとえば、濃い紫はヘヴィーなサウンドのテック・ハウス、薄い茶はボーカルのあるトライバルっぽいハウス、といった感じです。この記事の読者にLive/Pushに関するアドバイスをひとつ贈るなら、どのようなものになりますか?私は、Pushを他のユーザーとは少し変わった方法で使用しています。ClyphXというフリーのコントロール・スクリプトを利用してスケール・モードの動作に動きを付けるのが好きです。簡単に説明すると、ClyphXは、クリップ名に特定の単語を使用することで、Liveのパラメーターの一部の側面をコントロールできるようにしてくれます。私が最もよく使用するのが「pushscl」です。これは、Pushのキーとスケール情報のスナップショットをとって、トリガー時にそれをPushに再生することができます。このプロセスを繰り返してから、さまざまなクリップを順に選択するフォロー・アクションを使用すると、今度はPush内で変更がトリガーされ、同じ場所に留まったままスケールとキーのモジュレーションに従うすばらしい結果をジャミングできます。 DJ ShineのSoundCloudページ

Lucrecia Dalt: シネマティックな耳

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Lucrecia Dalt: シネマティックな耳

伝統的な見識によれば、ミュージシャンにとっての理想的な作業環境とは、外部刺激が一切ない状態とのこと。事実、目か耳かを問わず、知覚の邪魔をするあらゆる情報を排除することに労をいとわないミュージシャンもいます。これは、「外部」から入ってくる情報が少ないほど、「内部」からわき出るものは多くなるだろうという前提から来ています。 しかし、このシナリオを逆転させ、オーディオビジュアルによる刺激を常に浴びながら制作作業を行うと一体どうなるのでしょうか?プロデューサーでありソングライターのLucrecia Daltは、近日リリースされる2作品の作曲とレコーディング中にこれを実行に移しました。最近ベルリンに移り住んだばかりの彼女は、新しい街への好奇心と映画への興味を、型破りではあるけれども極めて生産的な作曲テクニックへと収束させました。Daltはスタジオを映写室に作り替え、レコーディング・セッションの合間の暇つぶしにニュー・ジャーマン・シネマの名作を観るのではなく、常に映画の画像、サウンド、雰囲気に包まれた状態で音楽制作を行ったのです。 この手法を思いついたいきさつを、Daltは次のように説明しています。 Syzygyという作品ですべてが変わりました。私にとって、刺激のある作業環境とは、過度に飽和状態である必要がありました。開けられた数々の本、別画面で再生されている映画、外の喧騒を部屋へと取り込むために開かれた窓、誰かが聴いている音楽、同居人が音楽を演奏したり、セックスしたり、眠っていたりするときの音、私の頭の中にある振動音といった情報―前に進むには、これらの要素を私の音楽に重ね合わせる必要があったのです。ランダムな情報のまとまりは興味深い偶然をもたらし、それは新しい制作テクニックとなりました。特に有効だったのは、映画を扱っているときに起こった出来事でした。レコーディング中は消音にして映画を再生させておいたのですが、ときどき、作業中のステムを再生したまま、映画の音声の音量を上げてみることがありました。こういったランダムかつ短いサウンドは偏向器のような役割を果たしました―メロディのアイデアをもたらす種のようなものです。これは、バルセロナに6カ月滞在していたときに始まりました。ベルリンに戻ってから、Musicboardの奨学金を申請し、認可されました。この「テクニック」を発展させ、映画鑑賞時の心の動きと音楽制作プロセスでの心の動きの絡み合いをより大がかりに研究して、どんなことになるのか知りたかったからです。新しいコンテキストとしてドイツ映画を選びました。この手法で、近日リリースされる2作品を制作しました。Other Peopleから10月にリリースされるセルフタイトルのEPと、Care ofレーベルから発売になるLPです。 Lucrecia Dalt ベルリンの彼女のスタジオにて 映画を観ることが曲の一部となった具体的な例を挙げていただけますか? Care OfのLPのオープニング・トラック『Paralela』がそれです。ヴェルナー・シュレーターの『薔薇の王国』という映画を再生していました。映画のサウンドをしばらくかけたままにしてから、消音にして、映像だけを投影させていました。その後、何か別の音を聞いて音に関する記憶をリセットさせてから、まっさらな状態で作業を始めました。OP-1のオーケストラサウンドをMoog Murfペダルで処理して、再生されている劇場風で絢爛な映像のイメージをもとに進行を作成しました。数時間後、映画冒頭のサウンドとレコーディング内容を並べてみました。するとどうでしょう。映画のサウンドは、レコーディングしたばかりのサウンドの構成を定義する、まさに必要な要素だったことが分かったのです。このようなことがいつも起こるわけではありませんが、このときはそうでした。 (ドイツ映画であることを除いて)これらの映画に共通点はありましたか?また、プロセス中に映画に手を加えること(一部をループさせるなど)はなかったのでしょうか? いいえ、ありませんでした。かといって、必ず頭から再生しているわけでもありませんでした。たとえば、その映画がかなりディープな歴史物だったりした場合、作業を止めて映画を観たいという気分になったこともあります。多分、唯一の共通項といえば、選択した映画はどれも再生したままでの音楽制作がしやすく、かつ美的観点から言って独特なものだったということかもしれません。もちろん、ドイツ映画の特徴として、これらの映画のほとんどには漠然とした不安感という共通点もありました。個人と社会の間の葛藤、大惨事の危機にある世界、あるいはその危機の上に構築されなければならない別の世界、二重世界を生み出すメタファーや儀式への依存の必要性、といったことろでしょうか。 映画の実際のサウンドについてはいかがですか?台詞、サウンドトラック、音楽などが直接作品の一部となった場合はありましたか?それともより間接的に作品作りに影響を与えたのでしょうか? 一部はオリジナルのまま、また一部はMurfペダルを使用して(何度も繰り返し)処理した形で、サンプルを使用しました。台詞にMurfをかけてリズムやテクスチャにするのは面白かったですね。また、英語字幕の文章を参考にしてほとんどの歌詞を書きました。 トラック『Paralela』制作中の様子。『Parallelstrasse』の字幕を扱っている このプロセスから学んだことは何ですか? 偶然を方法論に変換するのは難しいということです。 映画とドイツについては? たくさんの発見がありました。ヘルケ・ザンダーの『Unter dem Pflaster ist der Strand』のサウンドトラックを誰が担当したのかまだ知らないのですが、すばらしい!ヴェルナー・シュレーター、そして彼の作品に登場したマグダレーナ・モンテーツマと キャロル・ブーケの行きすぎた感じ。フェルディナンド・キッテルの『Die Parallelstraße』も最高です。アレクサンダー・クルーゲ、マルガレーテ・フォン・トロッタ、グドルン・エンスリン、ハイナー・ゲッベルス、カシーバー、オスカー・フィッシンガー、ハンス・リヒター。それに私のドイツ語も少し上達したと思います(そうであって欲しいです)。 Lucrecia Daltの作品を観る Other PeopleリリースのLucrecia Dalt新EP『Esotro』を聴く

Diggin’ In The Carts: シンプルなツールが生み出す豊かな感情表現

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Diggin’ In The Carts: シンプルなツールが生み出す豊かな感情表現

80年代の幕開け以来、テレビゲーム音楽は世界各地のリビングそしてゲームセンターで必ずといっていいほど耳にするようになりました。子供の頃一番よく聞いた音楽がゲーム音楽という人、ゲーム音楽が成長期のサウンドトラックだったという人も少なくないはずです。「ストリートファイター」や「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」といった名作に使用された8ビット、16ビット、FMサウンドは、現代の音楽の形成に大きな役割を果たしました。その影響はFlying LotusやKode 9といったアーティストの作品にも明白に現れています。しかし、皆に愛されてきたこれらの音楽を生み出した作曲家についてはどうでしょう? 「Diggin’ In The Carts」で、Red Bull Music Academyは不朽の名作を誕生させた人々を探るべく日本に飛びました。6回からなるこのビデオ・シリーズでは、ゲーム音楽の発展を分析し、その成立の物語を描いています。ビデオでは、下村陽子氏、田中宏和氏といった作曲家が紹介されています。原始的ともいえる技術を用いて世界を構築するためには創造力をふくらませることが必要ですが、それはあらゆる音楽制作に欠かせないものです。制約の中での作業がいかに不朽のサウンドの誕生へとつながるのか、また、インスピレーションが思いがけないところからやってくる様子を克明に説明しています。紹介されている作曲家たちは、極めてシンプルなツールを使用しながら雰囲気や感情を伝える方法を教えてくれます。 各エピソードは、Diggin’ In The Cartsウェブサイトからご覧いただけます。

Nicolas Bernier: オーディオビジュアルの連続したつながり

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Nicolas Bernier: オーディオビジュアルの連続したつながり

Nicolas Bernierは、光とサウンドの連続するつながりに光を当てた、説得力のあるインスタレーション・シリーズ『frequencies』で注目を集めました。複雑な原理からインスピレーションを得、エレガントなシンプルさで示されるBernierの作品は、パワフルなコンセプトをダイレクトかつ触覚に訴える方法で表現します。 シリーズ最新作では、量子物理学の素粒子と確率を用いて、その理論をオーディオビジュアルの領域へと拡大させています。急に現れるホワイトノイズとサイン波は、暗く親密な空間内に、波打つように躍動する光のパターンを引き起こします。理論とプロセスを組み合わせること、また美と示唆に富むコンセプトと間のバランスの取り方について、Bernierに詳しい話を聞きました。 Nicolas Bernier『frequencies (light quanta)』 科学的理論はあなたのクリエイティブなプロセスにどのように影響していますか?量子物理学がオーディオと光による構造を作り上げる例を挙げていただけますか? 最も分かりやすい例は、アクリルのパネルにレーザーカットされたグラフィックでしょう。これらのグラフィックは、量子物理学の本で見つけた図表を再現したものです。グラフィック要素はすべて複数のパネルに個別に分類されているので、どのパネルが点灯しているかに応じて見えるグラフィックも異なります。グラフィック・デザインは、さまざまな要素を配置するための計測ツールとして使用されているグリッドに基づいています。小さな点から構成されるこのグリッド自体、私のアイデアを非常によく表現していると思います。これらの点が光ると、星座のようにも見え、とても魅力的です。 サウンドについては、量子物理学の応用はかなりシンプルです。この作品は粒子という概念に基づいていて、小さなバースト音やクリックといった細かな要素を扱っています。この原理は、マイクロモンタージュをベースとする形態の構成、さらにサウンド処理にも応用されています。すべてのサウンドの生成には、グラニュラー合成エフェクトを主に使用しています。サウンド・アーティストEnnio MazzonがレーベルFarmacia901用に開発したカスタムのMax/Mspベースのアプリケーションを使用しました。 『frequencies (light quanta)』の説明で、「有機的な発展」との言及がありました。どのようにサウンドと光の「有機的」なシーケンスを生成したのかお話しください。 サウンドの粒子を扱うというアイデアは、作品の大まかな形態(100のオーディオビジュアル・シーケンスから形成されるもの)を作り上げるのにも使用されました。シーケンスのほとんどはかなり短く、数ミリ秒から50秒程度で、一部はそれよりも長く(3~5分)、より作曲された作品という印象を与えるものです。有機的な形態、というのは、こういった断片のすべてが偶然組み立てられ再生されているという意味においてです。これもまた量子物理学の原則に沿ったものです。理論とは確率計算に基づいている場合がよくあるのです。複雑だったり分かりにくいものではありません。始まりも終わりもないというインスタレーションや作品はよくあります。この作品の偶然性は、この概念的なアイデアにまさにうってつけなものです。 この作品のようにマルチメディアな作品での作曲プロセスはどのようなものですか?プロジェクト初期において、オーディオ、光、オブジェクトへの取り組みをどのように分けて(あるいはまとめて)行っているのでしょうか? プロセスにおいて、体系立てた何かがあるわけではないんです。どのプロジェクトも独自のスピード、要素、制約で発展していきます。たとえば、『frequencies (a)』は装置からスタートしました。音をベースにしたものだったので、まず「楽器」を構築する必要があったのです。その後、「シンクロニティ」という概念のもと、これをひとつのオーディオ発光性媒体と考えて光とサウンドを構成していきました。 Nicolas Bernier『frequencies (a)』 『frequencies (light quanta)』では、サウンドからすべてが始まりました。そのほとんどは独立した音楽として作成され、その後さらなるアイデアが加わり、プロジェクトが現在の状態へと発展しました。ただ、サウンドとビジュアルを作成する上で、すべてがうまく組み合わさるための重要なポイントが必ずあります。たとえば、一部のオーディオ断片は使用しませんでしたが、それは、それらがインスタレーションで上手く機能しなかったためで、いくつかの断片の構成を変更しました。 Nicolasについてこれまでに紹介した記事を読む Nicolasの他の作品は、彼のウェブサイトからご覧いただけます。

Santuri Safari: 前途有望な東アフリカ

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Santuri Safari: 前途有望な東アフリカ

独自性の強い音楽アイデンティティは、成長の過程においてほとんどのミュージシャンが憧れを抱くものです。通常、これは個人的なレベルで生じる事象ですが、ときとしてこのような動きは集団レベルで起こることもあり、それは共通する感性に根差したシーンやムーブメントを切り開く助けとなります。しかし、地域の音楽文化全体のこういった「熱」を各個人が受け入れることはめったになく、また、こういった分析がなんらかの改善策へとつながることはさらにまれです。ここ1年、東アフリカのあるプロジェクト「Santuri Safari」が注目を集め始めているのは、まさにそのためです。地域の音楽文化にイノベーションが欠けておりアイデンティティが失われているという認識に反応して、ミュージシャン、DJ、プロデューサー、活動家によるこの緩やかなネットワークは、ウガンダ、ケニア、タンザニアを音楽の国際的舞台へと連れ戻すことを目標とする一連のイベントで、アフリカそしてそれ以外の地域に話題をもたらしています。 まずは背景について少し説明しましょう。世界各国の音楽ファンは、東アフリカ出身の優れたアーティストや東アフリカ発の特定のジャンルをどう定義するべきか四苦八苦しています。近年、アフリカ音楽に対する人気が世界的に急上昇している中、アフリカ大陸東側は西側にくらべて目立ったものがありません。ガーナ、ナイジェリア、マリ、セネガルの新興音楽と古典音楽が注目を集め、エチオピアのジャズ文化、衝撃的なアンゴラのクドゥーロ、大きな話題となっている南アフリカのハウスとクワイトの作品は引き続き世界各地で反響を呼んでいます。 アフリカ音楽の巨頭、Fela Kuti かといって、東アフリカに何もないわけではありません。この地域にはアフリカ大陸でも最も多様で鮮やかな音楽が存在していますが、グローバルなインパクトをもたらすに至ってはいません。さらに、グローバリゼーションと「西洋」的生活様式への憧れの広まりにつれ、東アフリカで成功したミュージシャンたちは、R&B、ヒップホップ、ポップ、ダンスホールといったより均質でグローバルなスタイルへと傾きがちになっています。 このような状況のなか、DJカルチャーは特にヒップホップ分野でメインストリームとしてしっかりとした基盤を確立しています。ダルエスサラーム、ナイロビ、カンパラのDJは一般的に最新のローカル・ポップ・ヒットをグローバルなRnBヒットとブレンドさせることが多く、またラジオやテレビは独自のデリバティブを宣伝する放送局によりロックダウンされている状態です。 しかし、ここに抵抗勢力が形成されつつあります。Santuri Safariは、志を同じくする個々のアーティストと組織をつなぎ、営利性よりも実験性、コラボレーション、クリエイティビティを重んじる力強いアンダーグラウンド・シーンが生まれるよう努力を行っています。 Santuri(スワヒリ語で「レコード」の意)は、ジャンルを超え、土着文化とグローバルな最先端の文化の間で実験を試みるアーティストを支援し促進するために設立されました。ケニアの文化活動家Gregg Tendwaとタンザニアをベースに活動するDJであるイギリス人David Tinningにより生み出されたこのコンセプトは、この地域周辺で開催される音楽フェスティバルのネットワークを活用し、ありそうにないコラボレーションを実現することです。フェスティバル主催者と連携し、Santuri Safariは仮設スタジオを構築して地元ミュージシャンを招き、ケニア、ウガンダ、タンザニア、その他国際的なゲスト・プロデューサーとの協力を呼びかけています。トラックをその場で構築し、素材はのちに公開され、フェスティバル関連のパーティでプレイされています。 ウガンダでのGabaireシロフォンのレコーディング 5月、Santuri Safariのサウンド・エンジニアであり、NGOであるSoundThread(www.soundthread.org)創設者のSam Jonesはウガンダを訪問し、DoaDoa East African Performing Arts Marketに参加しました。彼はその旅中にフィールド録音を行い、これらはSanturi Safariスタジオで制作される一連のトラックの基盤となりました。Bayimba Cultural Foundationと連携し、Samはカンパラ郊外のイガンガ近郊の村へと案内され、驚くべきEmbaireシロフォンに出会い、レコーディングを行いました。東/中央ウガンダのブソガ発祥のこのシロフォンは、かなり大型であるため7名で演奏します。一定のコミュニティによって社交上の儀式や祝祭で今でも広く使用されているこの楽器は、必要な共鳴を生み出すために地中に半メートルほどの穴を掘って使用します。Sam Jonesは、「低音はヤシの葉で丸みのある音を、ビーチサンダルでよりアタックのある音を出します。これらは同時に演奏してリズムにすばらしいバリエーションを与えることができます。高音は棒を使用して連動するリズムのローテーションで演奏します。ベース音担当が独自の裁量で演奏を開始し、その後の他のパートの参加は私が指揮しました。こうすることで、パートとサウンドに必要なバリエーションを与えました」 ウガンダ・ジンジャでのDoaDoaフェスティバルでSanturiクルーとつながった後、多才なJoel Sebunjo、Giovanni Kramer Kiyingi、Okello Lawrenceといったウガンダのミュージシャンは、ナイロビ、ダル、カンパラのプロデューサーやDJと仕事をするようになりました。幸運にも、Huntleys and Palmersなどのレーベルでアフロ色を帯びたハウスをリリースしているロンドンを拠点に活動するDJのEsa Williamsがフェスティバルに参加中で、話を聞き付け、すぐに参加しました。 Abletonの大ファンであり、10年前に故郷の南アフリカからグラスゴーへと旅立ちロンドンにたどり着いたEsaは、セッションに異なるテイクをもたらしました。 「Samが録音した楽器のほとんどに、Simplerを使用してマニピュレーションを加えました。サンプルをドロップして、MIDIキーボードを使用してプレイしました。録音されていたサンプルの一部はワンショットではなくフルトラックだったので、オリジナルのサンプルからより個性的なサウンドを作成できました。サンプルはできる限り最高の品質で録音されていたので、より自由な実験ができました。スタジオの誰もがそれぞれ異なる方法でサンプルを使用しました―私は自分のエレクトロニックなバックグラウンドを伝統楽器に持ち込みましたが、おもしろい結果が得られました」 セッションの参加者の多く、特にケニア・ハウスのアーティストSaint Evo The Mythとタンザニアの大物ヒップホップ・プロデューサーAmbrose Akulaは、Esaが見せる新しい作業方法に強いものを感じたようです。Esaは次のように続けます。「Liveをワークショップの起点として使用し、参加者にセッション開始のいくつかの方法を提示し、さまざまなレコーディング・テクニックを検証しました。その可能性と、アイデアを生みだしトラックを完成させるスピードに皆驚いていましたよ」 Esaはこれまで数年にわたってエレクトロニック・ミュージックへのアフリカ文化の融合を支持しており、Santuri Safariはこのアイデアにとっての新たな経路です。Esaはこう説明しています。「イギリスに住む南アフリカ人として、一般的なアフリカ音楽だけでなく、新しいより実験的なアフリカ音楽への興味が高まっているのはうれしいことです。Santuri Safariの方向性はこれです―伝統的なアフリカ音楽のエッセンスをとらえつつ、西洋の影響を取り込みながらもルーツを保つフュージョンを生み出すのです」 ウガンダでのセッションは、才能あるラッパーや同じソース素材がSanturiムーブメントの賛歌としての役割を果たすオーガニックなヒップホップ・ジャムの基盤となるリズム・パターンを形成するプラットフォームもいくつかの地域に提供しました。 Tusimame(「立ち上がれ!」の意)では、序奏部にDJ Rachael、Jungle、Uglee MCなどによってスワヒリ語、ルガ方言、ルサ方言が使用されています。この素材はフェスティバル中の週末にかけて催された一連のパーティで披露され、地元オーディエンスに驚嘆を持って迎えられました。素材はすべて、地域および海外でのすべてのイベントを促進する最先端の東アフリカ作品制作の最終目的に注がれています。 この共同体は、ダールで毎月開催されているスピンオフSanturi Societyからカンパラの爆発的イベントHatari...

4DSOUND: 新たなディメンション

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4DSOUND: 新たなディメンション

音楽制作用ツールは電子機器の到来によって飛躍的に発展しましたが、対してリスニング構成は比較的ゆったりとしたテンポで進歩しています。プロフェッショナルおよびコンシューマー向けサラウンドサウンド・システムがつぎつぎと発表されているのにかかわらず、ライブ・パフォーマンスではそのほとんどがステレオ(あるいはサミングされたモノ)・サウンドに依存しており、オーディエンスは音のほとんどを1方向からのみ聴いている状態です。 そこに登場したのが、アムステルダムを拠点とする4DSOUND。漸進的に変化するサウンドの3次元ポジショニング(ここでは時間は第4の次元)を可能にする、新しいイマーシブなシステムです。包括的なスピーカー群とMax for Liveカスタム・デバイスにより、システム空間内のあらゆる場所にサウンドをポジショニングできます。 Abletonはアムステルダムにて4DSOUNDチームのビデオインタビューを敢行。パフォーマーとリスナーに対して、パフォーマンスとリスニングの新たなパラダイムを投げかけるその手法について、この目的を達成するためにどのようにLiveを使用しているのかについて話を聞きました。 4DSOUNDのコンセプトについて創立者Paul Oomenによる説明、ミュージシャンStimmingがシステムのカスタム・パフォーマンスを準備する様子をビデオでご覧ください。ビデオ内のライブ・オーディオはバイノーラルで録音されていますので、サウンドを最適な状態でお楽しみいただくためにも、ヘッドフォンのご使用を強くおすすめします。 次のビデオでは、クリエイティブ・ディレクターSalvatore Breedが、アーティストによる4DSoundのコントロールにMax for Liveを使用する方法について説明しています。 Amsterdam Dance Event 2014にご参加の方は、4DSOUNDとAbletonが共同でキュレーションを務めるワークショップ、パフォーマンス、ハック・ラボにもぜひお立ち寄りください。詳しくは、CDMのページをご参照ください。 パフォーマンスを終えたStimmingは、フルセットのハイクオリティ・バイノーラル録音を公開してくれました。セットはこちらでダウンロードするか、下からストリーミングでお聴きいただけます。ぜひヘッドフォンでお楽しみください。 4DSoundウェブサイト StimmingのSoundCloudページ

Recondite: 独自の色を生み出すこと

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Recondite: 独自の色を生み出すこと

Recondite 2011年、Reconditeは落ち着きのあるエレガントなテクノで南ドイツから頭角を現しました。際だって生き生きとした感情の核を特徴とする彼の作品には、オーガニックなプロセスと人工的なプロセスが曖昧に混合され、猛々しくヘビーなテクノの限定された領域をはるかに超えるものとなっています。Dystopian、Absurd Recordings、そして自身のレーベルPlangentからリリースされる作品は、明快かつ深奥でありながら開放的な音楽を作り出す確かなメロディとディテールへの配慮が特徴的です。 Recondite独自のパレットの構築に熱心です。音楽を「プレイ」することにあまり興味を持たないという彼は、形状、エッジ、トーンからさまざまなサウンドを生み出すことを選びました。フィールド・レコーディングへの重点的な取り組みと、制作プロセスにおける「色付け」への強い嫌悪は、彼の音楽を特徴付けるものとなっています。メロディの揺るぎない重要性、テクノロジーに溶け込むこと、独自の音楽性を形成するのになぜベーシックなサウンドが重要なのかについて話を聞きました。 Recondite - Cleric、Dystopian 003 あなたの音楽を聴く際、いつもフィールド・レコーディングのサウンドとシンセ・サウンドを聞き分けようとするのですが、ほとんどの場合不可能です。特にローエンドとご使用のサウンドソースが気になるのですが、エンベロープにすばらしく繊細なバリエーションが見受けられます。これについてお聞かせいただけますか? この多くは手動で行います。特定のサウンドのベロシティのバリエーションを作成します。その後、各音のベロシティを変更して、長いシーケンスにわたってバラエティを作成します。これにより多くの変化が生まれ、特にベースサウンドのアタックに変化が生じ、グルーヴに優れたバリエーションを与えます。 これは使用されるサウンドすべてにはっきりと表れています。かなりコンスタントなパラメーター変更ですね。 演奏すれば簡単にできます。しかし私は演奏家ではなく、どちらかというとデザイナーや設計者のタイプです。ほとんどメロディしか演奏しないので。 HotflushからのRecondite最新作「DRGN2」 このメソッドがあなたのような人に機能するのは興味深いことです。昨今、オーガニックなバリエーションをハードウェアで実現するという取り組みが盛んですが、これが実現可能なのは、コンピューターに張り付いての作業をよしとする場合に限られるからです。 ひとつの理由に行き着きます。私がこれを行う理由はひとつです。音楽を作るとき、私はフィジカルなことを一切しないことを好みます。好きなんですね、自分の肉体を排除するということが。これは精神的なことです。といっても難解なものではなく、単に、自分という肉体の存在を忘れるほど集中した状態になりたいということです。コンピューターに自分の脳をつなぐことができればどれほどすばらしいか。何かの一部分を演じたくないのです。そのようなことに興味はありません。自分個人の意見、気分、特徴を音楽に注入することに興味があります。正直、「プレイ」がしたければ、テレビゲームをやりますね。 Reconditeのヴェローナでのライブの様子 これが、エレクトロニック・ミュージックの良いところであり、ソフトウェアとその可能性のすばらしい点です。この機会を与えてくれるからです。たとえば機内で、10時間にわたって小さな席に座ったままでも、他にすることがなければAbletonを開きます。もちろん機内にはMIDIキーボードなどの機材はありませんが、すばらしいビートを構築し、アイデアを音楽に変化させることができます。ラップトップさえあれば何も要りません。これが音楽制作の未来なのです。Google Glassを使用して目の動きを利用した音楽制作ソリューションなども、非常に面白い可能性を秘めていると思います。 メロディについて明確かつ洗練された感覚をお持ちですが、テクノにおけるメロディの重要性についてどのようにお考えですか?後世に残るトラックを作成する重要な要素と思われますか? 私は、メロディはトラックを興味深いものにする要素だと個人的には思います。トラックに魅力と個性を与えるものです。ある種のドラム・プログラミングやボンゴなどのパーカッシブな表現も個性を出すことはできますが、メロディほど分かりやすくはありません。伝えたい何かがある場合、表現したい感情がある場合、それを露わにしたいと思います。メロディ自体はたとえばポップ・ミュージックにはない抽象的で非常に分かりにくく曖昧なものであるかもしれませんが。いろんなところで耳にする普通の音とは違う、時折淋しくもあるような、そんな感情です。独自の雰囲気ですね。私の音楽にメロディが豊富なのはそのためです。自分の感情をうまく表現したい、他者にも理解できるようにしつつ、一般的な形式とは異なる方法でこういった感情を表現したいと思っています。 2013年にGhostly InternationalからリリースされたReconditeのアルバム「Hinterland」 特にテクノでは、あからさまな美しさを避ける傾向があります。うまく構成された小さな抑揚のメロディは、発展するシンセ・トーンと組み合わせることで非常に印象的になり得ますが、それでもプロデューサーの多くはメロディの使用を控えがちなようです。 それには多くの理由があると思います。テクノ・ミュージシャンは、メロディが簡単に陳腐なものになってしまうと感じていて、それが怖くてメロディを使用することを避けているんだと思います。それがひとつ。もうひとつは、テクノ・アーティストには、率直で、構造を重んじ、さらに言えば、感情をあまり重視しない人たちもいて、そういう人たちには単純にメロディというものが存在しないのだと思います。こう言えるのは、私自身がよく体験することだからです。彼らの中には、メロディの代わりに、複雑なリズムや巨大なシーケンスといった別の何かが存在しているわけです。皆がメロディを使用するわけではないのは、こういう理由だと思います。誰もが自分なりの方法を見つけていくのです。 ソフトウェアに没頭し、一般的な意味での演奏ということはあまりしないというお話に関連して、ギグや、ライブ・パフォーマーとしての期待への対応についてはどのようにお感じでしたか?移行は違和感のないものだったのでしょうか? ええ。これまでも、人の期待に応えようとしたことはありません。オーディエンスやプロモーターの期待に応えようとしたことも、彼らが望むと思われることをしようとしたこともありません。自分にとって心地良いことをすれば、それは上手くいくと確信していました。違和感を感じるほど何かを変更したり、他者の期待に応えるために何かを変えようとしたのであれば、きっと失敗していたことでしょう。自分にとってできるだけ簡単になるようにしようと決めたのです。そして、できるだけ真摯であろうとも。もともと、注目を集めることにはあまり興味がありませんでした。今、自分がドラムマシンやシンセサイザー、いくつかの外部ハードウェアと共にステージに立つとしたら、それはすでに自己顕示に思えます。家でもこういった機材を使用していないのに、なぜステージで使用する必要が?こんな風に見栄をはるのはおかしいと思うんです。そんなことは上手くいきません。 Recondite 私は、音楽に合わせて体を動かし、目を閉じ、その音楽が好きだということを表します。それが好きだからです。たくさん制作しているので常に新しい素材をたくさんプレイしますが、いつでもそれを変化させることができるので、興味がとぎれることがなく、ほとんどの場合本当に楽しみながらプレイしています。オーディエンスにもそれは伝わっていると思います。ときどき、自分がDJであるかのような気になることさえあります。とても心地良い気分で、まったくストレスを感じません。山のようなハードウェアや複雑なケーブル配線を目の前にすることもありません。無数のノブをたった10本の指で操作する必要もないので、プレイするトラックの順序を書き留めたメモを置いておく必要もありません。こういったことは私には無関係なのです。 シンセサイザー・サウンドの構築で主にご使用のツールは? Abletonのツールだけを使用しています。他は一切使用していません。アルバム「On Acid」とAcid Test用に近日リリースされるEPでは、Acid Lab Basslineを使用しました。303の完全なエミュレーションなんです。個人的にはオリジナル以上だと思っています。さらに可能性を広げてくれますから。それ以外はすべてOperatorです。私に必要なシンセはこれだけです。AnalogやTensionすら使用していません。 Operatorはとにかくすばらしい。シンセサイザーは非常に多様な楽器です。扱い方さえ知っていれば、弦楽器のサウンドやベース・ドラムをひとつのシンセから生成することができます。これはかなりの可能性です。目的に合わせて、特定のサウンドが必要だとか、特定のシンセが必要だと考える人はたくさんいます。大型のパッドが必要だという理由で特定のシンセを購入する人もいます。 もちろん、それぞれのシンセにそれぞれの特徴があります。しかし、そういったシンセの特徴こそ、私が必要としていないものなのです。私が求めているのはまったく逆のものです。私が探しているのは最もニュートラルなもの。ニュートラルなものであれば、そこに個人的な解釈を加えることができるからです。すでになんらかの特徴があるものに私独自の特徴を加えることは難しいからです。 Recondite - Tie In(Acid Test) Ableton Liveが大好きなのも同じ理由で、最もベーシックなソフトウェアだからです。EQもニュートラル。EQとしての仕事をするだけです。WavesのEQをすべて買い揃えるとすると、非常に高価だし、特徴的なサウンドがあります。このEQが使用されていれば、だいたいの場合聴いて判別できます。すばらしいサウンドですしね。でもやはり色付けされてしまう。この色付けが嫌なんです。私は自分独自の色を作りたい。だから、私に必要なのは、ベーシックなシンセ、ベーシックなEQ、ベーシックなフィルター。本来の仕事だけをこなすもの、それだけなのです。私にとって、それがLiveなのです。Liveはサウンドが良くないと文句を言う人がいますが、それはLiveが色付けをしないからです。私の考えでは、Logicではかなりの色付けがなされます。Logicの音がいいという人がいるのは、少し音がきれいになるからだと思います。しかしAbleton Liveでは、サウンドを向上させたければ自分で操作するしかありません。作業は増えるかもしれませんが、Liveは自分独自のサウンドを生み出す機会を与えてくれます。未処理なのにいいサウンドだと、私にとっては問題です。私はベーシックなサウンドからスタートしたいのです。 あなたは現在の主流とはまったく逆を行っているようですね。今では誰もがカラーを求め、さらなるバイブスを加えたがっているように思えますが。 あらゆることに言えますが、手っ取り早いものが人気なんだと思います。すぐにアクセスできるものがいい。今、そして次の瞬間にぱっと機能するものです。しかし、際だった何かを生み出したいのであれば、そういった方法ではうまくいかないのです。 Reconditeについて詳しくは、FacebookページおよびTwitterをご覧ください。