インプット/アウトプット:Afrikan Sciences

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インプット/アウトプット:Afrikan Sciences

シリーズ「インプット/アウトプット」では、Abletonコミュニティに属するプロデューサーのスタジオを訪ね、彼らの制作プロセスに取り入れられるインスピレーション、テクニック、技術と、そこから生まれる最新の音楽作品に光を当てていきます。冒険的なレーベルPANから到着した『Circuitous』は、Eric Porter DouglasことAfrikan Sciencesの最新アルバムです。表向きには現在そしてここ最近のクラブ・ミュージックやダンス・ミュージックに関連したものでありながら、Afrikan Sciencesは、『Circuitous』でテクノ、ジャズ、ヒップホップ、ファンクのメロディとリズムを目を見張るほどフレッシュな構造に織り込んでいます。心を引きつける親しみやすさと際だった異質さを併せ持つDouglasのトラックは、聴く者を独自の軌道へと引き寄せます。初めのうちは違和感を感じますが、方向感覚を失う瞬間は、純然たる先験的な幸福感と均衡の状態にあることも少なくありません。Douglasの音楽に魅了されたAbletonは、ニューヨークを基盤に活動するプロデューサーである彼にインタビューを敢行。彼の制作活動について話を聞きました。あなたのトラックで常に特徴的であり、今回の新作で特に強調されているのは、リズム要素が2つ以上の方向に同時にプッシュされている点です。ビートメイキングに対するあなたの一般的なアプローチ/姿勢についてお話しいただけますか?ポリリズム・ステムに対する私の考えとアプローチは、最も人間の感覚に近いドラム・プログラミングやライブでのパート演奏を実現するためのニーズから来ています。また、複数のドラマーが同時に会話のやりとりを行うとどんな風に聞こえるのか、また、会話に参加している各ドラマーのバックグラウンドがそれぞれ異なっている場合、言ってみれば異なる言語を話す場合どうなるのかという観点からでもあります。この会話はどんな風に聞こえるのでしょう?こういった分裂を加えると、新しい均衡がもたらされます。拍子記号を別の拍子記号に重ね、クオンタイズされたプレイに漠然としたプレイを重ねるのです。得られる結果がどのようなものであれ、リズムの並置を掘り下げることは楽しいものです。ここでいうドラマーとはすべて人間のドラマーのことを意味しているのでしょうか?というのも、あなたのリズム構造にはマシンのような要素がしばしばみられるからです。リスナーとして、またミュージシャンとして、「クオンタイゼーションの連続」のルーツはどこにあるとお考えですか?ドラマーについては、すべて人間というわけではありません。トニー・アレン、ミッチ・ミッチェル、クラフトワークのドラムマシンが一緒にプレイしているようなイメージです。若い頃、リスナーとして作品で聞くことのできるドラムの虜になり、ティーンエイジャーになって初めて作品作りのようなことを始め、初期のドラムマシンに触れてからはさらにその傾向が強くなりました。ひとつ気付いたのは、ドラムマシンがポピュラー音楽を席巻した1980年代に起こった転換でした。私は、これこそミュージシャンが後になって「ドラムマシンには魂がない」というシュプレヒコールを上げてドラムマシンに反発した理由だと思います。私はこの言い分に不満を感じており、思いやりの感情とエレクトロニクスを調和させたいと考えていました。私は80年代中頃から後半にDJとしてスタートしました。組み合わせに対する音感とリズムに対するダイナミックな感覚が培われたのはこの時期です。レコードのビートをうまく操作し、新しいリズムを生み出してチューンの拍子や時間のフィーリングを変更するのです。つまり、ターンテーブルこそ私が最初に扱った楽器で、その後、ベースの弾き方を学んでレパートリーに加えました。 Afrikan SciencesのBoiler Roomでのパフォーマンスの様子 『Circuitous』制作時のスタジオのセットアップはどのようなものでしたか?スタジオの内容は絶えず変化していますが、ここ数年は、モーグ・リトル・ファッティ、アッシュボリー・アップライト・エレキベース、Waldorf Streichfett、iOSアプリいろいろ、サードパーティ製Audio Unit/VST、Max for Live、それに核としてLiveを使用しています。Live内でのセンド&リターン・システムを気に入っていて、外部インストゥルメントとエフェクトにAudiobusといったすべてを上手く連結してくれるiOSアプリを使用しています。トラックごとにいくつのセンドとリターンを使用することが多いですか?どのような信号をどのようなデバイスに送っていますか?トラックあたりのセンドについては、平均して1~4つを使用しています。Live内の内部ルーティングと、Motu Travellerといったオーディオ・インターフェースやiConnectmidi 4+のオーディオ・パス・スルー・システムを介した外部機器へのルーティングを組み合わせています。Holdernesss MediaのEcho Padなどのエフェクト、モーグのFiltatron、Amazing NoisesのGlider Verbなど、iOSアプリが気に入っています。KAOSS PADとmonotron DELAYなどのコルグ製品にも信号を送って面白い効果を生み出しています。ミックス・ボードを触ることもたまにありますが、ミキサーを持ち出すことはないので、普通はセンドリターン・セットアップに加えることはありません。ライブ演奏へのアプローチについてお聞かせください。典型的なライブ・パフォーマンスで、どれくらいの割合で、どのような要素をインプロヴァイズされていますか?今でも、安全かつ自発的なライブ・パフォーマンス方法におけるバランスを模索中なのですが、私の考えでは、完璧に準備されたセットは退屈だし、かといって早い段階でオーディエンスの関心を引き寄せることも重要だと思います。ですので、ほとんどの場合、リズム・セットだけは用意しておき、あとはスタート後の流れにあわせられるようオープンな状態にしておきます。また、あらかじめ演奏しておいた楽器のクリップを、Pushからアクセス可能なインストゥルメントと一緒に用意しています。外部インストゥルメントとデバイスすべての同期とコラボレーターとの同期には、iConnectmidi 4+を使用しています。ソロの場合、テンポと拍子をいろいろと変化させることが多いです。今、ライブをできるだけダイナミックなものにする方法について検討していて、ダンスの動きをこっそり練習しているんです(笑)。今後はアップライトをギグでもっと使用していこうと決めています。ライブでPushをご使用になっていますね。入手のきっかけはパフォーマンス用だったのですか?Pushについては、スタジオ・セットアップとライブ・パフォーマンスの両方に使うつもりで手に入れました。全体的に、どちらの状況においてもかなり満足して使用しています。ライブ・セットでは、シーンのコントロール、エフェクト・オートメーション用のダミー・クリップのトリガー、Max 4 Liveパッチ経由またはシフト・ボタンと一緒によりニュアンスのある動きを得るためのテンポ・ノブから直接のテンポ変更の調整にPushを使用しています。また、Drum Rackのライブ・ドラミングと、奇数長をループさせて無音を加えることで休符用のクリップの長さとオフセットの調整も行っています。たとえば、4小節のリズムをドラム・ラックで再生し、そこにたとえば3小節の別のリズム・トラックを重ねて、7小節サイクルのパーカッション・トラックを加えます。同時に、Push上でループ長コントロールを使用してオリジナルの4小節リズムのループ・ポイントをずらします。最初の小節ではなく第2小節にずらし、無音の第5小節に繰り越すか、長さをすっかり変更してしまいます。こういったバリエーションを作成して、面白みを出すのが好きです。一緒にキーをプレイするのもいいですね。クリップのローンチは色分けのおかげでより直感的になりますが、確かに大型のセットだと、混乱しないよう悪戦苦闘することもあります。ギグのたびに、別の方法を見つけています。できるだけ少ない操作でより多くを行うのが目標です。 Afrikan Sciencesについて詳しくは、FacebookおよびSoundcloudをご覧ください。

Herrmutt Lobby:コントローラー・ハッキングとハンズオン・ミュージック

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Herrmutt Lobby:コントローラー・ハッキングとハンズオン・ミュージック

ラップトップとMIDIコントローラーの台頭以来、エレクトロニック・ミュージックの「ライヴ」・パフォーマンスの「ライヴ」さについて語ることは困難になりました。こういったセットアップの多くは、ギターやサックスなどとは異なり、応答性に優れたハンズオン・コントロールにはほど遠く、プロデューサーやミュージシャンからの楽器のように動作するインターフェースへの期待は高まる一方です。Herrmutt Lobbyというコレクティブは、この問題に正面から立ち向かっています。コントローラーを用いて、エレクトロニック・ミュージックで真のライヴ・パフォーマンスを可能にする直感的なツールへと変貌させています。コレクティブのメンバーはねじれたダウンテンポのビートを専門とするミュージシャンたちですが、このコレクティブのインストゥルメント・デザイナーとしてのミッションにジャンルは関係がなく、「リアルな」楽器のように、演奏技法に反応するデバイスを構築することです。Abletonは、コレクティブの信念とコントローラーのハッキング方法についてメンバーに話を聞きました。また、カスタム・パッチとLiveセットも公開されており、彼らの手法のを実際に体験することができます。 Max for Liveを使用してフェーダー・コントローラーを操作するHerrmutt Lobby エレクトロニック・ミュージックのライヴ・パフォーマンスに不満を感じ始めたのはいつ頃からですか? Herrmutt Lobbyは10年前にスタートしたのですが、目標はライヴ・バンドになることでした。何枚か制作しツアーに出ましたが、ライヴはつまらないものでした。オーディエンスやオーガナイザーからは熱狂的なフィードバックをもらったのですが。数個のノブをいじくって、あらかじめ録音されたトラックにかけるエフェクトをコントロールするのは楽しくありません。当時ロックが盛んな小さな町に住んでいたのですが、ロック・バンドをやっている友人たちが、ガレージなどでも楽しそうにライヴ演奏しているのを目の当たりにしました。エレクトロニック・ミュージックのライヴ・セットがいいとか悪いとかいうつもりはないのですが、もっと盛り上がることができるはずなのにどうも楽しくなく、「出来合い」感が強すぎるように思えます。それで、シーケンスから距離を置く方法を模索するようになりました。この業界はループだけを使用する傾向が強いので、こういった動きのない構造の向こうにある新しい形を探るよい機会だと思いました。ハンズオン・テクニックを開発してそれらをステージで試みることは楽しいし、やりがいがあります。即興で演奏できる点やより直感的に音楽が生まれる点で、ジャズに似ているかもしれません。 Herrmutt Lobbyの新トラックではKing Kashmere IVとBoodaをフィーチャーしている シーケンサーで曲作りをしていた頃は、友達がスタジオに遊びに来てくれても、制作中の内容をただ聴くしかありませんでした。シーケンサーでの作曲に興味を持つ人は少なかったからです。今では、スタジオにコントローラー、ジョイスティック、パッド、iPad、自作の機材などが所狭しと並んでおり、すべてリアルタイム・パフォーマンス・パッチで相互連結されています。今なら、スタジオに足を踏み入れれば誰でもジャミングに参加できます。演奏がもっと楽しいものになります。連結したインストゥルメントを使って演奏するこのプロセスを、私たちは「リアルタイム・システミック・ミュージック」と呼んでいます。こういったデバイスを複雑で微細な操作に反応させるようにする上で難しかったことはありますか?リアルタイムで演奏する際の一番の課題は遅延(レイテンシー)です。コントローラーをインストゥルメントとして使用するには、レイテンシーをできるだけ(できれば4ms以下に)下げる必要があります。レイテンシーは、コントローラー、コンピューター、サウンドカードとそれが何であれ、セットアップに使用されているすべての機材によって追加されるので、チェーン内の必要のない機材を徹底的に排除しました。既存のコントローラーに独自のプログラムを「侵入させる」方法についてお話しいただけますか?オペレーティング・システムをソフトウェアにオーバーライドさせているのでしょうか?市販のデバイスの「脳」の再プログラムができれば最高なのですが、普通は無理ですし、無理でなくてもあまりにも複雑すぎます。ただ、ほとんどのデバイスにはMIDIコントロールを送信できるので、私たちはLiveとコントローラーをリンクさせるソフトウェアを作成しています。私たちの目的がデバイスの能力の範疇を超える場合、たとえばファームウェアに任意の制限がある場合などは、既存の電子回路を取り除いてしまい、ArduinoやTeensyといったプログラム可能なマイクロコンピューターに直接センサーを接続してしまい、独自のファームウェアを記述してセンサー・データの処理とMIDIメッセージの送信を実行させます。 デバイスの操作とマッピングについて説明するHerrmutt Lobby 最近では、ロンドンで開催されたMusic Tech Fest Hackathonで、Playstation 3のコントローラーをウェアラブルでワイヤレスの音楽用インターフェースに作り替えました。今回は、加速度計、ジャイロスコープ、ジョイスティックといったパッドの電子回路をほとんど残し、ボタンを取り除いて、ジョイスティックのひとつを3Dプリンターを使用して補強したキャップの付いたinnofadderで置き換えました。同時に、ベーシックなプレッシャー・センシティブのiPadスタンドを製作し、ベロシティとアフタータッチをiPadに加えました。今は独自のコントローラーをデザインしている最中です。ステージ向けの製品で、2016年前半には市場に出回る予定です。より堅牢な造りになっており、アーキテクチャに手を加えることを可能にするMax for Liveパッチが付属しています。皆さんのアプリBeatSurfingは、ハンズオンでの作品作りに大きな跳躍を提供するアプリです。このアプリのビビッドなビジュアル・インターフェースは皆さんの音楽製作にどのように影響しているのでしょうか?生まれてくる作品にどのような変化を与えると思いますか?BeatSurfingで、作曲プロセスは一変しました。レイアウト・デザインが作曲と共に展開するだけでなく、結果として生まれるトラックはそれだけではプレイできず、フィジカルな操作なしには聞くことができません。もはや音楽コントローラーではなく、あらゆる要素が相関するシステムとなっています。あらゆる要素があらゆる部分に影響を与えるのです。 Herrmutt Lobbyによるアプリ、BeatSurfing スタンダード・ジャズやコンメディア・デッラルテにより近いかもしれません。カンバスはそこにあるけれど、結果として生まれるトラックは誰が演奏するかによって変化するのです。iPadとiPhoneでのエクスペリエンスを拡張させる新しいアプリを数ヵ月中にもリリースする予定です。皆さんが開発するソフトウェアについて、開発中に意図しなかった方法で使用されると思いますか?障害を持つ子供たちがカスタム楽器とiPadにBeatsurfingを使用して演奏するAccessible Youth Orchestrasのように、すばらしい使用方法をいくつか目にしています。また、ベルリンのDigiEnsembleの「iPadオーケストラ」も非常に印象的でした。 Herrmutt Lobbyの『The Counter』をダウンロードしてお試しいただけます。この優れたMax for Liveデバイスでは、デバイスのパッドのプレイ方法に応じてマッピングを効率良く設定する直感的なプロセスを使用して128のサウンドをわずか16のパッドでプレイできます。Herrmutt Lobbyについて詳しくは、Soundcloudおよびウェブサイトをご覧ください。

EarthMomentsの新Pack :Lé Slow

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EarthMomentsの新Pack :Lé Slow

Lé Slowは、ダーク・アトモスフィア、シネマティック・テクスチャ、ループ、サウンドのコレクションです。EarthMomentsのプロデューサーおよびエンジニア・チームは、アコースティック/エレクトリック音源に最先端のアナログ/デジタル処理を行うことで、平凡にはほど遠いけだるくうっとりとしたサウンドからなるユニークかつまとまりのあるライブラリを作成しています。Packには9つのコンストラクション・キットが含まれており、独自のプロジェクトのベースとして活用できるフレキシブルなスターティング・ポイントを幅広く提供。400のオーディオ・クリップに含まれる400~800%低速化したサンプルは、各サウンドのディテールを隅々まで露わにしています。既存のアレンジに加える単体のテクスチャやループが必要な場合は、Liveのブラウザーからそれぞれのクリップやサンプルに簡単にアクセスできます。Packページでは、Lé Slowのサウンドスケープを試聴し、詳細情報をご覧いただけます。ホリディ・シーズン特別提供中の今なら、Pack全品が20%オフ!どうぞご利用ください

Seekae:自信に満ちあふれた『The Worry』制作の裏側

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Seekae:自信に満ちあふれた『The Worry』制作の裏側

2000年代は、ビート中心のエレクトロニカが豊作の時代でした。たとえばシドニーのトリオSeekaeは、J・ディラ一派のヒップホップのシャッフル感とクラシックなEDMの広角なエモーションを組み合わせた新進アーティストです。特にSeekaeは発展性のあるポテンシャルを見せており、2008年のデビュー作『The Sound of Trees Falling on People』は、深奥なエレクトロアコースティック・テクスチャに抜け目ないトリッピング・ビートを融合させており、その手法はいまだに新鮮みを失っていません。それから6年後にSeekaeがリリースした新アルバム『The Worry』は絶賛を受けています。ひっそりとしたスタートからの決定的な進化は際立っており、見事なまでに成熟し自信に満ちた新たなスタイルへの動きを見せています。オリジナル・メンバーのひとりGeorge Nicholasは、Abletonコミュニティのメンバーでもあります。Seekaeとしてのツアーや(同じくシドニー出身のHamish Dixonとのプロジェクト)Cliquesでの活動の合間を縫って、彼はシドニーのLive Schoolでプロデューサー志望者にレッスンを行っています。Pushにも詳しい彼は、お気に入りのテクニックを紹介し、急成長するバンドのメンバーとしてのプレッシャーについての洞察を提供することに非常に意欲的です。 Seekae『Another』 Seekaeでの作曲プロセスについてお聞かせください。どのようにして3名のメンバーの要求のバランスを取っていますか?Seekaeでの作曲プロセスは、皆が同じ街に住んでいないので、かなりまとまりのないものです。Alex Cameronと私はシドニーに住んでいますが、どちらも街を出ていることが多いし、John Hassellはイギリスに住んでいます。なので、3名がグループとして作曲することはありません。1作目の『The Sound of Trees Falling on People』は3人で集まって作りました。今回と比べると、ですが。2作目の『+Dome』もだいたい同じで、当時は共同のスタジオがあって、そこで一緒に作業し、ドラムとギターを録音してミックスも皆で一緒にやりました。『The Worry』の制作中は、皆が世界中のいろんな場所に散らばっていました。なので、一緒には書いてませんね。Dropboxを活用しています。その制作方法は完成作に影響しましたか?より検討されたものになったと思います。個人的には、一人で作曲する方がどちらかというと好きです。誰かと作曲するときは、その場の雰囲気に飲み込まれる可能性が必ずあるように思えるからです。あるアイデアにはまって「ああ、それは最高だね」などと口走ってしまい、批判的な考えができなくなることがあります。また、他の人たちと一緒の室内のムードをある程度ポジティブに保ち、それまでに作り上げたクリエイティブなエネルギーを壊さないようにしなければならないというプレッシャーもあります。一人での作業にはずっと時間がかかりますが、批判、検討、うんざりするほどゆっくりと悪戦苦闘しながらもさまざまな可能性について試行錯誤する時間を与えてくれます。 Seekaeによる『Blood Bank』パフォーマンスの様子(2014年Hype Hotelにて) それでは、ツアーに出る際、どのようにしてそれぞれのセットアップを統合させるのですか?ツアー前にだいたい1週間ほど集まってスタジオにこもり、トラックの再構築を行います。半日ほどかけて、「このトラックはこんな風に、これはこういう感じで」と意見を出します。オーディエンスを引きつけるライブ・パフォーマンスとサウンド・クオリティの間での妥協点を見つけるよう努力しています。単なるWAVファイルのプレイバックにならないよう、かといってサウンドのクオリティがないがしろになりすぎることのないよう、転換点を探すんです。あなたのライブ・セットやチュートリアルにPushが登場しているのを拝見しました。出会いのいきさつについてお話しいただけますか? シドニーのLive Schoolでトレーナーをしているので、ラッキーなことに発売前にPushに触ることができました。かなり初期のベータ・バージョンだったのですが、結局は最終的にリリースされたものにかなり近いものでした。新インストゥルメントとして触った感想はいかがでしたか?はじめのうちは、かなりベーシックな方法で使用していました。マルチカラーのLaunchpadといった感じです。「わあ、カラーだ!いいじゃないか!」って感じでしたね。パワーアップしたLaunchpadやAPCという印象だったので、しばらくそういう風に使用していました。その後、ドラム・シーケンサーにはまり始めました。これがなかなか見事なワークフローなんです。次にメロディ・シーケンサーを使い始めて、度肝を抜かれました。後でファームウェアに追加された機能だったかと思うのですが、メロディの扱い方を一変させました。作品に与えた変化はありましたか?新しい機材を導入することは、必ず変化への新しい視点をもたらしてくれます。サウンドについて新しい方法で考えることができます。Pushは、十二平均律と私との結びつきを変えました。音階を選択するとその音階になり、自由に操作できます。使える音は少なくなったとしても、その音階内で新手法を試すことが非常に簡単になり、私のようにあまり器用でない人に特に便利です。私はこれをライブでシーケンシングに使用しています。私はドラマーではありませんし、フィンガードラミングにも自信はありませんが、臨機応変にシーケンシングできるというのはうれしいです。何をシーケンシングなさっていますか?その場の判断でサンプルを操作しているのでしょうか、それともVSTのコントロールですか?ほとんどの場合、メロディ・ステップ・シーケンサーを使用して非常に短いアルペジオを作成しています。1小節ほどの短いシーケンスをループさせてノートを追加したりVSTのパラメーターを一番上のマクロを使用して変更したりします。こうして、さまざまな要素に微妙な変化を同時に加えることができます。独自のマクロ・マッピングも行っています。それだと、VSTを開いて自動マッピングを確認する必要がありません。通常、手持ちのVSTをインストゥルメント・ラックに入れ、一定のパラメーターを見つけてそれらをマクロにします。ADSR、フィルター、いくつかの空間系エフェクトといったベーシックなものです。Max for Liveはどのようにご使用ですか?Push用に作成されたパッチなどはご使用ですか?Push用の新しいシーケンサー・パッチを送ってもらったばかりです。Maxデバイスはたくさん使用していますが、Pushに特化したものはあまりありません。安全策として、ライブで使用するプラグインとMaxデバイスの数は最小限に抑えるよう心がけています。先日優れもののMaxパッチを手に入れたんです。ひとつはDiffuseという名のSpace Echoのシミュレーター、もうひとつはMagneticというパッチです。どちらもSurreal Machinesのものです。RE-201エミュレーターにコンボリューション・リバーブとオリジナルのワウ、フラッター、グリットが組み合わされています。 『Chro』制作について語るGeorge Nicholas(Live SchoolのInputセッションにて) CliquesはSeekaeに比べてよりフロアを意識した作品となっており、さまざまなUKアンダーグラウンド・サブジャンルが新鮮な手法で掛け合わせられています。制作プロセスに違いはありますか?まったく異なります。実際のプロセスについて言えば、Cliquesのトラックはどれもドラム、ベース、パーカッションからスタートして、その後必要に応じてメロディを補足するという流れです。Seekaeでは、ほとんどの場合コード進行からスタートして、その後、その上にメロディを構築し、ベースラインをかぶせ、最後にドラムを作成します。ドラム・サウンドにはかなり厚みのあるサウンドもありますね。そのまま使用してしまうとドラム・サンプルがビッグすぎると思うことはありますか?ありますね。サンプル・パックには、サウンドが優秀すぎて手を加える隙がないものもあります。サウンドが確立されていて実験の余地がないのです。ただ、Cliquesの制作ではかなりの処理が行われています。Cliquesでは、できるだけAbleton色を出さないように心がけているんです。テープ・サチュレーションのエミュレーション、MaxパッチのDub Machinesのような多数のエフェクト、古い機材のようなサウンドを生むエフェクトをたくさん使用しています。これらはパラレルでミキシングしているのですか、それともチャンネルに直接ドロップしているのですか?場合によりけりです。リターン・チャンネルには必ずSound Toys Decapitaorを置いていて、すべてを少しずつそこに送り、後で圧縮もかけます。バックグラウンドで機能させておいて、少しノイズも送ります。空間系エフェクトのルーティングは複雑ですか?オーディオを複数のセンドに送ってチャンネルに戻しているのでしょうか?いいえ。複雑になるのはラックを使用してラック内でチェーンを多数作成して多数のパラレル・プロセッシングを行う場合です。大抵の場合、私はトラックにサウンドを置き、ラック内で複数のチェーンを作成し、それらのチェーンにEQで特定の周波数帯域を選択します。その後、コンプレッサ―で低域を、コーラスで中域を、オーバードライブで高域をそれぞれ処理します。 SeekaeとCliquesについて詳しくは、FacebookおよびSoundcloudをご覧ください。

Abletonから、1年の感謝を込めて:Sample Magicの無償Pack

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Abletonから、1年の感謝を込めて:Sample Magicの無償Pack

今年はAbleton HQにとって、世界中のAbletonコミュニティのイノベーションとクリエイティビティに大きな刺激を受けた幸せな1年となりました。テクノロジーを想像もしなかった領域へともたらすプロデューサー、アーティスト、デベロッパー、互いに学びやサポートを提供し合うミュージシャンや教育者など、皆様に感謝し、今後の展開に胸を躍らせています。今年1年のありがとうを込めて、ワクワクをもたらすプレゼントを用意しました。Sample Magicのビンテージ・ドラム・ブレイクを集めたコレクションを、どうぞ皆様に。ワープなどの加工に最適な素材であるドラム・ブレイクは、ヒップホップ、あらゆる種類のダンス・ミュージックに大きなインスピレーションを提供します。ブレイクは、現在の音楽において不朽の魅力を放つ重要な要素となっています。Sample MagicのBreak Selectionは、超一流のパフォーマーによる演奏を最高級のビンテージ・マイク、コンプレッサー、イコライザーを豊富に使用してレコーディングし、過去数十年の優れたドラムのヴァイブを再現するよう精緻にミックスされています。ブレイクではありふれた何かを全く新しい何かへと変えることが要ですから、どんどん加工しましょう。出来上がった作品はぜひ公開してください。その際は、ハッシュタグ #MadeWithLive をお忘れなく。Break Selectionは無償で提供され、すべてのLive 9ユーザーにご利用いただけます。Packのダウンロードはこちらから。Live 9より前のバージョンをご使用の場合、Free Stuff Fridayシリーズ記事をご覧ください。ダウンロードで入手可能な無償パック、デバイス、インストゥルメント、サンプルを幅広く紹介しています。どうぞ素敵なホリディ・シーズンをお過ごしください!

2014年の総まとめ:人気ビデオ5本をご紹介

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2014年の総まとめ:人気ビデオ5本をご紹介

2014年の最後は、今年紹介したビデオの中から特に印象的だった5本を改めてご紹介。イェール大学からスウェーデンの森までさまざまな内容を紹介した一連のビデオは、どれもインスピレーション豊かでひらめきを与えてくれます。ヒューマン・ボイスとテクノロジ―のパワーが美しい何かへと融合する様子、Minilogueの圧倒のスタジオ機材、Ira Glassのクリエイティビティについての含蓄ある言葉など、刺激たっぷりの内容です。それではお楽しみください! 1/ A.Squaredがジェイムス・ブレイクをアカペラでカバー合唱であれインストゥルメンタル・ダンス・ミュージックであれ、アカペラ・パフォーマンスには私たちの中にある原始的な何かを揺さぶる力があります。人間の声が編み出すデリケートな螺旋と繰り返される高まりは、人間が長い年月の中で作り上げてきたものです。我々の祖先がLiveを持っていなかったのは残念としかいいようがありません。イェール大学のボーカル・グループA.Squaredがライブ・ルーピング、エフェクト、自身の声だけを使用して、ジェイムス・ブレイクの『Retrograde』を21世紀の合唱曲へと変化させています。グループ・メンバーJacob Reskeのインタビュー全文を読む 2/ マルメの森にたたずむMinilogueのスタジオ次は、今年一番機材オタクをあっといわせたビデオをご紹介。度肝を抜かれるMinilogueのビンテージ・シンセ、エフェクト・ペダル、ラック・エフェクト、ミキシング・ボードの数々は、マニアを腰砕けにするに十分です。さらに驚きなのは、これらの機材がすべてスカンジナビアの森に建つキャビンに収められていること。知覚を研ぎ澄ますための秘密がここにあります。このビデオが伝えるメッセージは表層的なものだけではありません。このデュオは、豊富なツールの世俗的な意味を超越するホリスティックな見地をクリエイティビティに対して持っています。 3/ AbayomiがPushを完全コントロール次は、AbletonのJesse AbayomiがPushを限界まで追い込むビデオ2本をご紹介しましょう。AbayomiはPushのパワフルな機能をいくつか紹介し、リアルタイム・ドラミング、ステップ・シーケンシング、マクロエフェクト・コントロール、サンプル・スライシングを使用して彼の最新トラック『Chemistry』を演奏しています。2つ目のビデオではすべての種明かしがされているので、年末年始の休暇中にビデオのヒントをもとに独自のアイデアを実現してみるのはいかがでしょう。 JesseによるPush向けLiveセット構築の手順説明を含む記事全文を読む. 4/ Kawehiがニルヴァーナの『ハート・シェイプト・ボックス』をカバーこちらも、声と最新テクノロジーが古い観点に新たなアングルをもたらす好例です。『ハート・シェイプト・ボックス』は哀愁と苦しみに満ちたニルヴァーナの作品のひとつですが、Kawehiはこれをライブ・ルーピングとリピッチ・サンプルを使用して斬新なカバーを作り上げています。5/ Ira Glass、理想との隔たりを埋めるには最後は元気の出る記事で締めくくりを。クリエイティブな目標と自分の才能にあまりにも大きなギャップがあるように感じられるなら、このビデオをぜひご覧ください。このビデオは、悪戦苦闘しながらも懸命に取り組む期間がいかにクリエイターにとって重要なものであるかを語るラジオ司会者Ira Glassの独白に鮮明な感情をもたらします。苦しみに飲み込まれてはいけません。すべては、あなたが内に秘めるアーティストになるための過程の一部なのです。

2014年総まとめ:人気チュートリアル5本をご紹介

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2014年総まとめ:人気チュートリアル5本をご紹介

音楽制作において確実なこと、それは、学ぶべき新しい事柄に終わりはないということです。知識には上限がないことを自覚しておくことは、自己満足に対する最大の防御策となります。もちろん大変ではありますが、たくさんの有益な情報が入手可能であることも事実。この記事では、2014年に紹介したチュートリアルの中から新しい知識と新たな視点を与えてくれる5本を厳選。コンボリューション・リバーブからMax for Live自作パッチングまで、ビデオで紹介されているアイデアは、より満足のいく音楽制作への扉を開いてくれることでしょう。 1/ インパルス・レスポンスを収集する

アーティスト・インタビュー2014:人気記事5本をご紹介

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アーティスト・インタビュー2014:人気記事5本をご紹介

Abletonが2014年に学んだこと。それは、サウンドに境界はないということです。音楽とは、枠組みを打ち破り、期待を上回るものなのです。プロデューサー、ミュージシャン、DJたちは、絶えず未知の音を探求し、オーディオの扱いにおける大きな可能性に光を当てています。今年示された多様性と革新性を讃える意味で、Abletonは、音楽を超えた世界にハイライトを当てたアーティストのインタビューから5本を選出し、改めて紹介することにしました。ブラジルのアンダーグラウンド事情から黒海でのフィールド録音まで、世界各地のAbletonコミュニティに生まれたクリエイティビティの持つパワーと可能性についてのストーリーをどうぞお読みください。 David Rothenberg:虫の音楽虫については、やっかいなものとして考える人がほとんどです。David Rothenbergにとって、虫は、創造の根底にある原始的なリズムへと導いてくれるもの。制作で選択肢が足りない気がしているのであれば、Davidによるこのショート・エッセイが視点の変化をもたらすきっかけとなるかもしれません。美しい音は、ありそうもない場所に隠れているもの。実はあなたのすぐ近くにあるのかもしれないのです。虫を使った音楽制作に関するDavid Rothenburgの記事を読む Archie Pelago:クリエイティブ・コレクティブ Mary Anne Hobbsのためのセッション録音を行うArchie Pelago ニューヨークのグループArchie Pelagoは、伝統的な楽器演奏と現代的なエレクトロニクスの狭間で制作を行っています。即興的なその制作スタイルは、偶然性とグループ内の相互作用をエネルギーとしつつ、それぞれが使用する3台のコンピューター・セットアップがワークフローには組み込まれています。制作とパフォーマンスにLiveを使用する彼らの手法は極めて優雅なもので、表現を抑止するのではなく実現するテクノロジーの好例ともいえるでしょう。彼らのインタビューでは、彼らの生まれ持つ才能がLiveによって最大限に高められているその秘密を知ることができます。 次のブラジル:リオとサンパウロの新たな音楽 リオのCarrot Green ワールドカップは、ブラジルのアンダーグラウンド音楽シーンを掘り下げる最高の機会となりました。お祭りムードの下では、経済的および社会的構造の複雑さが、若いアーティストたちが音楽で生計を立てることを難しくしています。このような苦難にもかかわらず、この記事で取り上げた3名のアーティストたちが見せる情熱と熱心さは、メインストリームの水面下で盛り上がりつつある良質な音楽への気付きとインスピレーションあふれる洞察を与えてくれます。 ブラジルのアンダーグラウンド音楽について読む Soundwalk Collective:ソニック・ノマド パリのポンピドゥー・センターでライブを披露するSoundwalk Collective Soundwalk Collectiveは、自身の旅と体験を、つかみどころがなく大いに興味を誘う彼らのパフォーマンスの素材として使用しています。地域性の高い彼らの作品は、一般的な音楽形態の型を打ち破り、オーディオの百科事典と音の旅行記という形を採っています。Berghainの共鳴音からパティ・スミスとのコラボレーションまで、Soundwalk Collectiveのストーリーは、音楽を超えたオーディオの可能性に言及しています。インタビュー全文を読む. Quantic:ナチュラル・アトラクション最後は、QuanticことWill Hollandが国をまたぐレコーディング・プロセスについて語ったインタビューです。そのクリエイティブ・メソッドとは、ときにはただ1曲のレコーディングのために大陸や時間帯を超えて旅するというもの。可動性は、プロデューサーやミュージシャンが利用できる最も強力な新ツールのひとつ。Quanticのストーリーは、デジタル・ドメインにおける文化交流の可能性を紐解くものとなっています。記事をチェック.

ヘビーなアナログ:Flatpackから新Pack登場

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ヘビーなアナログ:Flatpackから新Pack登場

Flatpackの2つの新しいPackは、アナログのすばらしい温かみと特性をデジタルの世界に注入する機会を提供します。多用途性と奇異さの優れたバランスを備えたAnalogik WavesとAnalogik Drumsは、精緻にサンプリングされた有名シンセとモジュラー・ドラム・サウンドをLiveにもたらします。 Analogik WavesAnalogik Wavesは、MacBethやCwejmanといった一流メーカーのモノ/ポリ・シンセ・サウンドから構成されています。どのサウンドもマルチサンプリングされており、アーチファクトのない完璧なレコーディングのアナログ・シンセが楽しめます。ベースをリードとして、パッドをドラムとして使用することも可能。エンベロープを調整してリピッチしましょう。繊細で美しいものから未加工の粗いものまで、膨大なバラエティを提供します。また、ほとんどのパッチではアナログの特性でもある不安定さをコントロールすることも可能となっており、ピッチの揺れや一定性を操作できます。1,000を超えるサンプルを使用して、独自のユニークなパッチを構築したり、80のモノ・プリセットと40のポリ・プリセットを活用したりできます。Analogik DrumsAnalogik Drumsは、数々のモジュラー・シンセを活用しパンチの効いたハーモニック・ビートを提供します。典型的なエレクトロの打音から分類が難しいモダンなグリッチまでさまざまな音を収録しており、一般的なコンテキストにも、より斬新なコンテキストにも対応します。膨大な数の打音が40のキットにあらかじめアレンジされており、また各キットにはそれぞれを活用できるようさまざまなマクロが用意されています。さらに、10のキットにはあのCwejman FSH-1を含む多数のリング・モジュレーターが使用されており、より幅のあるドラム・サウンドを提供します。

F.X.Randomiz: シュトックハウゼン、Push、サイバネティック・コード

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F.X.Randomiz: シュトックハウゼン、Push、サイバネティック・コード

カールハインツ・シュトックハウゼンを取り巻くイメージは、称賛と誤解が均衡しています。時として論議を呼ぶ存在であったことは確かですが、シュトックハウゼンの革新的な電子音楽作品、オペラ大作、管弦楽曲、合唱曲、器楽曲、そして電子音楽の理論的解釈、音響空間、偶然性の音楽への貢献は、20世紀後半の「アヴァンギャルド」な音楽とポピュラー音楽の両方に直接または間接的に影響を与えています。 シュトックハウゼンの莫大かつ多様な作品には、比較的頻繁に上演されているものもあれば、ヘリコプターが利用可能かどうかで上演の可否が決まる作品や、技術的に極めて要求度が高く実質上上演不可能なものもあります。そういった作品のひとつ、『Expo für 3』は、完成後43年の月日を経て初めて上演されました。難解でグラフを用いて記譜されている『Expo für 3』の「サイバネティック」な楽譜を興味をそそる音楽作品へと変換するという挑戦に、Mouse on Marsとの作品で知られるサウンド・アーティストのF.X.Randomiz、ボーカリストNatascha Nikeprelevic、ボーカリストでシュトックハウゼンと同じドイツ出身のMichael Vetterが取り組みました。3名は、『Expo für 3』のリハーサルとアプローチへの微調整に2年をかけ、上演後、シュトックハウゼン出版社の公式レコード・レーベル用に作品をレコーディングしました。AbletonはF.X.Randomizにインタビューを敢行。『Expo für 3』上演実現のためのPushとLiveの使用方法、エレクトロニックな要素と人間的な要素の相互作用を調整し、極端な即興をシュトックハウゼンの楽譜への忠実性でバランスをとるために3名のミュージシャンが用いた手法について話を聞きました。 『Expo für 3』の上演が困難な理由は何ですか?1970年に書かれてから、『Expo für 3』は一度も上演されていません。その記譜法が非常に独特で、上演は不可能だと考えられていました。この記譜法はサイバネティック楽譜ともいえるもので、固定の音、デュレーション、メロディ、リズムではなく、進む方向の指示のみが記載されています。この作品は、絶えず変化する音楽の流れに対応できる演奏者を想定して作られています。周期的に作品に現れるランダムな短波ラジオ信号が演奏者を新しい方向へと押しやるからではありません。おそらく、一方で即興、またもう一方で楽譜の厳守というこの特殊な組み合わせのせいで、綱渡り的な危険をはらむこの作品の上演に試みる者がいなかったのでしょう。それでは、『Expo für 3』上演を試みるというアイデアはどこから?象形文字のようにしか見えない楽譜で書かれたこの作品の世界初演とそれに続くレコーディングに私が参加できたのは、Michael Vetterがこのトリオのメンバーだったからです。彼は、ミュージシャンそして演奏家として1960年代にシュトックハウゼンと仕事をし、いわゆるサイバネティック楽譜の絶対的権威として知られていました。シュトックハウゼンとMichael Vetter(のちにNatascha Nikeprelevicも)にしか、この楽譜の読み方は分からないという状態だったのです。Michaelは、『Spiral』という独奏曲を1970年の大阪万博での初演で演奏し、シュトックハウゼン本人の監督の下、1996年にCD用にレコーディングしました。その後、彼とNatascha Nikeprelevicが二重奏曲『Pole』を2008年に初演し、2012年にシュトックハウゼン出版社のためにCDをレコーディングしました。三重奏曲の『Expo』でサイバネティック作品の三部作を完結させようと考えたのは自然な流れでしょう。2名のボーカリストが、サウンド・パレットをエレクトロニクスで拡張したいと考えたのです。 『Expo für 3』世界初演ビデオ(一部) このプロジェクト参加にあたって何か音楽的なトレーニングは行いましたか?ここではクラシック・ピアノの練習よりも独学の電子楽器とサウンド処理の知識の方が役立ちましたね。楽譜の読み方を知っていたこと、しばしば聴衆として、そして時に演奏家としていわゆる「芸術音楽」の世界における経験があったことは無駄ではなかったと思います。『Expo für 3』では、新しい方法での演奏が要求され、これまでに得た技術や習慣に頼ることができないような楽器を使用したいと考えていました。『Expo für 3』のサイバネティック楽譜に使用されているシンボルについていくつかご説明いただけますか?まず目に付くのはプラス記号とマイナス記号で、タイムイベントごとに最大4つあります。このプラスとマイナスの記号は、強度(音量)、音域(ピッチ)、音価(デュレーション)、分割(リズム区分の数)のパラメーターに割り当てられています。これら4つのパラメーターのどれにプラスまたはマイナスが適用されるかが示されている箇所はほとんどありません。つまり、プラスかマイナスの記号が1つ記載されている場合、それをどのパラメーターに適用させるかは私の自由だということです。しかし、その決定が私そして他の演奏者にもたらす結果も認識しておく必要があります。さもなければ、抜け出せない危険な領域へとあっという間にはまり込んでしまうことになります。また、拡張と圧縮を示す特別な記号もあります。中心点から2方向へと向かう拡張、または、2つの極から中央値に戻る圧縮です。これを理解するための最も簡単な方法として、ピッチの例があります。圧縮すると高いピッチが下がり、同時に低いピッチが上がります。これと同じ原理が他のすべてのパラメーターにも適用されます。ピッチが中央に収束すると同時に、静かな音は大きく、長い音は短く、複数に分割された音は縮合されます。この演奏方法の習得には、ものすごい集中力と、何よりもたくさんの練習が必要です。即興演奏中、他の演奏家とラジオ信号に反応している間は、シンボルが何を意味しているのかを考える時間はありませんから。他にも、さらに抽象的な指示を示すシンボルがあります。たとえば、「疲れるまで繰り返しこの修辞を演奏する」などです。また、一定のところである演奏者が別の演奏者に対していかに反応するべきかを指示しているシンボルもいくつかあります。 『Expo für 3』の楽譜、Push、短波ラジオが置かれたスタジオ トリオで唯一の非ボーカリストとして、技術面でこの作品にどのようなアプローチを採りましたか?また、LiveとPushを使用することとなったいきさつについてもお聞かせください。楽譜には指示はあっても絶対的数値は書かれていないので、コンピューター、特に、楽譜の構成に沿うよう活用できるMax/MSPパッチに楽譜の解釈の一部を任せるのは道理にかなっていると思います。ただ、こういったシステムは、2名のボーカリストとの即興演奏に使用するには柔軟性にあまりにも欠けていて融通が利かないことがすぐ判明しました。もうひとつ私が試みたのは、強く変更を加えたボーカル・サンプルのみを使用することです。これは、こうすることで作品のボーカル要素とエレクトロニックな要素を何らかの形で結び付けることができると考えてのことでした。しかしすぐに、これは独善的過ぎるアプローチであることが判明しました。リハーサルの過程で明らかになったのは、この作品で指示されているありとあらゆるサウンド・イベントに対して、そのイベント特有の特徴や要件に合わせて調整できるパラメーターを含むサウンドを準備する必要があるということでした。また、単体のサウンドと一緒にループやシーケンスを試してみたいと思っていたのですが、この目的に最適なソリューションはLiveだというのは明らかでした。Instrument Rackと、複数のアサインおよび微調整可能なパラメーター範囲をK別に設定できるマクロ・コントロールを使用するのが、私にとってはこの作品に必要とされる複雑なサウンド変更をコントロールする理想的な方法であることが分かったのです。もちろん、リアルタイムで演奏可能でなければならなかったのと、一般的なキーボードを使用しないということを初期の段階で決めていたことも関係しています。これまで学んだ演奏パターンに陥るリスクが高すぎたからです。リハーサルを開始したとき、Pushはまだ発売されていなかったので、当時のセットアップはLaunchpad、APC40、QuNeoを使用していました。その後、Pushの話を聞いたとき、『Expo für 3』上演に必要なすべてを兼ね備えていると思い、すぐに試してみたいと思いました。Pushに触れてすぐ、楽器を演奏しているような実感がありました。それに、Pushでは、それまで3つのコントローラーを使用して行っていた操作すべてが可能でした。最高なのは、サウンドだけではなく、多様な割り当て可能なスケール同様にサウンドの演奏方法をボタンを押すだけで楽器の状態を一変させてしまうことができることでした。『Expo für 3』用のLiveセットでは、楽譜内の各イベントまたはイベント・グループに対してセッション・ビュー・トラックを割り当て、それそれに独自のサウンド・ソース。エフェクト、また必要に応じてMIDIデータを用意しています。すべて再生準備が整っているので、矢印キーを使用して次のトラックに移動するだけです。ディスプレイの視覚表示も、楽譜内の位置がはっきり分かってとても便利です。コンピューターはステージの隅あるいは袖に置いたまま、コンピューター画面だけを使用して操作できます。声を加工せずそのままの形に残すというのはもとから意図したものだったのでしょうか?『少年の歌(Gesang der Junglinge)』について考えてみても、シュトックハウゼンは声に電子的な加工を加えることを初めて行った作曲家の一人であることを鑑みても、そのようなマニピュレーションに反対しないだろうと思うのですが。 カールハインツ・シュトックハウゼン『少年の歌(Gesang der Junglinge)』1955年 確かに、楽譜に声に変更を施すことを禁じる指示はありませんし、そうすることは選択肢として明白なものに思えるかもしれません。しかし、Michael VetterとNatascha Nikeprelevicの気心の知れた共演の様子を目の当たりにし、また彼らの声がもたらし得る信じられない程のサウンドのスペクトルを耳にすれば、彼らの声に電子的処理を加えることは冒涜にも等しいことであることは明らかです。シュトックハウゼンが1950年に『少年の歌』を制作したとき、声と電子工学を組み合わせることは極めて革新的なことでした。しかし、今では声をマニピュレートするのはジャンルに限らずよくあることです。ある意味、声が電子的環境に適応したといえるかもしれません。だからこそ、逆のことを行い、電子的に生成されたサウンドとシーケンスに、声のようなオーガニックな特性を加える試みこそ興味深いと思えるのです。『Expo...

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Laurent Clerc aka Little Peopleが私的なヒップトロニック・オデッセイ『We Are But Hunks Of Wood』をリリースしてから2年が経ちました。アコースティック弦楽器、ベル、タイトなビートをステレオ・フィールドにまるでオーナメントのように精緻に配置した作品です。このプロセッシングの多くは、Clercがこのアルバムのために構築したLiveインストゥルメントとエフェクトによりもたらされたもの。今回、このパックをダウンロードして独自の制作に使用できるようになりました。Abletonは、Clercにアメリカ合衆国での生活や『…Hunks Of Wood』以降の変化について話を聞きました。 アメリカ合衆国への移住はどのような影響を与えていますか?個人的な生活とミュージシャンとしてのキャリアのバランスを取るのは難しいと思いますが。アメリカへの移住は、かなり大きな出来事でした。妻と3歳の双子を連れての引っ越しでしたので。アメリカへの移住を決めた大きな理由のひとつは、自分のミュージシャンとしてのキャリアでしたが、同時に、妻や子供たちとより長い時間を過ごすためでもありました。かつては、いったんツアーに出るとアメリカに6週間滞在し、そのあいだ、妻は一人で小さな双子の世話をしなければなりませんでした。誰にとっても良い状況とは言えませんでした。今のところ、移住の結果に非常に満足しています。アメリカにいるということは、いつでも音楽制作に没頭できるということです。ご自身の音楽がアメリカで好まれていることについてはいかがですか?ツアーについてもお聞かせください。私の音楽がアメリカ文化から生まれたヒップホップの影響を受けているということが、アメリカでの人気に関係しているかもしれません。よくは分かりませんが。アメリカでの成功は、ユーザーの嗜好に合わせて音楽を選択してくれるアルゴリズムを使用しているPandoraと呼ばれるオンライン・ラジオ・サービスのおかげだと思います。Pandoraはローンチ当時は世界中で使用可能でしたが、アメリカ以外の国ではストリーム単位のロイヤリティが高額であるため、ビジネス・モデルとして機能しないことが判明しました。そのため、アメリカ国内限定のサービスとなったのですが、どういうわけか私の音楽が好評を得ています。ツアーも成功を収め、今週2014年最後のライブを行う予定です。たくさんの人々、特に小さな街に住む人々が自分の音楽を知ってくれていて、好んで聴いてくれているということに今でもとても驚いています。来年からはライブの内容を変えていこうと思っています。 『Offal Waffle』(Little People『We Are But Hunks Of Wood』より) 『We Are But Hunks Of Wood』から2年が経ちました。この間に制作方法に変化はありましたか?制作方法はひっきりなしに変わっています。新しいプロセスと制作手法を探すことは、クリエイティブなプロセスへの意欲になっています。シンセシスの知識は間違いなく向上しましたね。モジュラー・シンセを使用し始めたので。それに、サウンド生成とシーケンシングにかなりのiOSアプリを使用しています。タブレットは触知性に優れているので、シンセの操作性がずっと向上します。古いパッチを見直してみたのも面白かったですね。モジュレーション・オプションを追加することで、サウンドをさらに強化することができました。SamplerインストゥルメントにFMを追加するのは、私にとって気付きでした。サウンド・デザインの側面に取り組むことは楽しくて、今後のプロジェクト用の新しいサウンド・パレット作成へのアプローチの方法に間違いなく影響を与えているはずです。Laurentによるインストゥルメントとエフェクトの実演の様子を聴き、パックをダウンロードしてお試しください。Little Peopleは2~3月にかけて北米ツアーを行います。詳しくは、FacebookおよびSoundcloudをご参照ください。

AASから新しいシネマティックPack登場

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AASから新しいシネマティックPack登場

AASによる2つの新Packは、ワイドスクリーンでの使用にぴったり。ワクワクさせるエレクトロアコースティック・サウンドから琴線に触れる穏やかなパッド・サウンドまで、AASは、2名の作曲家/サウンド・デザイナーとコラボレートし、幅広い雰囲気に合う2セットのプリセットを作成しました。 Entangled SpeciesTensionを使用して構築されたEntangled Speciesは、アンビエント・テクスチャからエッジの効いたサウンド・デザインまでありとあらゆる範囲にわたるアルペジオ、パッド、エフェクトのコレクションです。カナダのプロデューサー/映画音楽作曲家のDavid Kristianとのコラボレーションによりデザインされたこのプリセット・セットは、ダークで洗練されたサウンドを必要とするあらゆるジャンルに適しています。すべてのサウンドには便利なマクロがあらかじめ用意されており、Pushにも完全対応しているのでライブでも簡単に微調整が可能です。 Entangled Speciesを試聴 AngelicalsAngelicalsは、その美しいタイトルからも想像できるように、1980年代のSF映画にぴったりのレトロフューチャリスティックな音色を集めたコレクションです。『ブレードランナー』に『ターミネーター』をひとしぼり、と言えば想像できるでしょうか。ヴァンゲリスやジャン・ミッシェル・ジャールといったシンセ界のパイオニアにインスピレーションを受けたこのパッチは、変化するテクスチャや陰鬱なサウンドスケープがその要です。明るめのパッセージには、きらびやかで痛烈なトーンを。デザインを担当するAndre Ettemaは、ハイエンド作品の制作にも携わる優秀なデザイナーです。こちらの101のプリセットにもマクロを用意。もちろんPushにも対応しているので、すぐにSF大作の制作にとりかかることができます。 Angelicalsのクリップ例 PackページでAngelicals & Entangled Speciesについてさらに詳しくホリディ・シーズン特別提供中の今なら、Pack全品が20%オフ!どうぞご利用ください。

ジェームス・ホールデン:モジュラー・マインド

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ジェームス・ホールデン:モジュラー・マインド

モジュラーについて語るのに、ジェームス・ホールデン(James Holden)より最適な人物はいないでしょう。Max for Liveとモジュラー・システムは彼の音楽に欠かすことのできない部分ですが、その一方で、彼はマシンに潜むオーガニックさや人間味を強調することも欠かしません。ジェームスは、モジュラーを持ち出し、慌ただしいツアー・スケジュールの中、扱いの難しいモジュール群を使用することを厭わない数少ないアーティストのひとりです。さらには、微妙に揺れるミュージシャンのテンポにモジュラーが反応するようにする独自のソフトウェアを開発しています。モジュラーを選択しプラグインを捨てること、Max for Liveでモジュラーをコントロールすること、彼の新作パッチGroup Humanizerについての計画について、ジェームスに話を聞きました。モジュラーをツアーに持ち出すのはどのような感じですか?飛行機に乗るときは、手荷物として預けるのが恐ろしくて。というと、手荷物として持ち運びを?毎回、保安検査機にかけるんですよ…。ある意味、爆弾を持ち運んでいるようなものですよね。精密機器ですから。それに、少しだけサイズがオーバーなんです。他にも、付属品、サウンドカード、コントローラーも持ち運ばなければいけない。ペリカン製のケースに入れて、手荷物として持ち歩いています。一番の問題は持ち運びですね。でも、ステージではモジュラーはすばらしい。だんだん、どのモジュールが特に安定性に優れているのか分かるようになってきました。あるステージでMIDIインターフェースが何度か不具合を起こしたことがあって、より信頼性に優れ、湿度や熱や寒さに強い別の機材と取り替えました。そもそも、モジュラー・シンセシスにご興味をもたれたきっかけは?もう何年も前、大学性の頃、音楽制作の方法を模索し始めたときに、インターネットに初めて触れ、音楽制作に関するサイトを片っ端から読み始めました。1990年代終わりのあの頃はモジュラー・シーンが一部存在していて、「面白そうだな」とは思っていましたが、自分にはまだまだ手が出せないものでした。学生には高嶺の花で、今よりもずっと高価でした。ただ、その頃初めて使用し始めたBuzzというソフトウェアは、モジュラー・デザインを採用していました。フラットなページにモジュールをドロップしてつないでいく方式です。機能には限界がありましたが、ハッカーたちがクロス・モジュレーションなどを使ったモジュラー・アイデアを試す方法を見つけていました。なので、モジュールは当時から私の音楽制作プロセスの一部でした。Buzzですべてを覚えたといってもいいでしょう。その後、Max MSPなどを使用するようになって、キーボードを何台か購入しました。プラグインは退屈だと思いました。当時、コンピューターで作成した音楽にリアリティを加えるため手を尽くしていました。1枚目のアルバムのことを振り返ってみても、あれは地獄でした。タイム・ウォブルやピッチ・ウォブルを再録して追加し、リアルで生き生きとしたサウンドへと変えていく作業なのですが、コンピューターを多用しなければこれをしなくて済むと身をもって学びました。アナログ・マシンには自然と生まれる要素ですから。最初のモジュラー購入を決めたきっかけは何だったのか、思い出せません。それを決めたのかどうかも覚えていないんです。初期に購入したマシンはあまり良いものではありませんでした。DoepferとMake Noiseを購入してからというものの、それらは使用したことがありません。やっとマイ・マシンが見つかったと思いましたね。これまでやって来たことの点と点がつながったような気がしました。 音楽制作の方法はどのように変化しましたか?ラック使用前と使用後で違いを見分けることはできましたか?使い始めて、自分なりの使用方法を見つけるまでには、しばらく時間がかかりました。もちろん大きな違いがありました。今は、前よりもすべてのサウンドにずっと満足しています。それに、ラックを使用して書いた初めての作品は『Triangle Folds』というトラックだったのですが、このトラック用に、ポリフォニック・ボイス・ルーティングを扱ってモジュラー内にポリシンセを構築するMaxパッチを作成しました。ポリシンセの仕組みについていろいろといじり回すのは最高に楽しいことでした。かなり早い段階で、自分にとってモノシンセはそれほど興味深いものではないと分かりました。キーボードを演奏すると、必ず片手が完全に鍵盤にとられます。そのトラックは、ポリシンセを作成していろいろと触らなければ生まれなかったでしょう。マシンを構築してルールを設定するとき、そのルールの枠内でどのようにプレイするのか、どの音を加えるのか、どのようにフィルターを調整するのかが面白いのですが、それがプラグインにはないのです。それに、コントロールを握っているのは自分だと感じます。気の利いたことのできるプラグインがあれば、「これをやるわけにはいかないな。他にたくさんの人がやってるなら、意味がない」と思うのです。誰かの作品でデモ・パッチのプリセットやプラグインを耳にすることがよくあるけれど、あれを聞くと、そのアーティストは私にとって死んだも同然です。二度とそのアーティストの作品を聞くことはないでしょう。退屈すぎます。技術の習得はいかがでしたか?モジュラーに関する専門知識を学んで自由自在に駆使できるようになるまでどのくらいかかりましたか?私の場合はけっこうスムーズでした。Max MSPとBuzzの知識があったので、理解しやすかったのもあります。2年かそこらでパッチをだいたい理解して、モジュールも尽きてきました。自分には手に負えないような複雑なものを構築することもできたのですが、そんなことも起こりませんでした。それに、Max MSPの腕が上がったこともあって、Max for Liveとモジュラーのハイブリッドを作るべきだと感じたのです。コンピューターにもコンピューターなりの利点があって、モジュラーにもモジュラーの良さがありますから。私の線引きはそこです。ルーク・アボットはモジュラーのシーケンシングをよくやっていて、モジュラーでリズム・パターンを生成しています。彼は4MSシャッフル・クロック乗算器が気に入っていて、これを構築するよう言われたのですが、このパッチを使うと必ずすべてのケーブルをシステムから抜いてギブアップする羽目になります。私にはどうしてもダメですね。コンピューター内かMaxでタイミング情報を作成して、シーケンシングのタスクすべてをコンピューターで行うのが、自分には一番上手くいくようです。今はパラメトリック・シーケンシングに凝っています。コンピューターでうまく機能しますが、すばやくことを終わらせて満足のいく結果を出すための仕組みを学ぶ必要がありました。Max for Liveで構築したツールキットを持っていますが、それがだいたいすべてのことをやってくれます。すべてをひとつのシステムとしてとらえているんです。システムについて理解することは、迅速な操作と結果を出すことにつながり、さらには『The Inheritors』の変わったシーケンスやクロス・モジュレーションへとつながりました。すべてはあっという間でした。1時間ほどシステムを触っていれば、それがうまくいくかどうかが分かります。 The Inheritorsをライブ演奏するジェームス・ホールデン(2013年) ここ数年、モジュラー市場が再び復活の兆しを見せていますが、好奇心をそそられた人々にとって、モジュラーに取りかかることは経済的にも知識的にもまだまだ容易ではありません。こういった人々にとってのエントリー・ポイントについてどうお考えですか?Buzzがまた盛り上がっているのは知っていますが、人にすすめるかといわれると分かりません。ルークはReaktorを使用しています。私はあまり詳しくありませんが、モジュラーの世界へと第一歩を踏み出すにはよさそうなツールです。断言はできませんが。人によって取りかかり方は異なります。たとえエフェクト・ペダル数台とコルグのVolca1台だけでもモジュラーのようなことができないわけではないですし、周波数変調やフィルターなどのようにいろいろとつなげてみてどうなるか試行錯誤し欲しいサウンドを引き出す方法を徐々に学んでいくという考えが大切だと思います。そこに至るまでの間は、いろいろと試してみるしかありません。モジュラー・シンセを扱うことで得られる価値というのは、この世界に踏み入るのに要求される熱心さから生まれるものなのかもしれませんね。そうです。今、スタジオにはキーボードが数台ありますが、今のスタジオに引っ越してからこれまで接続したことがありません。モジュラーとMax for Liveしか必要ないからなんです。使用しているのはこれだけなんです。極めて自由な制約のないインストゥルメントではありますが、コンピューターに比べれば自由度はぐっと下がります。のめりこんでいるはこのインストゥルメントひとつだけです。モジュラーのワークフローが気に入っている理由について、意見をお聞かせいただけますか?システム自体についてだけでなく、作曲や音楽の構成とアレンジの方法一般についての考え方についてお話しいただければと思うのですが。そうですね。どうしてもライブでの作業が多くなります。モジュラーを自動化するのは不可能ですから。できないわけではありませんが、やろうとすれば時間を無駄にするだけです。Expert Sleepersを使用したり、これのMax版を独自に作成したりもしています。それでもやはり自動化はよくないので、ライブ・テイクで行って録音するしかありません。私にとって、これがモジュラー導入による一番の大きな変化だったと思います。それまでは、MIDIコントローラーでオートメーションを記録し、細かな修正を加えたいという気持ちを抱えてうずうずするのが落ちでした。音楽とはライブ・パフォーマンスであると、私は強く信じています。いかにデザインされているか、処理がなされているか、思索がなされているかにはほとんど興味がありません。私が好きなミュージシャンは、アドリブ演奏が得意なアーティストばかりです。そしてモジュラーは、まさに私をその方向へと突き動かす原動力です。これは同時にとりとめもない即興演奏的な音楽や非常に平坦な構成のループベースの音楽に向かわせることにもなるので、ちょっとしたトレードオフではありますが。必ずしもギターのようなアレンジになるわけではありません。うまくバランスを取ることを学ぶのが大切です。スタジオに戻るにあたって、モジュラーを使用して単に音量が上下するトラックではなくしっかりとした構成のある楽曲を作る方法を模索したいと思っています。あなたにとってのモジュラーの魅力は、自分の癖やパターンに陥るのを防ぎ、ワークフローを発展させ続けてくれる能力にあると思いますか?はい、といいたいところですが、私は傾向やパターンに従う方だと思います。でも、そのパターンに満足しているのでは?パターンにそれなりの意味があると思うからです。かなり自由に変更可能だし、他の要素を取り込むこともできます。モジュラー・サウンドはライブ楽器ともうまく調和するんです。デジタルではそう簡単にはいかない。一緒にするとしっくりこないんです。モジュラーにハイハットを重ねると上手くいく。基本的に、何かを作るときは、ポリシンセを構築してから適当に配線していきます。これが私のパターンなのですが、毎回まったく違った方向に進んでいくんです。今のところはまだたくさんの引き出しがありそうです。ライブ・ミュージシャンとの演奏はいかがですか?テンポは一定ですか?それとも、より自由なスタイルで、変化するバンドのテンポにモジュラーを合わせるといった感じでしょうか?今は、AbletonとたくさんのMax for Liveデバイスでモジュラーを動かしています。最終的には、今おっしゃったようなことをやりたいなと思っています。コンピューターとシンセはドラマーに追従が可能なので、「Group Humanizer」と名付けたMax for Liveパッチ・セットを開発しています。技術的な話になりますが、あるミュージシャンの間違いが、これまでにこのミュージシャンが行った間違いだけでなく、他のミュージシャンが行った間違いとも相関するようになります。つまり、すべてのチャンネルがヒューマナイズされ、チャンネル同士に相関関係が生まれます。たとえば、ドラムマシンがシンセに相関し、シンセ内のエラーがドラムマシンに反映されるようになるのです。これをステージで使用したことはまだありません。エキサイティングな機能ですが、ステージで披露するにはもう少し信頼性を高めなければなりません。大規模なライブでベータ・テストを行う訳にはいきませんから。 Abletonは今後Group Humanizerについてジェームスに話を聞く予定です。ジェームス・ホールデンについて詳しくは、ウェブサイト、Facebookページ、Soundcloudをご覧ください。

Free Stuff Friday: 大地を感じさせるフルート、ハウス・スタブ、テレビゲーム効果音

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Free Stuff Friday: 大地を感じさせるフルート、ハウス・スタブ、テレビゲーム効果音

今週のFSFは、ユニークなものからなじみのものまで、バラエティに富んだサウンドをご紹介。作品に彩りを与えるのに最適です。紹介するフルートのサンプル、ハウス・スタブ、テレビゲーム・サウンドは、そのままでも便利に使用できますが、リピッチやワープ用の素材として使用すると優れた効果を発揮します。そのままの形でセットに追加するも、全く新しい何かへと変形するも自由です。 ヴードゥー・パイプ最初にご紹介するフルート・サンプルは、その気息音が思ってもみなかった活躍を見せます。これらのサンプルは演奏家の実際の演奏を録音したもの。だから、サウンドの自然な音色とアーティキュレーションには、一般的なシンセ・フルートに比べても大きな違いがあります。リバーブ強めの和音を厚くレイヤーしてみたり、パンチの効いたサンプルを使用したAfro DJ Macのドラム・ラックにかけてみるのも面白いでしょう。 Afro DJ Macがフルート・サンプルを操作する様子 フルート・サンプルをAfro DJ Macからダウンロード グッド・ライフハウス・スタブは平凡ではあっても時代を超越したタイムレスなサウンド。今でも、80年代や90年代にも増してよく使用されています。ハウス・ミュージックという縛りから自由になったこのサウンドは、テクノ、トラップ、EDMでも耳にすることができます。Operatorから生まれたこのパッチにはマップが必要なマクロすべてが用意されていますが、もちろん、手を加えるのも自由です。 Inner Cityの「Good Life」で使用されているクラシックなハウス・スタブ ハウス・スタブをAudio Bombsからダウンロード バシッ、バーン、ボカッ!テレビゲームのサウンドは聴くだけでも楽しいものですが、このゲームサウンド・サンプルのセットは、想像以上に融通の利く素材です。テレビゲーム・サウンドは、インストゥルメンタル・ヒップホップやグライムといった新しいジャンルで大きな役割を果たしていますが、ちょっとしたクリエイティブな工夫で、これらのサウンドをあらゆるジャンルの音楽に活用することができます。8ビットの爆発音からパンチ音まで、このセットには、たくさんの可能性が秘められています。 Dusty Roomのテレビゲーム・サウンド テレビゲーム・サウンドのサンプルをDusty Roomからダウンロード来週もFree Stuff Fridayをお楽しみに!紹介したい無償ツールがあれば、Facebook、Twitter、Google+にご投稿ください!その際は、ハッシュタグ #FreeStuffFriday をお忘れなく。

Skinnerboxの新Pack:TIME & TIMBRE

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Skinnerboxの新Pack:TIME & TIMBRE

ベルリンを拠点に活動するデュオSkinnerboxは、抗えないほど熱狂的で完全即興のパフォーマンスによる、レイヴやクラブでのスリリングなライブ・アクトで評価を得ています。連続プレイが最大12時間に及ぶこともあるSkinnerboxは、リズムを中心とする自身のライブ・セットの新鮮さを保ち、バラエティに富んだ魅力的なものにするための数々の戦略と独自のソリューションを開拓してきました。幸運にも、デュオを構成するOlaf HilgenfeldとIftah Gabbaiは才気あふれるプログラマーでもあり、開発したツールを公開しています。今回紹介するのは、そんな彼らが開発したTIME & TIMBREです。3年に渡る開発研究から生まれた、Max for Liveパーカッション・インストゥルメントおよびタイム・エンジンです。TIME & TIMBREは、ステップ・シーケンスやパーカッション・シンセシスといったなじみのあるコンセプトをベースとしながら、一般的なドラムマシンを大きく上回る機能を提供しています。機能の一部を紹介したビデオをご覧ください。PackページでTIME & TIMBREについてさらに詳しくホリディ・シーズン特別提供中の今なら、Pack全品が20%オフ!どうぞご利用ください。TIME & TIMBREを活用して制作されたSkinnerboxの最新EPも要チェック!