授業1:MIDIでメロディーを書いてみよう

授業の概要 

作曲と音楽理論を初めて学ぶときは、気後れしてしまうものです。 ピアノ鍵盤の白と黒の配色を利用して、“正しい音符や間違った音符”ということを意識させることなく、楽しく授業を行いましょう。また、耳で聞いて音階(スケール)の理論を学んでもらうこともできます。 この授業では、生徒が白鍵と黒鍵を使って2種類の短いメロディーを作成します。

学習の意図

  • メロディー作成の基本:優れたメロディーを構築する方法や、創作の流れを妨げないようにする方法を学ぶ。
  • 基本的な音階理論の学習:一般的に用いられるいくつかの音階を特定する。ピアノ鍵盤の配色を利用してダイアトニック・モードやペンタトニック・スケールを簡単に鳴らせることを知る。

準備

  • 付属教材のLiveセットをダウンロードして、そのなかから“White Key”を各コンピュータで開く。

  • 白鍵もしくは黒鍵のみで演奏できる有名なメロディーの一覧を含む発展教材を参照して実演できるようにしておく。

授業

  • (1)はじめに:音階って何だろう? 白鍵だけを弾いて音楽的に聞こえる音の組み合わせを生み出す様子を実演する。 黒鍵でも同じことを行います 。

  • (2)練習時間:白鍵と黒鍵でメロディーを聞く。 ボランティアで生徒が白鍵と黒鍵を使って、マイルス・デイビスの“So What”を即興で演奏する 。

  • (3)創作実習1: 白鍵を使う。生徒がファイル“White Keys”を開き、用意されたドラムトラックとベーストラックにのせて、白鍵だけで独自の短いメロディーを作成する*。

  • (4)創作実習2: 黒鍵を使う。生徒がファイル“Black Keys”を開き、用意されたドラムトラックとベーストラックにのせて、黒鍵だけで独自の短いメロディーを作成する*。

  • (5)まとめ:生徒が自分のメロディーをクラスメイトに聞かせる 。

その他の実習案

* 上級レベルの生徒であれば、作成した短いメロディーのループから本格的な曲を作らせてもかまいません。

はじめに:白鍵と黒鍵のメロディー

世界中の有名な曲のなかには、ピアノの白鍵や黒鍵だけを使って演奏できるものが多くあります。 特定の鍵だけを弾くことで、生徒は音楽的に聞こえるメロディーを簡単に書くことができます。

練習:マイルス・デイビス “So What”

気後れしている生徒がいる場合は、参考になるように、マイルス・デイビスによるジャズの名曲“So What”に合わせて即興でメロディーを書いてください。 Aセクションを白鍵で弾き、Bセクションを黒鍵で弾きます。 

【動画】マイルス・デイビス “So What”

ポイント:教師自身がお手本を見せるだけではなく、生徒にボランティアでやってもらってもかまいません。 実際のピアノを使わなくても、ピアノの音を鳴らせることを知ってもらいましょう。

【注意】

  • Aセクションは0:34から始まり、16小節にわたって続きます。 そのあと、Bセクションが8小節にわたって続きます。 それから、もう一度Aセクションが8小節にわたって続きます。 この形式は何度も繰り返されます。

  • すでに旋法(モード)を教えている場合は、“So What”の旋法を生徒に伝えましょう。AセクションはDドリアン・モードで、BセクションはE♭ドリアン・モードです。

白鍵と黒鍵を使用している実例

完全に白鍵や黒鍵のみで演奏できる有名なメロディーは、ほかにもあります。その一覧を発展教材にまとめました。

【発展教材】白鍵と黒鍵を使用している実例

創作実習:白鍵と黒鍵だけでメロディーを作ってみよう 

この創作実習では、用意されたビートとベースラインにのせて、生徒が2種類の短いメロディーを作成します。 ひとつは白鍵のみを使うメロディーで、もうひとつは黒鍵のみを使うメロディーです。 

Pushを使う場合は、ノートモードの設定を“Chromatic”にしてください。 これにより、点灯するパッドが白鍵になり、点灯しないパッドが黒鍵になります。

実習の順序

  1. Liveセット“White Keys”を生徒に開いてもらう。 このLiveセットには、ビートのトラック、ベースラインのトラック、空のトラックが含まれており、空のトラックで自分のメロディーを生徒に作ってもらう。
  2. 各生徒にピアノの白鍵だけで4小節のメロディーを空のトラックへ録音してもらう。
  3. 時間がある場合は、各生徒のメロディーを授業で再生して、建設的な感想を求める。
  4. Liveセット“Black Keys”を生徒に開いてもらい、同じことをピアノの黒鍵で行う。
  5. まとめ:生徒が自分のメロディーをクラスメイトに聞かせる (5~10分)。

授業用教材

【ダウンロード】Liveセット“White Keys”

Liveセット“White Keys”には、4つのトラックが含まれています。

  • ドラムマシンによるビートのトラック

  • Dドリアン・モードのベースラインのトラック

  • エレクトロニックピアノを読み込んだ空のトラック ※このトラックで生徒は白鍵のメロディーを録音します。

  • 生徒が白鍵のメロディーの参考に使える1小節の例 ※このトラックはミュートになっています。音を聞くには、トラックを有効にしてミュートを解除します。

Liveセット“Black Keys”

【ダウンロード】Liveセット“Black Keys”

Liveセット“Black Keys”には、4つのトラックが含まれています。

  • ドラムマシンによるビートのトラック

  • G♭メジャーのベースラインのトラック

  • シンセリードを読み込んだ空のトラック ※このトラックで生徒は黒鍵のメロディーを録音します。

  • 生徒が黒鍵のメロディーの参考に使える1小節の例 ※このトラックはミュートになっています。音を聞くには、トラックを有効にしてミュートを解除します。

授業のポイント:メロディー作成の理解をうながす 

短いメロディーを作成する方法として、次のようなものがあります。 こちらのメロディーはDドリアン・モードによるもので、白鍵を使うメロディー作成で使用できます。

音の順番を変更する

3つの音を選び、繰り返しのリズムになるように演奏します。ただし、音の順番が異なるようにします。

ふたつの音でグルーヴを作る

ふたつの音を選び、グルーヴになるように即興で演奏します。

音階にそって音を少しずつずらす

4つの音を選び、繰り返します。ただし、白鍵だけを使って段階的に音を高くしたり、低くしたりします。