14. ルーティングとI/O

Liveでいう「ルーティング」とは、トラックの信号ソースの選択と送信先(トラックの入力や出力)を設定することをいいます。ほとんどの場合、ルーティングは、すべてのトラックに信号ソースと送信先を設定するセレクターがあるミキサーのトラックの入力/出力セクションで設定します。ミキサーの入力/出力セクションは、Liveの「パッチベイ」です。

入力/出力セクションは、それぞれ表示と非表示をセッションビューとアレンジメントビューから切り替えることができます。ミキサーセクションのI/Oセレクターを使用するか、または[表示]メニューの[入力/出力]オプションで切り替えることができます。

SessionMixerInOutSectionAndSectionSelector.png

ミキサーの入力/出力セクションと、ミキサーセクションの表示/非表示ボタン

クリップを再生することのできるすべてのトラックには、[入力/出力]セクションがどのトラックにも同じようにレイアウトされています。

  • 上側のセレクターペア([Audio/MIDI From])では、トラックの入力を選択します。オーディオトラックにはオーディオ入力、MIDIトラックにはMIDI入力があります。リターントラックは、それぞれのセンド(15.4)から入力を受信します。
  • モニターのラジオボタンでは、モニターモードの場合、またはトラックを通してどのトラック入力が聞こえるかを選択します。
  • 下側のセレクターペア([Audio/MIDI To])では、トラックの出力を選択します。インストゥルメントのないMIDIトラックを除き、すべてのトラックにはオーディオ出力があります。インストゥルメントは、MIDIをオーディオに変換します(4.8)。

セレクターペア上部のセレクターでは、信号のカテゴリ(オーディオまたはMIDIインターフェースを介した外部接続[Ext.]など)を選択します。このセレクターを、「入力/出力タイプセレクター」と呼びます。この信号タイプにサブセレクションまたはサブチャンネルがある場合は、下部セレクター(入力/出力チャンネルセレクター)から選択できます。[Ext.]の例では、オーディオ/MIDI入力と出力が個々に存在することになります。

14.1 モニターリング

Liveでは、トラックの入力信号をトラックの出力へ伝えることを「モニターリング」といいます。オーディオトラックがギターから入力信号を受信するよう設定されているとします。その場合、モニターされるのは、ライブで演奏されている、トラックのデバイスチェーンを介してトラックの出力に届くギター信号です。トラックの出力が「マスター」に設定されている場合、エフェクト処理や、オーディオハードウェアインターフェースにより発生するレーテンシーによりディレイされたギター信号がスピーカーを通して聞こえます。

オーディオトラックとMIDIトラックの入力/出力セクションにはモニターラジオボタンがあり、以下の3つのオプションが選択できます。

  • デフォルト設定のオートモニターリング設定は、録音操作が複雑でない場合に使用します。トラックがアームされている(録音可能な)(チャプター 16)場合、モニターリングがオンになりますが、トラックがクリップを再生している間はモニターリングが抑制されます。
ArmButtons.png

オーディオトラックとMIDIトラックのアームボタン

  • トラックがアームされているか、クリップが再生中であるかにかかわらず、トラックの入力を常にモニターリングしたい場合、[In]を選択します。トラックは録音には使用されませんが、他から(例えばReWireスレーブプログラムから)信号を取り込むのに使用されます。この場合、このトラックのクリップの出力は聞こえません。入力/出力セクションが表示されていなくても、モニターが[In]に設定されている場合、トラックのアクティベータースイッチがオレンジに表示されるのですぐに分かります。
  • [Off]を選択し、モニターリングをオフにすることもできます。外部ミキシングコンソールをモニターリングに使用したり、コンピューターを使わず「直接モニターリング」できるオーディオハードウェアインターフェースを使って「空気を介して」モニターリングされる、アコースティック・インストゥルメント録音の場合に便利です。一般的に、レーテンシーが小さい(数ミリ秒程度の)オーディオインターフェースを使うことが望ましいでしょう。モニターリングを[Off]にしてLiveに録音する場合、[Audio]環境設定の[レーテンシー]を調節するとよいでしょう。レーテンシーの調節については、プログラム内蔵のチュートリアルをご参照ください。

複数のトラックが選択されている場合、選択されているトラックのいずれかのモニターボタンを押すと、選択されている他のトラックすべてに適用されます。

14.2 外部オーディオ入力/出力

オーディオインターフェースの入力は、オーディオトラックの入力タイプセレクターで[Ext. In]を選択して設定します。入力チャンネルセレクターは、各入力チャンネルを表示します。セレクターのエントリ名の横にはメーターがあり、信号レベルと過負荷(メーターが赤く点滅します)を確認できます。オーディオインターフェースの出力の設定は、出力セレクターペアを介して同じように設定できます。複数のトラックが選択されている場合、選択されているトラックのいずれかのセレクターを変更すると、選択されている他のトラックすべてに適用されます。

選択可能な入力と出力のリストは、[Audio]環境設定の設定内容に依存します。[Audio]環境設定は、入力と出力チャンネルセレクターの[Configure...]から開くことができます。[Audio]環境設定には、[入力設定]と[出力設定]へアクセスする[チャンネル設定]ダイアログが表示されています。ダイアログでは、どの入力と出力が使用されるかを設定し、Liveで、モノラルまたはステレオペアのどちらを使用するかを設定します。[チャンネル設定]ダイアログは、コンピューターとオーディオコンポーネントの接続に関する情報をLiveに伝えます。

14.2.1 モノ/ステレオ変換

モノラル信号がオーディオトラックの入力として選択されている場合、トラックは、モノラルサンプルを録音します。それ以外の場合は、ステレオサンプルを録音します。トラックの入力がモノラルの場合や、トラックがモノラルサンプルを再生する場合でも、トラックのデバイスチェーンの信号は常にステレオになります。

左右チャンネルに別々の信号を使用して、モノラルをステレオに変えることができます。トラックがモノラル出力に経路されている場合、左右チャンネルは加算され、クリッピングを防ぐため6dBに減衰されます。

14.3 外部MIDI入力/出力

外からのMIDIは、オーディオ同様Liveへルーティングされます。MIDIトラックの[入力タイプ]セレクターから、特定のMIDI入力ポートを選択するか、外部MIDIポートすべての総合入力となる[All Ins]を選択することができます。[入力チャンネル]セレクターでは、選択されたMIDIポートの各入力チャンネルと、全チャンネルを総合した信号である[All Channels]から選択できます。オーディオ入力と同じように、入力チャンネルセレクターの各エントリの横には、チャンネル内の動きを表示するメーターがあります。複数のMIDIトラックが選択されている場合、選択されているトラックのいずれかのセレクターを変更すると、選択されている他のトラックすべてに適用されます。

14.3.1 環境設定のMIDIポートリスト

MidiPreferencesDeviceList.png

環境設定のMIDIポートリスト

[MIDI/Sync]環境設定の[MIDIポート]セクションを使って、どのMIDIポートがLiveで使用可能かを設定することができます。選択可能な入力および出力ポートはすべてここにリストされます。Liveのトラックが特定のMIDIポートへMIDIを受信/送信できるよう、トラックのスイッチを[オン]にしておく必要があります。トラックのMIDI入力/出力へは、MIDIポートを好きな数だけ使用することができます。ミキサーの入力/出力セレクターを使って、それぞれ別個にアクセスすることができます。

14.3.2 コンピューターのキーボードを使用してMIDIを再生する

コンピューターのキーボードは、コンピューターのキーボードストロークからMIDIノートを生成するのに使用できます。コンピューターのMIDIキーボードをオンにするには、コントロールバーの[コンピューターMIDIキーボード]ボタンを使うか、CTRL+Shift+K(PC)/CMD+Shift+K(Mac)ショートカットを使って[オプション]メニューからコマンドを実行します。

ComputerMidiKeyboard.png

コンピューターMIDIキーボードを有効にする

キーボード中央の水平列(文字キー)は鍵盤の白鍵に対応しており、左からC3ではじまっています。鍵盤の黒鍵は、一段上の水平列が対応しています。キーボードの下水平列の一番左の4つのキー(USキーボードの場合Z、X、C、V)は、ノート範囲のトランスポーズとベロシティの設定に以下のとおり使用します。

  • 一番左の2つのキー(ZとX)では、キーボードのオクターブ範囲を調整します。
  • 次の2つのキー(CとV)では、受信するノートベロシティを20音程単位(20、40、60など)で調整します。

コンピューターのキーボードがC3からC4の間のノートを送信するよう設定されている場合、キーは、キーボード中央の水平列(ASDF...)がImpulseパーカッションサンプラーのサンプルスロット(24.5)に対応するよう、MIDIノートにマップされています。このため、ドラムパターンをラップトップ上で再生録音することができます。

コンピューターMIDIキーボードを有効にすると、Liveインターフェースのリモートコントロール(26.2.5)にアサインされているキーを「盗用」してしまいます。コンピューターMIDIキーボードを使用しない場合にオフに切り換え、この状況を防ぎます。

14.3.3 外部シンセサイザーを接続する

外部シンセサイザーへのMIDIのルーティングは、いたって簡単です。シンセサイザーが接続されているMIDIポートに、出力タイプセレクターを設定します。出力チャンネルセレクターは、MIDIチャンネルを送るかどうかを選択するのに使用します。

トラックの入出力セクションを介したルーティングに加え、External Instrumentデバイス(24.4)を使って、トラックのデバイスチェーン内からルーティングすることもできます。この場合、1つのトラック内で、MIDIを外部シンセサイザーへ送信しそのオーディオを戻すことができます。(注: External Instrumentは、Live LiteおよびLive Introでは使用できません。)

重要:Liveで演奏するためのマスターキーボードとして、また、同時に音源として、1つのキーボードシンセサイザーを使用している場合、シンセサイザーの「ローカルオフ」機能を必ず確認してください。すべてのシンセサイザーにはこの機能が搭載されており、キーボードを音源から分離し、2つのコンポーネントを別々のデバイスであるかのように操作することができます。この機能を使えば、キーボードからMIDIを受信し、受信したMIDIやクリップからのMIDIを必要に応じて送信する、MIDIスタジオのハブとしてLiveを利用することができます。

14.3.4 MIDI入力/出力インジケーター

Liveのコントロールバーには、着信と発信MIDIを表示するLEDインジケーターが3組あります。インジケーターは、信号の存在を示すだけでなく、使用状況も表示します。各LEDでは、上側のインジケーターが点滅してMIDIメッセージの着信を示し、下側のインジケーターが点滅してMIDIメッセージの送信を示します。

ControlBarMidiIndicators.png

コントロールバーのMIDIインジケーター

3つのインジケーターペアは、以下を示しています(左から右)。

  1. Liveと他のシーケンサーとの同期(29.1)に使用される、MIDIクロックとタイムコード信号。このインジケーターセットは、環境設定のMIDIポートリストで外部同期ソースがオンになっている場合にのみ表示されますのでご注意ください。
  2. リモートコントロールされているLiveのユーザーインターフェース要素(チャプター 26)に使用されるMIDIメッセージ。
  3. MIDIトラックから、またはMIDIトラックへ送られるLiveのMIDIメッセージ。

Liveのユーザーインターフェース要素をリモートコントロールするようマップされているMIDIメッセージは、リモートコントロールアサインに「権力を奪われ」てしまい、MIDIトラックへパスされません。混乱しそうな場合は、インジケーターを見て状況を確認するとよいでしょう。

14.4 ReWireスレーブのルーティング

Liveは、他のReWireアプリケーションと連動し、ReWireマスターまたはスレーブとして動作することができます。ReWireマスターとして、Liveは、同一コンピューター内のReWireスレーブアプリケーションにMIDIを送信したり、アプリケーションからオーディオを受信することができます。

MixerInOutForMidiToAudioFromReason.png

Reasonからオーディオを受信するオーディオトラックとReasonにMIDIを送信するMIDIトラック

LiveのMIDIトラックから、Propellerhead ReasonのインストゥルメントにMIDIを送信し、オーディオトラックへオーディオを入力する方法を以下の例で説明してみましょう。

  1. まず、Liveを起動します。
  2. Liveが起動したら、Reasonを起動し、Reasonラックを設定します。
  3. MIDIトラックの出力タイプセレクターからReasonを選択します。
  4. 出力チャンネルセレクターに、現在Reasonラックにあるインストゥルメントのリストが表示されます。アドレスをとりたいインストゥルメントを選択します。
  5. オーディオトラックの入力タイプセレクターからReasonを選択します。
  6. オーディオトラックの入力チャンネルセレクターから、MIDIを送信するインストゥルメントに対応するオーディオチャンネルを選択します。
  7. オーディオトラックのモニターラジオボタンを[In]にセットします。
  8. MIDIトラックの入力タイプセレクターから[All Ins]を選択します。
  9. MIDIトラックをアームします。

これで、Liveで再生されるMIDIが、すべてReasonへ送られるように設定することができました。Reasonは、オーディオをオーディオトラックに生成し、生成されたオーディオをLiveのミキサーやエフェクトなどで加工することができます。Reasonを開かずに作業を続行したい場合は、オーディオトラックのアームを行い、録音モードにしてReasonのオーディオを録音します。

同様の手順は、External Instrumentデバイスを使っても行えます。以下の例では、トラックのデバイスチェーン内からMIDIを送信し、そのオーディオを同じトラックへ戻す方法を説明しています。

  1. まず、Liveを起動します。
  2. Liveが起動したら、Reasonを起動し、Reasonラックを設定します。
  3. External InstrumentデバイスをMIDIトラックへインサートします。
  4. External Instrumentの最初の[MID ITo]セレクターから[Reason]を選択します。
  5. 2つ目のセレクターに、現在Reasonラックにあるインストゥルメントのリストが表示されます。アドレスをとりたいインストゥルメントを選択します。
  6. External Instrumentの[Audio From]セレクターから、MIDIを送信するインストゥルメントに対応するオーディオチャンネルを選択します。
  7. MIDIトラックをアームします。
  8. 必要に応じ、External Instrumentの[Gain]ノブを調整します。

14.5 リサンプリング

Liveのマスター出力を、各オーディオトラックへルーティングし録音(リサンプリング)できます。リサンプリングは、現在Liveセットでなされている操作をすぐさま取り込み、サンプルを作成するのに便利なツールです。プロセッサー負荷の高いデバイスが含まれているトラックを録音する際に使用し、デバイスを消去したりディスクへ書き出す(5.2.3)前に、素早くプレビューを行うことができます。

オーディオトラックの入力タイプセレクターから[リサンプリング]を選択し、マスター出力をトラックへルーティングします。リサンプリングしたいものを選択し、トラックのミュート・ソロや、マスター出力を供給するよう調節します。その後、マスターボリュームメーターを使って、ボリュームレベルをクリッピングの起こらない範囲で最大レベルにまで上げます(メーターが赤色で表示されるとクリッピングが起こります)。トラックをアームし、空のクリップスロットへ録音します(16.3.2)。録音中のトラック自体の出力は、リサンプリング中抑制され、録音には含まれません。

リサンプリングにより生成されたサンプルは、[Samples]/[Recorded]の下にある、現在のセットの[Project]フォルダー(5.6)に保管されます。セットが保存されるまで、新規サンプルは一時フォルダー(16.8)で設定したロケーションに残ります。

14.6 内部ルーティング

Liveのミキサーおよび外部ルーティング・デバイスでは、トラック間のルーティングも可能です。内部ルーティングは多少複雑ですが、クリエイティブでテクニカルな操作が多数可能になります。ミキサーを介したトラック間のルーティングは、以下の2つの方法で行えます。

  1. トラックAが出力信号をトラックBに送るよう設定します。出力タイプセレクターに、トラックAから適切なタイプの出力信号を受信できるトラックがすべてリスト表示されます。
  2. トラックBが入力信号をトラックAから受信するよう設定します。トラックBの入力タイプセレクターには、適切なタイプの信号を送信するトラックがすべてリスト表示されます。
TwoWaysToRouteTrackAIntoTrackB.png

トラックAをトラックBにルーティングする2つの方法

どちらの方法をとっても、トラックAの出力がトラックBに供給されるようになります。最初の方法だと、トラックBの入力/出力設定は変更されないので、トラック Bに出力を送るトラックを追加することができます。この設定方法は、サブミックスや同一のインストゥルメントを再生する複数のMIDIトラックを「複数に対して1つ」ルーティングする場合に使用します。この場合、トラックBをソロにすると、供給されるトラックの出力を聞くことができます。トラックAをソロにし、その出力信号を聞くこともできます。この場合、トラックBへ供給するトラックを含む他のすべてのトラックはミュートされます。聞こえるのは、除去されるトラックAの信号を除くすべてを含むトラックBの出力です。

対して、2つ目の方法では、出力の一部を別送りするトラックBは別として、トラックAには変更を加えることができません。トラックAの出力をすべて別送するトラックBのようなトラックを複数追加することができます。インストゥルメントレイヤリングなどが「1つに対して複数」ルーティングする設定の良い例です。

14.6.1 内部ルーティングポイント

信号は、Liveのトラックから各デバイスチェーンへと進み、トラックミキサーに入ります。トラックミキサーでは、トラックのフェーダーにより信号がパンされたりレベルが変更されたりします。

トラックの[Audio From]入力セレクターで別のトラックが設定されている場合(前述セクションの2つ目の方法)、着信する信号は、入力チャンネルセレクターから選択されている3つの異なるポイント、Pre FX、Post FX、Post Mixerのいずれかから伝送されます。

TrackRoutingTapPoints.png

トラックルーティングの分岐ポイント

  • Pre FXは、トラックから直接やってくる信号を、トラックのデバイスチェーン(FX)またはミキサーに到達する前に分岐します。そのため、分岐されたトラックのデバイスまたはミキサーへ行われた変更は、分岐された信号に対してなんら影響を及ぼしません。別のトラックへと分岐するトラックをソロにすると、Pre FXにより分岐するトラックが聞こえるようになります。
  • Post FXは、トラックのデバイスチェーン(FX)を通過したところで、トラックミキサーへ到達する前に信号を分岐します。そのため、分岐されたトラックのデバイスへ加える変更は、分岐された信号を変化させますが、ミキサーへ加える変更は、信号を変化させません。別のトラックへと分岐するトラックをソロにすると、Post FXにより分岐するトラックが聞こえるようになります。
  • Post Mixerは、トラックの最終出力を、デバイスチェーンとミキサーを通過した後で分岐します。別のトラックへと分岐するトラックをソロにすると、Post Mixerにより分岐するトラックは聞こえなくなります。
ラックのルーティングポイント
TrackRoutingChainTapPoints.png

トラックの各チェーンに対する分岐ポイント

トラックのデバイスチェーンに1つまたは複数のインストゥルメントまたはエフェクトのラック(チャプター 18)がある場合、内部ルーティングポイント(Pre FX、Post FX、Post Mixer)をラック内の各チェーンにも使用できます。トラックのデバイスチェーンに1つまたは複数のドラムラック(18.6)がある場合、内部ルーティングポイントをラックのリターンチェーンのいずれかに使用できます。各ラックも入力チャンネルセレクターにリストされます。

  • (ラック名) | (チェーン名) | Pre FX — 信号は、ラックに到達する地点で、チェーンのデバイスに到達する前に分岐されます。
  • (ラック名) | (チェーン名) | Post FX — 信号は、チェーンの終了地点で、チェーンのミキサーに到達する前に分岐されます。
  • (ラック名) | (チェーン名) | Post Mixer — 信号は、ラック内のすべてのチェーンがまとめられラックの出力を生成する前に、チェーンのミキサーの出力から分岐されます。

これらのポイントでチェーンを分岐するトラックをソロにすると、そのポイントでのトラックの出力を聞くことができます。

14.6.2 内部ルーティングを活用する

このセクションでは、いくつかの内部ルーティング例を詳しく説明しています。

エフェクト後の録音

Liveにギター音を取り込み、トラックごとにソングを作成しながらテイクを重ねているとします。トラックごとに別々のエフェクトチェーンを使い、異なるエフェクトをテイクごとに当てはめた方が効果の出方は大きくなります。しかし、録音するに、ギター信号にエフェクト(ノイズゲートやアンプモデルなど)をかけ、エフェクトがかかった信号を録音したい時にはどうすればよいでしょうか。

PostFxRecordingRoutingExample.png

エフェクト後録音の設定例

ギター信号の処理とモニターに特定のオーディオトラックをあてがえば、簡単に操作が行えます。トラックを「Guitar」と名付け、そのデバイスチェーンに使用したいエフェクトをドラッグします。「Guitar」トラック内では直接録音をせず、録音を行うトラックは別に複数作成します。そして、作成したトラックがギタートラックの入力Post FXを受信するよう設定します。「Guitar」トラックからレベルまたはパンを録音したい場合、「Post Mixer」で分岐することも可能です。

Liveが現在どのように動作しているかにかかわらず、トラックのギター音を常に聞くことができるよう、ギタートラックのモニターラジオボタンを[In]にします。他のトラックのモニターラジオボタンは[Off]に設定します。

MIDIをオーディオとして録音する

MIDIと複雑なソフトウェアインストゥルメントを使って作業する場合、MIDIを録音するよりも、できあがったオーディオを録音する方が都合がよいこともあります。例えば、Native InstrumentsのAbsynthでは、各MIDIノートが単一音ではなく曲の一部のように聞こえるサウンドを作成することができます。こうすると、MIDIクリップ内の単一ノートとしてではなくオーディオ波形として表示されるため、編集オプションを比較する際に特に便利です。

RecordingAbsynthAsAudioRoutingExample.png

オーディオトラックの複雑なインストゥルメントの出力を録音する

上(“エフェクト後の録音”)での説明とよく似た手順で設定を行います。バーチャルインストゥルメントがあるMIDIトラックを、追加されたオーディオトラックに接続してインストゥルメントの再生結果を録音します。

サブミックスを作成する

DrumSubMixRoutingExample.png

ドラムキットのドラムをそれぞれサブミックスする

ドラムキットのドラムが、マルチトラック録音の目的でそれぞれ別々のトラックにあるとします。ミックスでは、各ドラムのボリュームを簡単に変更することができますが、ドラムキット全体のボリュームの調節は、曲を構成する他の楽器部分と比べると、そう簡単ではありません。このような場合、新たにオーディオトラックを作成し、そこでドラムをサブミックスすることができます。各ドラムトラックがすべてサブミックストラックに出力するよう設定し、サブミックストラックをマスターへ出力させます。サブミックストラックを使うことで、ドラムキット全体のボリューム調整が簡単になります。

また、複数のドラムトラックをグループトラック(15.3)としてまとめると、柔軟性がさらに向上します。必要な出力ルーティングが自動的に作成され、構成するトラックの表示と非表示を切り替えることができます。

SendsOnlySubmix.png

トラックのアウトプットタイプをセンドのみに設定してサブミックスを行う

Liveのリターントラックは、サブミックスにも使用できます。トラックの[Output Type]に[Sends Only]オプションを選択し、[Send]コントロールを希望に応じて調整します。これで、リターントラックがサブミキサーチャンネルとして動作するようになります。

同一のインストゥルメントを複数のMIDIトラックで再生する

パッドサウンドを再生するSimplerのようなバーチャルインストゥルメントを持つMIDIトラックがあると仮定します。同じインストゥルメントを使って別のテイクを加えたいと思ったときに、すでにこのトラックに録音済みのMIDIクリップが存在しているとします。そこで、別のMIDIトラックを加えます。このトラックへ別のSimplerをドラッグすることも可能ですが、パッドトラックのSimplerを利用して、パッドサウンドの変化を両トラックのノートに影響させるには、どうすればいいでしょうか。

SeveralMidiTracksPlayingSameInstrumentRoutingExample.png

追加されたMIDIトラックを既存のMIDIトラックに送り、インストゥルメントを再利用する

[Pad]に設定すると、出力チャンネルセレクターに選択可能な出力先リストが表示されます。新しいトラックの出力をパッドトラックの入力に送るか、Simplerに直接アドレスすることもできます。出力チャンネルの[Track In]は、パッドトラックの入力信号(録音される信号)を示していますが、ここでこのオプションを選択する必要はありません。[Simpler Ch. 1]を選択し、録音のバイパスとステージのモニターリングを行うSimplerに、新しいトラックのMIDIが送られるようにします。こうすれば、両トラックの新しいテイクの録音を選択し、両トラックで同じパッドサウンドを再生することができます。

SeveralMidiTracksPlayingSameInstrumentRoutingExample2.png

インストゥルメントが専用トラックに隔離されました。

パッドトラックをミュートする(アクティベータースイッチをオフにする)と、他のMIDIトラックもミュートされてしまいます。他のトラックは再生を続けますが、MIDIだけはミックス外のインストゥルメントによって再生されます。この状況は、パッドトラックからクリップをカットし、独自にミュートの設定が行える(さらにMIDIエフェクトを置くことのできる)第3のトラックにクリップをペーストすれば、簡単に修正できます。この設定を行うと、もとのパッドトラックは、インストゥルメントの入れ物としてのみ機能します。新しいクリップをこのトラックに録音するわけではないので、入力タイプセレクターは[No Input]に設定しておきます。アームボタンは非表示になり、ミキサーの入力/出力セクションが非表示でも混乱することがありません。

インストゥルメントから各出力を取り出す

LiveのImpulseパーカッションサンプラーのように、ソフトウェアインストゥルメントの中には、生成する信号のマルチオーディオ出力を持つものがあります。デフォルトでは、Impulseはその8つのサンプルスロットの出力を内部でミックスし、インストゥルメントのオーディオ出力に送ります。同一トラックに置かれたImpulseの後に続くオーディオエフェクトはすべて、ミックスされた信号を処理します。しかし場合によっては、あるドラムサウンドをミックスから取り出し、個別に処理やミックスを行いたいこともあります。Impluseは、サンプルスロットを他のトラックに対するオーディオソースとして提供しているため、このような操作が可能になります。

ImpulseIndividualOutRoutingExample.png

Impulseの各出力を使いサンプルスロットを個別に処理する

オーディオトラックを作成し、入力タイプセレクターからImpulseのあるトラックを選択することができます。入力チャンネルセレクターには、[Pre FX]、[Post FX]、[Post Mixer]に加え、各スロットに使用されたサンプル名に従い命名された[Impulse]の8つの出力が表示されます。各出力をImpulseから他のトラックへルーティングすると、Impulseの内部ミックスから信号が取り出されます。この機能は大変便利ですが、プラグインインストゥルメントでは多くが未対応になっています。これらのポイントでImpulseのサンプルスロット1つを分岐するトラックをソロにすると、そのスロットの出力を聞くことができます。

マルチティンバープラグインインストゥルメントを使用する

プラグインインストゥルメントは、ほとんどがマルチティンバーに対応しています。マルチティンバーインストゥルメントとは、別々のMIDIチャンネルでMIDIを受信する複数のインストゥルメント「パート」(メーカーにより名称が異なります)を1つにまとめたようなものをいいます。通常、マルチティンバーインストゥルメントには各パートごとに出力があり、パートをそれぞれ個別にミキサーへルーティングすることができます。また、インストゥルメントにサブミキサーがあることもあります。

MultiTimbralInstrumentRoutingExample.png

マルチティンバーインストゥルメントのパートにMIDIを送りオーディオの一部を送るトラック

ミキサーからマルチティンバーインストゥルメントへのMIDIの送信は、上(“同一のインストゥルメントを複数のMIDIトラックで再生する”)で説明されているケースと似ています。MIDIトラックにマルチティンバーインストゥルメントがあり、各パートへのMIDI送信には、追加されたMIDIトラックが使用されます。追加されたMIDIトラックにはそれぞれ、インストゥルメントが置かれているトラックに対する出力チャンネルセレクターと、ターゲットMIDIチャンネルを選択する出力チャンネルセレクターがあります。追加されたオーディオトラックは、すでに説明されている通り(“インストゥルメントから各出力を取り出す”)、インストゥルメントの個々の出力を分岐するのに使用されます。

External Instrumentデバイスを使って、マルチティンバー・プラグインの2次出力にMIDIを(および出力からオーディオを)ルーティングすることもできます。この場合、各出力に対して追加オーディオ・トラックを作成する必要はありません。

  1. マルチティンバー・インストゥルメントをMIDIトラックに挿入します。
  2. External Instrumentを別のMIDIトラックに挿入します。
  3. External Instrumentデバイスの最初の[MIDI To]セレクターから、インストゥルメントを含むトラックを選択します。
  4. External Instrumentデバイスの2番目のセレクターから、MIDIチャンネルを選択します。
  5. External Instrumentの[Audio From]セレクターから、MIDIの送信先であるインストゥルメントの2次出力を選択します。

手順2-5を繰り返し、ご使用のマルチティンバー・インストゥルメントの追加コンポーネントを供給および接続します。ラックのデバイスチェーン内にデバイスを配置し、複数のExternal Instrumentデバイスによるシステム全体を1つのトラック内に置くこともできます。

マルチティンバー・インストゥルメントのメイン出力は、そのインストゥルメントが含まれるトラックへと出力されます。External Instrumentデバイスに対しては、AUX出力のみ使用可能です。

サイドチェーン入力を供給する

エフェクトの中には、いわゆる「サイドチェーン入力」を持つものがあります。たとえばボコーダーは、ある信号(スピーチなど)から取り出されたスペクトルの特徴を、別の信号(ストリングパッドなど)に転用して出力します。ボコーダーは、オーディオエフェクトとしてストリングトラックに挿入されます。トラックにあるスピーチ信号のサイドチェーンは、別トラックから送られます。「スピーチ」という名前のオーディオトラックを追加作成し、出力タイプセレクターを「ストリング」トラックに設定してみましょう。出力チャンネルセレクターから、ボコーダーのサイドチェーン入力を選択します。

VocoderRoutingExample.png

スピーチ信号をボコーダーのサイドチェーン入力に経路します。

ボコーダープラグインの中には、「キャリア」信号を生成する、ビルトインシンセサイザーを含むものがあります。この場合は、ボコーダーインストゥルメントをオーディオトラックにではなく、MIDIトラックにドラッグします。サイドチェーンオーディオの供給は、上記で説明された通りに操作して設定します。

Abletonの内蔵デバイスには、トラックにあるコントロールと一致するルーティングセレクターを持つ独自のサイドチェーンコントロールがそれぞれに搭載されています。そのため、これらのデバイスを使用する際、上記の手順に従う必要はありません。この場合、デバイス内でサイドチェーンソースを選択できます。

インストゥルメントをレイヤーする

ストリングサウンドを再生するインストゥルメントを含むMIDIトラックがあり、同一のノートを再生するブラスサウンドをストリングサウンドに加え増音したいとします。これは、ブラスサウンドを再生するインストゥルメントを含むMIDIトラックを加える入力タイプセレクターを設定し、ストリングトラックのPost FX信号の一部をトラックに入力するよう設定することで簡単に操作できます。

InstrumentLayeringRoutingExample.png

インストゥルメントのレイヤーに外部MIDIトラックを使用する

ストリングトラックの出力は、MIDIではなくオーディオのはずなので、どのように機能するのか不思議に思うかもしれません。MIDI入力を別のトラックからルーティングする場合、MIDI内の一番最後(MIDIエフェクトの後、インストゥルメントのすぐ前)の部分でMIDIが転送されます。

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